コロナで休業|経営者が考えるべき5つのことを解説

コロナで休業|経営者が考えるべき5つのことを解説

コロナ禍において、多くの店舗が休業になっている現状。

  • 新型コロナ特措法(新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正法)での休業要請を受けた
  • 従業員の感染で休業を余儀なくされた
  • 来店客減少による休業を選択した

新型コロナウイルスによる休業圧力は、様々な形で襲ってきます。

緊急事態宣言は、多くの地域で解除されてきましたが、外国の例を見ても、少しの油断で第2、第3の感染拡大を生んでしまいます。 まだまだ注意しなければいけない状況です。

新型コロナウイルスによって、

  • どんな場合に休業しなければならないか?
  • その場合に、どのようにして会社を守り、雇用を守っていくのか?
  • 公的な支援策は?
  • 営業の工夫の仕方

について、本記事では様々なヒントを提供します。

明けない夜はありません。

この記事が今を乗り切り、あなたの会社の未来を築くための一助となれば幸いです。

なお、この記事では、小売店・飲食店等、顧客との接触のあるBtoC店舗を主に想定して記述していますが、他の業態の方にも参考になることが多いと思います。

1、コロナによって休業が必要になる場合

新型コロナ感染症のために、店舗休業しなければいけない事態は様々あります。

簡単に確認しましょう。

(1)特措法による休業要請・休業指示

①休業要請・休業指示に該当するかどうかの確認

緊急事態宣言を受けて、各都道府県で施設の使用停止や催物開催の停止要請が出されています。

東京都の使用停止要請施設の公表の例は次のとおりです。

特措法第45条第2項に基づく施設の使用停止の要請を行った施設

自社の施設が、各自治体の要請等に該当するか把握してください。

【参照サイト】

全国版:自治体の取組み・連絡先はこちら

②結局は経営判断

自治体からの施設の利用制限等の要請・指示の取り扱いは、以下のようになっています。

ⅰ)第1段階:法第24条第9項による協力の要請

ⅱ)第2段階:正当な理由がないにもかかわらず①の要請に応じないとき

法第45条(感染防止のための協力要請等)第2項に基づく施設の使用の制限、若しくは停止又は催物の開催の制限要請

ⅲ)第3段階:正当な理由がないのに②の要請に応じないとき

法第45条第3項に基づく指示を行い、②の要請及び③の指示の公表を行う。

最終段階においても、「公表」がなされるだけに終わります。

すなわち、緊急事態宣言によって強制的に休業させられることはありません(強制力がない)。

営業の継続可否は、事業者の判断に委ねられています 。

要請・指示の対象外の施設についての休業する・しないは、顧客層、収益見込み等を考慮して、経営者として総合的に判断することは言うまでもありません。

(参考)

新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(新型コロナウイルス感染症対策本部):

三 新型コロナウイルス感染症対策の実施に関する重要事項(3)まん延防止 3)施設の使用制限等より(方針14頁以下)

(2)従業員の感染などによる休業

従業員や来店者の感染等で、施設の休業を考える必要が出てくるかもしれません。

感染者が出たからといって、直ちに店舗休業する必要はありませんが、保健所等と連絡を密にとり、業務の重要性等も考慮して、自社で判断する必要があります。   

次のガイドラインも参考にしてください。

①一般社団法人日本フードサービス協会のガイドライン

患者発生時の対応として、保健所への連絡、濃厚接触者の確定、濃厚接触者の14日間の出勤停止、店舗設備等の消毒等、必要な対応が簡潔に整理されています。

店舗の休業など事業継続の可否について、次の通り定められています。

1.一般的な衛生管理が実施されていれば、感染者が発生したからといって業務停止や食品廃棄等の対応をとる必要はありません。

2.ただし、濃厚接触者の待機等で人員確保が困難になったり、感染者の勤務区域の消毒作業等で、業務継続が困難な場合は、休業が必要となります(店舗の休業を14日間とすることは、合理的な根拠がありません)。  

3.なお、お客様や他の従業員等に2次感染の可能性がある場合は、保健所の助言を踏まえて、注意を喚起する必要もあります。

外食店における新型コロナウイルス感染者発生時の対応に関するガイドライン(暫定版)

②農林水産省の食品産業事業者向けガイドライン

ポイントは次の通りです。  

1.濃厚接触者の出勤停止の措置等で、通常の業務継続が困難な場合は、重要業務として優先的に継続させる業務を選定し、その継続業務に必要な人員、物的資源(マスク、手袋、消毒液等)等を把握する。

2.重要業務継続のため、在宅勤務体系・情報共有体制・人員融通体制を整備するとともに、重要業務継続のための業務マニュアルを作成する。  

食品産業事業者に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン →全体をまとめたパンフレットです。

食品産業事業者に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン→きめ細かく対応方法が示されています。

(3)来店客減少等による休業

店舗を開いても、来店客の減少や客単価の減少等で、店舗休業を考えざるを得ないこともあるでしょう。

店を開けようにも、従業員が出社してくれない、ということさえあり得ます。

ようやく緊急事態宣言が解除されても、客足が全く戻らない、そんな声も聞きます。

何でもかんでも、監督官庁なり、業界団体なりが面倒を見てくれるわけではありません。

経営者として判断するしかありません。

ただし、後述の公的な支援等には、しっかり目を配っておきましょう

(4)ショッピングモール等の休業

自社店舗の営業継続を考えていても、店舗が所在しているショッピングモール等の商業施設が休業した場合には、店舗も休業せざるを得ません。

従業員には、別の店舗に異動してもらうか、休業してもらうか等の判断が、経営者に求められます。

さらに、テナント(賃借人)として、休業時の営業補償を商業施設の運営主体(賃貸人)に求めることができるか、あるいは、賃料の支払義務はどうなるか、といった問題も起こります。

これについては、概ね次のように考えられていますが、実際には、専門の弁護士等と相談して、対応を考えるべきです。泣き寝入りだけはやめましょう。

①感染者発生等による商業施設の一時閉鎖の場合

消毒清掃等のために商業施設を一時閉鎖する場合、賃貸人側に帰責性がないのであれば、賃借人への営業補償義務はないと考えられます。

ただし、賃貸人が感染予防に十分な注意を払わなかったために、感染が発生した場合などは、賃貸人に帰責性ありとして、賃借人は営業補償を求めることができるかもしれません。

②商業施設全体を閉鎖した場合の対応

特措法に基づく休業要請や指示等が、賃貸人にとって不可抗力と考えられる場合には、賃借人の賃料支払義務はどうなるでしょうか。

これは、賃貸人の責めに帰すことができない理由により、賃借人に対しての賃貸物件を使用収益させる義務を履行していない、という問題です。

民法上は、公平の見地から、賃借人は賃料等の支払義務はないと判断されることがあります(民法第536条第1項、第611条第1項等)。

一方で、賃借人が、賃貸人に休業補償を求めることは難しいと考えられています。

なお、いずれの場合も、賃貸借契約で別段の定めがあれば、その内容に従います。

2、コロナで店舗休業……そのときどうする?

まずは、会社・事業者自らの努力で、事業の継続を図るとともに、雇用を守ることを考えなければなりません。

なお、このための様々な公的支援は、次項で取り上げます。

(1)事業の継続を図る

事業の継続は、感染症対策に限らず、事業者として、普段から用意しておくべきものといえます。

このような対応方針は、「BCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)」の考え方に基づくものです。(参考)中小企業庁「BCP(事業継続計画)とは」

様々な事情で、店舗の休業に至ったとしても、それが終わりではありません。

例えば、飲食店であれば、テイクアウト、デリバリー等で事業の継続を図ることができます。

小売店でも、通販等の活用も考えられるでしょう。

マクドナルドは、テイクアウト、デリバリー、ドライブスルーの活用や新商品の投入等で、この4月は、前年同月比の売上高が増加となっています。

外出自粛の影響を逆手にとって、キッコーマンでは、自宅で調理して食べる「内食」の需要増加、日清食品ホールディングスでは、即席麺の売上増加が好業績を生んでいます。

どのような会社でも、このようなことができるわけではありません。

しかし、新しい事業の芽を探してみましょう。

(参考記事)

日本マクドナルドHD、外食苦戦を尻目に既存店・全店前年同月売上高がプラス成長(2020年4月)

コロナ不況食ったキッコーマン最高益 日清食品&マクドナルドも増益…森永卓郎氏“巣ごもり需要”で明暗分けた

(2)雇用を守る(その1:賃金の支払義務)

店舗を休業しても、従業員をすぐ解雇するわけにはいきません。

雇用をどのように守るか、考えなければなりません。

配置転換やテレワーク等、打てる手は打ちましょう。

ここでは、やむなく労働者を休業させる場合の対応について確認します。

労働基準法による休業手当補償義務(平均賃金の60%)が、よく議論されますが、民法との関係で、体系立てて理解する必要があります。

①労働者の休業が、会社の故意・過失による場合

労働者の休業が、会社の故意・過失による場合には、賃金全額の支払い義務が生じます(民法第536条第2項)。

安易な休業は、会社にとって大きなリスクになります。

②労働者の休業が、会社の故意・過失によらない場合

労働者の休業が、会社の故意・過失によらない場合でも、会社は労働者の休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払う必要があります(労働基準法第26条)。

従業員の最低生活保障のための罰則付きの定めです(罰則:30万円以下の罰金。労働基準法第120条)。

③労働者の休業が、不可抗力による場合

不可抗力労働基準法が定める休業手当の支払義務を免れることができるのは、不可抗力による場合に限られます。

労働基準法第26条の条文では、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合」という記載になっています。

しかし、通説・判例は、労働基準法第26条については、前述①の故意・過失の場合の民法の責任(全額支払義務)と比較して、使用者の帰責事由をもっと広く認めたと解しています。

すなわち、使用者が休業手当の支払義務を免れることができる「不可抗力」については、「事業の外部要因により発生した」というだけでなく、「経営者として最善の努力を尽くしても避けられなかった」という場合に限られる、としています。

経営者として最善の努力を尽くして、初めて労働者の最低生活保障の義務を免れることができる、刑事罰を免れることができると、考えられています。

厚生労働省の新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)4-問1)では、次の例が挙げられています。

自宅勤務などの方法により労働者を業務に従事させることが可能な場合において、これを十分検討するなど休業の回避について通常使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないと認められた場合には、『使用者の責に帰すべき事由による休業』に該当する場合があり、休業手当の支払が必要となることがあります。

さらに言えば、都道府県からの休業要請は、罰則を伴わない要請です。

これに従わずに、営業を続けることも、実際には可能です。

不可抗力として一般にイメージされる地震や台風等とは異なるものです。

「休業要請=不可抗力=休業手当支払義務なし」などと即断すべきではありません。

会社だけで判断せず、人事労務の専門の弁護士の意見等も確認しながら、慎重に対応してください。

以上を整理すると、次の通りです。

(3)雇用を守る(その2:安易な解雇は不可)

店舗休業で雇用継続が難しいとしても、安易な解雇等はできません。

日本では、「解雇」、「有期労働者の雇い止め」、「派遣切り」、「内定取消し」等は、「客観的に合理的な理由があり」かつ「社会通念上相当であると認められる」場合しか認められません。

厚生労働省新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)(以下「Q&A」)9.労働者派遣、10.その他(職場での嫌がらせ、採用内定取消し、解雇・雇止めなど)で丁寧に解説されています。

人事労務担当者は必ずお読みください。

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