コロナ禍における企業対応に関する7つのことを解説

コロナ禍における企業対応に関する7つのことを解説

コロナ禍でさまざまな企業対応に追われている方も多いことでしょう。

新型コロナウイルスの影響が日増しに深刻化し、遂に新型コロナ特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法)に基づく緊急事態宣言。

ともかく猫の目のように情勢が変わってきます。

人事総務担当者のあなた。

経営者も、上級管理者も、資金繰り等で頭がいっぱいで、「人事や総務で、今やっておくべきことを簡単にまとめておいてくれ」と丸投げされてはいないでしょうか。

国や都道府県の指示や要請を待っていてはなりません。

これらは、全体を見据えた概括的なものであり、頼り切る事は危険だからです。

この記事では、事態が流動的な中、勤務場所、勤務時間、休業、退職といった人事労務管理の基礎について、方向性のヒントを示します。

新型コロナウイルスに関しては、今後も皆様のお役に立つ記事を随時発信していく予定です。

1、コロナ禍での企業対応について知る前に|経営者と労働者に訴えよう

(1)経営者に覚悟を求める

まず、経営者に覚悟を求めてください。

「会社としては、大切な労働者の命や健康、安全が損なわれたり、事業の継続に支障が生じるようなことを防がねばなりません。取引先やお客様の命や健康、安全をおびやかす行動はできません。必要に応じ、躊躇せずに決定を下し、問題があれば速やかに是正していく、という覚悟をもってください。」

(2)管理職や労働者に訴える

管理職や労働者の皆さんに訴えてください。

「会社としては、労働者の皆様の命、健康、安全を第一に対応します。お気づきのことや不明なことは、すぐに人事部総務部に相談してください。会社は必ずあなたを守ります。」

(今は非常時・緊急時です。現場の管理者等が、人事総務に十分確認せずに間違った対応をすることは、絶対に避けなければなりません。細かなことも、必ず人事総務に確認することを周知徹底してください。)

(3)信頼できる情報源を知っておこう

内閣官房のサイトで、特措法に基づく対応の全体像を把握できるようにされています。

各種資料にリンクを設け、日々的確にメンテナンスされています。

各業界団体のガイドラインも紹介されています。

全部で81団体のガイドラインです。

役職員の皆さんは、ぜひ知っておいてください。

ご自身の業界のガイドラインには、お目通しされることをお勧めします。

内閣官房「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言」

各業界団体のガイドライン 「業種別ガイドラインについて」

2、通勤、勤務時間、勤務場所の柔軟な対応が求められる

(1)原則的な考え方

ウイルスは、自分で移動するわけではありません。人間が運びます。

そして「3つの密」(3密)などの場で、人から人に感染します。

つまり、人の行動を変えれば、感染を最小限に抑える事ができます。

今は平時ではありません。就業規則等のルールにこだわってはなりません。

たとえば、会社が対応をためらう間に、労働者が満員電車で感染したら大変です。

労働者の状況を把握し、すぐに対応しましょう。

(出典:首相官邸「新型コロナウイルス感染症に備えて~一人ひとりができる対策を知っておこう。~」5. 感染症対策へのご協力をお願いします(チラシ))

(2)時差通勤(時差出勤)

時差通勤(時差出勤)は、始業・終業時刻を、本来の所定時刻より早くしたり、遅くしたりすることで、ラッシュアワー時間帯の通勤を回避するものです。

効果は大きいでしょう。

厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A 」でも強く勧められています。

なお、「就業規則」に定めがあるかどうかに、こだわるべきではありません。

「就業規則」は、個別労働契約の最低限の共通事項を定めたものです。

労使合意の上で、個別労働契約を改定することは、労働者にとっての不利益変更でない限り、問題になりません。

必要なことならば、まず個別に対応した上で、就業規則の改定は、後でじっくり取り組んでも良いと思います。

このような緊急時の対応については、柔軟性・迅速性を優先するべきでしょう。

この点は、後述のテレワーク等も同様です。

(3)フレックスタイム制等の導入

①フレックスタイム制とは

フレックスタイム制は、労働者が、各日の始業・終業時刻を自ら決める制度です。

3か月以内の一定期間(清算期間)の総労働時間を定め、その範囲で、各日の始業・終業の時刻を労働者が自らの意思で決めるものです。

②緊急時の実務的な対応

フレックスタイム制を全社で導入するには、就業規則と労使協定の定めなどの慎重な手続が必要です。

ひとまず時差通勤等で対応の上、フレックスタイム制について、労使で十分話し合っていくことが適切と思われます。

(4)テレワークの導入

①テレワークの意味

テレワークは、働く場所の柔軟化です。

本拠地のオフィスから離れた場所で、ICTを使って仕事をすることです。

自宅で働く「在宅勤務」、移動中や出先で働く「モバイル勤務」、 本拠地以外の施設で働く「サテライトオフィス勤務」があります。

②テレワークは、もはや避けて通れない

通勤や勤務場所での感染防止や、休校中のお子様への対応など、テレワークのニーズは急増しています。

人との接触を8割減らす、という政府方針は、テレワークを用いない限り、達成できないでしょう。

政府からも強く推奨されています。

経営者こそが、自ら取り組んでみてください。

③就業規則になくても対応はできる

テレワークは、就業場所の問題であり、就業規則に明確な定めがあるのが望ましいでしょう。

ただし、就業規則に定めがなくても、労働者からの要望があれば、労使合意で個別労働契約を改定すれば対応は可能でしょう。

④労働者の意に反するテレワークは慎重に

逆に、会社が、テレワークを労働者に強いることは、慎重に考えるべきです。

とりわけ、在宅勤務は、私生活の場を職場とするものです。

労働者の個々の事情で、取り組みが難しい方もおられるでしょう。

事情をよく聞いて、個別に柔軟な対応が必要でしょう。

モバイル勤務やサテライトオフィス等、様々な選択肢も検討しておきましょう。

厚生労働省の「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」では、「個々の労働者がテレワークの対象となり得る場合であっても、実際にテレワークを行うか否かは本人の意思によることとすべきである。」と明記されています(ガイドライン3.(1))。

(出典:厚生労働省「テレワーク綜合ポータルサイト」>「テレワークとは」「テレワークの定義」より)

以下、テレワークに関する参考サイトをご紹介いたします。

ⅰ)厚生労働省

・厚生労働省:新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)

2―問1テレワーク導入の簡単な解説です。

・厚生労働省テレワーク総合ポータルサイト

テレワークの基本的な情報、資料紹介、実施事例、無料コンサルティング、サテライトオフィスの紹介等、利用しやすいサイトです。

・情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン

ⅱ)一般社団法人日本テレワーク協会(JTA)

・新型コロナウイルス感染症対策:テレワーク緊急導入支援プログラムのご紹介

テレワークを緊急導入される企業等へのサポートのため、JTA会員企業・団体によるテレワーク緊急導入支援プログラムが用意されています。

ⅲ)株式会社テレワークマネジメント

同社代表田澤由利様の日経ビジネス記事は、ぜひお読みください。

また、【緊急LIVEセミナー】録画公開|緊急事態宣言下における「今できる、今すべき、テレワーク」が公開されています。これも、ぜひ一度ご視聴ください。以下、内容の一部です。

「何はともあれ、WEB会議を始めましょう。」

「着席退席の管理システムで、職場と同様の緊張感。」

「味の素の事例:工場勤務でもテレワーク可能!」

「ZOOMシステムを用いて『仮設クラウドオフィス」はすぐできる」

ⅳ)東京テレワーク推進センター

東京都と国が設立したワンストップ相談サービスセンターです。

近郊の方であれば、ぜひ一度訪問してみてください。

(4)その他の注意点(勤務の柔軟な対応・母性保護等)

①遅刻・早退、その他の柔軟な対応

労働者から、様々な事情で、遅刻・早退や有休取得、時短勤務や勤務地の変更等の要望も出てくるでしょう。

ご家族が感染して、看護・介護が必要になることも考えられます。

可能な限りの対応を進めてください。

なお、有休取得を理由に、賃金の減額、その他不利益な取扱いをする事は許されません。

有休は、労働基準法に定められた労働者の権利です。

②自動車通勤・自転車通勤等について

公共交通機関の3密を避けるため、自動車通勤や自転車通勤を労働者が希望したり、会社としても対応を考えることもあるでしょう。

例えば、妊娠した女性労働者、ご家族に病人等を抱える労働者にとっては、通勤の3密防止・感染予防は喫緊の課題です。(妊娠した女性労働者の対応については、次項③も参照)

労働者の希望をよく聞いて、必要ならば、たとえ就業規則の改定が間に合わなくても、特例として速やかに認める、といった柔軟な対応が望まれます。

時差通勤やテレワークの項で述べた通り、就業規則は、個別労働契約の最低限の共通事項を定めたものです。

労働者の不利益にならない限り、労使の合意があれば、個別労働契約で別の定めを設けることは可能です。

駐車場料金やガソリン代等、細かな問題も、緊急時であり、会社としてできる限り配慮すべきだと思います。

なお、通勤時に事故があれば、通勤災害として、労働災害となりうるでしょう。

仮に、切羽詰った事情があって、労働者が会社の承諾なく、自動車通勤等をして、そこで事故にあった場合でも、合理的な通勤手段として、労災認定を得られる可能性は十分にあります。

「会社の許可なく、勝手にやったから、労災にはならない。」等と即断しないでください。

労災認定は、会社ではなく、労基署の権限です。ともかく、労基署と相談してください。

③母性保護への配慮(母性健康管理措置)

働く妊婦の方は、職場の作業内容等によって、新型コロナウイルス感染症への感染について、不安やストレスを抱える場合があります。

会社としての必要な措置が義務づけられました。

「新型コロナウイルス感染症への感染のおそれに関する心理的なストレスが母体又は胎児の健康保持に影響があるとして、主治医や助産師から指導を受け、それを事業主に申し出た場合、事業主は、この指導に基づいて必要な措置を講じなければなりません。」

例えば次のような対応です。

  • 感染のおそれが低い作業への転換又は出勤の制限(在宅勤務・休業)
  • 妊娠中の通勤緩和
  • 妊娠中の休憩に関する措置
  • 妊娠中又は出産後の症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等)

(参考)厚生労働省5月7日報道発表資料

妊娠中の女性労働者の新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置が本日から適用されます

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