労働者の給料を減給する際に社長が絶対に知っておくべき8つのこと

労働者の給料を減給する際に社長が絶対に知っておくべき8つのこと

労働者に対して減給の制裁を課す場合、後に労働者とのトラブルに発展することはできるだけ避けたいところです。

また、労働者によりSNS等で減給の事実が拡散された場合、その理由が合理的でなければ、会社のイメージに悪影響が及ぶ可能性もあります。

このような事態を回避するためには、減給処分に法律上の根拠があるかどうか、事前にきちんと精査することが肝心です。

そこで、この記事では、労働基準法・労働契約法に基づく減給に関するルールについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、減給に関する法律上の根拠は?

労働者に対して実施される減給は、懲戒処分による場合と、その他の事由による場合に大きく分けて考えられます。

(1)懲戒処分

懲戒処分は、労働者が就業規則に定める懲戒事由に該当する場合に、制裁として課される処分です。

どのような行為が懲戒事由に該当するかは会社毎の就業規則の内容によりますが、典型的には、以下のような行為が懲戒事由として定められています。

  • 犯罪行為
  • 職務怠慢
  • 早退、遅刻、中抜け等
  • ハラスメント行為
  • 仕事上の重大なミスにより損害を生じさせた
  • 営業秘密の流出

(2)その他の事由

労働者に懲戒事由が認められない場合であっても、別の理由で減給が行われることもあります。

懲戒処分以外の減給の例としては、以下のケースが考えられます。

  • 労働者との合意による減給
  • 降格処分や出勤停止処分に伴う減給

また、減給よりも重い懲戒処分である降格処分や出勤停止処分は、減給を目的とするものではありませんが、降格後の等級の変更や欠勤控除に伴い減給となることもあります。

2、懲戒処分で減給する場合に必要な条件

懲戒処分としての減給を行う場合、労働契約法や最高裁判例で要求される要件をすべて満たす必要があります。

懲戒処分の有効要件は、以下のとおりです。

(1)就業規則に懲戒の種別・懲戒事由が明記されていること

最高裁昭和54年10月30日判決によると、使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別および事由を定めておくことを要求しています。

つまり、減給処分を行う場合は、

  1. 就業規則において「減給処分を行う場合があること」を定めたうえで、
  2. 減給処分を行うことのできる場合を具体的に定めておく

ことが必要です。

(2)就業規則が労働者に周知されていること

労働基準法第106条第1項に基づき、使用者は労働者に対して、就業規則の内容を周知させる義務があります。

前述のとおり、懲戒の種別・懲戒事由は就業規則で定めておく必要がありますが、労働者への周知が行われなければ、懲戒処分の根拠となる正当なルールとして機能しないことに注意しましょう。

(3)懲戒処分の客観的合理性と社会的相当性

労働契約法第15条は、懲戒処分が客観的に合理的な理由を書き、社会通念上相当であると認められない場合には、懲戒権の濫用として無効になると定めています。

つまり、労働者の行為の性質や態様に照らして、該当する懲戒事由の悪質性・非難の程度と釣り合った懲戒処分が行われる必要があるのです。

たとえば、日本鋼管事件(最高裁昭和49年3月15日判決)では、製鉄所の労働者が刑事特別法違反の罪で逮捕・起訴され、これを理由に諭旨解雇および懲戒解雇処分となりましたが、最高裁は以下の理由等から、各解雇処分を違法無効としました。

  • 犯行の動機、目的が破廉恥なものでないこと
  • 有罪判決の刑が罰金2000円にとどまること
  • 会社が大規模な生産会社で、労働者はその一事業所の工員に過ぎないこと

よって、労働者に対して懲戒処分を行うとしても、より軽い「戒告」や「譴責(けんせき)」に相当する事案でないかは、事前に精査を行う必要があるでしょう。

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