コロナ禍における企業対応に関する7つのことを解説

コロナ禍における企業対応に関する7つのことを解説

7、解雇等について気をつけるべきこと

事業継続が困難として、解雇・雇止め・内定取消し、といった事態が発生しています。

業績が悪化したからといって、安易に対応すると、社会的な批判を浴びかねません。

そもそも、日本の労働法制では、解雇等への規制は極めて厳しいものです。

経営者が暴走しないように、人事総務担当者は勇気をもって、適切な助言を行ってください。

以下に述べる点については、厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(以下「Q&A」)9.労働者派遣、10.その他(職場での嫌がらせ、採用内定取消し、解雇・雇止めなど)で丁寧に解説されています。人事労務担当者は、お目通しされることをお勧めします。

(1)解雇

会社が、労働者を解雇する場合、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められない場合には、「解雇権濫用」として、無効となります(労働契約法第16条)。

新型コロナ不況による解雇であれば、労働者側の理由でなく、会社側の理由による整理解雇です。「整理解雇の4要件」に該当するか考えておく必要があります。

*整理解雇の4要件:

①解雇の必要性(解雇しなければ、会社が存続できない。)

②解雇回避措置(解雇回避のために、最善の努力をした。)

③人選の客観性・合理性(客観的・合理的な人選基準を定めて、公正に適用している)

④手続の妥当性(労働組合、労働者との誠実な交渉等)

(参考:「Q&A」10―問2~4))

(2)雇止め

有期労働契約について、契約更新を行わないことを指します。

労働者が契約更新を申し入れたのに対し、会社が拒否したとしても、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき」は、従前の労働契約を、そのまま承諾したものとみなされます(労働契約法第19条)。

(参考:「Q&A」10―問5、なお問4③なども参照)

(3)派遣切り

派遣労働者について、派遣元と派遣先との派遣契約が、派遣期間終了前に打ち切られることです。

この場合、派遣先は、新たな就業機会の確保や派遣元会社への30日前の予告または損害賠償が求められます。

派遣労働者と派遣元会社との労働契約の解約も、「派遣切り」と言われることがありますが、これは解雇そのものです。

(1)のとおり、安易にできるものではありません。

(参考:「Q&A」9-問1、問3等)

(4)内定取消し

内定により、既に労働契約は締結されており、内定取消しは、会社による労働契約解約すなわち、解雇です。

最高裁の判例で、内定取消しができるのは、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上、相当として是認することができる場合に限られる。」とされています。

業績の悪化が見込まれるから、内定者には遠慮してもらおう、などといった安易な対応は許されないのです。

また、新入社員を、自宅待機等、休業させることを考える会社もあるかもしれません。

当該休業が、使用者の責めに帰すべき事由によるのであれば、使用者は、労働基準法第26条により、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払うことが必要です。

(参考:「Q&A」10-問2)

まとめ

新型コロナにより、経営者も現場管理者も、右往左往しているでしょう。

このようなときこそ、人事総務の担当者は、法的な問題や経営上のリスクをしっかり把握して、適時に適切なアドバイスをしなければなりません。

万一、なんらの対応も取らなかった場合や、不適切な対応をしたときには、例えば、次のようなリスクが生じることになります。

①会社・業界が、社会の批判を受けて、淘汰されることになりかねない

現在のパチンコ業界への厳しい批判は、決して他人事ではありません。

休業要請に応じなかった店は、ほんの一部です。

それでも、業界全体が厳しい批判に晒されています。

②労働者やその家族、顧客や取引先の命と健康への配慮が不十分な場合、直接的には、安全配慮義務違反や不法行為責任として労働者等からの損害賠償請求や、監督官庁からの厳しい指導を受けることになる。さらには、労働者の採用・定着を妨げ、顧客離れ、取引先の離反等も生じかねない。

その企業が、「金もうけのために、命と健康という至高の価値をないがしろにしている」という社会からの評価は、今後のいかなる営業努力でも、修復は難しくなるでしょう。

逆に言えば、今このひとときの少しばかりの努力と配慮が、将来に向けて、会社の信用というかけがえのない宝を産むことになるでしょう。

この未曾有の危機への対応は、今後、企業が未知の緊急事態に直面したときの対応のモデルとして、貴重な教訓・ノウハウを獲得する絶好の機会です。

この時期に果敢に取り組み、どのように行動したか、どんな問題があったのか、しっかりと記録してください。

今すぐできなくても、近い将来に必ず振り返ってみてください。

今のこの時期の勇気を持った行動こそが、あなたの会社の未来を築くための貴重な礎となることでしょう。

監修者:萩原 達也弁護士

ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、中国、ミャンマーをはじめとする海外拠点、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。

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