糖尿病治療で“お薬を卒業”するには初期段階が大切「最初にしっかりと治療しておくこと」

糖尿病治療で“お薬を卒業”するには初期段階が大切「最初にしっかりと治療しておくこと」

糖尿病には体質が関係していて、「一度、診断が付いたら関わり続けていく病気」の1つです。ということは、血糖値を下げる投薬療法から卒業できないのでしょうか? インスリンの自己注射を打ち続けている人の話もよく耳にするところです。事の真偽を、「国分寺内科クリニック」の木村先生に聞きました。

木村武史

監修医師:
木村 武史(国分寺内科クリニック 院長)

北海道大学医学部医学科卒業。東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科での診療経験を元に、2020年、東京都国分寺市に「国分寺内科クリニック」開院。糖尿病患者会「国分寺糖尿病友の会」を設立するなど、地域医療に尽くしている。医学博士。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会認定専門医、日本糖尿病協会認定療養指導医。

かつてと異なり、「見えてきた」糖尿病

かつてと異なり、「見えてきた」糖尿病

編集部

糖尿病の投薬治療って、生涯にわたって続くのでしょうか?

木村先生

早期に適切な治療を行えば、薬を中止できることも多いですね。糖尿病には「薬を使い始めたら、薬を一生やめられなくなる」というイメージを持たれていることも多く、治療の敷居を高くしているようです。実際は、早期に治療を開始した方が、「薬を卒業できる可能性」は高いです。逆に治療開始が遅れると、本当に薬をやめられなくなってしまうこともあります。

編集部

一般には、間違ったイメージが定着していますよね?

木村先生

糖尿病の実態について、わかっていないことが多かったことも原因になっているかもしれません。例えば、「食事を食べる順番を工夫するだけでも、血糖値コントロールの改善が望める」ということもわかってきました。同じ食事内容でも、野菜、タンパク質、炭水化物の順で食べるのが効果的とされています。朝、お腹が減っている時に、甘いカフェラテなどを飲んでしまいがちですよね。

編集部

糖尿病の薬そのものについてはどうでしょう、進歩していますか?

木村先生

お薬も進歩しています。例えば、「食欲を抑える糖尿病のお薬」などですね。体重が増えてしまった人は、胃のサイズも大きくなっていて、なかなか満腹感が得られないために食べすぎてしまう傾向にあるようです。このとき、精神論だけでダイエットしようとしても限界があって、リバウンドしてしまいかねません。そこを、お薬で上手に治療していくことも可能になってきました。

医者に言われたからではなく、自分に必要なことだから

医者に言われたからではなく、自分に必要なことだから

編集部

患者の努力次第なので、将来の予測が難しいという話も聞きます?

木村先生

かつては、患者さん側の精神論に頼る部分があったことは事実だと思います。しかし現在は、治療方法の選択肢も増えてきました。そのため適切な治療を選択することで、患者さんに無理を強いることなく、血糖値コントロールを改善できることも多くなってきていると思います。

編集部

薬から卒業できたとしても、糖尿病治療は続くのですよね?

木村先生

はい。糖尿病は一生、付き合っていく必要がある病気です。そのため、何十年という長い期間を精神論だけで乗り切ることは困難でしょう。良い生活習慣を、自然に無意識のうちに継続できる状態が理想です。100点満点の生活を目指して無理をして頑張っても、続かなければ意味がありません。まずは大切なポイントをしっかりとおさえていくことが重要だと思います。

編集部

その点は、新型コロナウイルスに対する手指衛生などでも学んできました。

木村先生

新型コロナウイルス感染症は、発生当時、多くの人にとって「よくわからない病気」でした。しかし、新型コロナウイルス感染症に対しても、重要なポイントを理解し、対策を行っていくことで、感染拡大をある程度抑えることができると思います。糖尿病に関しても、重要なポイントを理解していただくことで、病気に向き合いやすくなり、治療成績も上向くことが期待できると考えます。

編集部

ただし、医師によっては、最新情報のアップデートができていないと?

木村先生

そういうこともあり得ると思います。一般的に内科は、薬の処方や注射といった「医師の技量が見えにくい治療方法」で進めます。わかりやすく言うとしたら「将棋」にたとえられるでしょうか。駒の動かし方さえ知っていれば、誰でも将棋を指す(プレイする)ことは可能です。糖尿病も同様で、治療や検査を行うだけであれば、ほとんどの医師ができることです。問題は、実際に改善させられるかどうかなんですよね。少なくとも一度は、日本糖尿病学会の糖尿病専門医にご相談することをお勧めします。

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