月経の不快な症状にピルを使うには

第2回 避妊だけじゃない、女性に役立つピルの効果とは
避妊薬としてだけでなく、PMS(月経前症候群)対策や月経困難症(いわゆる生理痛)にも使えるというピル。生理痛の痛みの度合いは人それぞれ違うものだが、どの程度の症状で処方の相談をできるのだろうか?

「生理痛が少し気になる程度でも、ご相談いただいて大丈夫です。来院する20~30代の女性の場合、ピルを処方するケースは、生理痛、月経不順、月経前症候群(PMS)の症状の方が多いですね」(よしの女性診療所 吉野一枝先生 以下同)

20~30代の女性は重い生理痛に悩む人が多い。ピルは特にこの痛みに効果を発揮してくれるのだとか。

「ピルを飲むことで生理痛はかなり良くなります。また、生理痛がある人は子宮内膜症の予備軍ともいわれています。生理痛が重い場合は一度産婦人科で診察を受け、子宮内膜症の予防や治療にも使われているピルの処方を相談するのがいいでしょう」

また、ピルは過多月経で貧血になる人にも有効だそう。

「ピルを飲むことで、月経の出血量は軽減します。なかには、ピルを服用することで1~2日程度で生理期間が終わる方もいらっしゃいます。生理周期も整えてくれるので、生理不順の人は28日周期ぴったりになります。予定も立てやすくなりますし、月経日の移動もできるので、受験などの重要な日を控えている方にも役立ちます」

子宮筋腫などで過多月経になると、貧血で鉄剤を処方されることがあるが、そのような症状にもピルは有効なのだそうだ。

月経の不快な症状にピルを使うには

●なぜ現代女性は生理痛がひどくなったの?

ところで、現代女性は以前に比べて生理痛が重くなっているともいわれるが、それって本当?

「今はさまざまな事情で、お産の回数が減ってきています。妊娠・出産時期が遅くなり、出産するまでの時期が延びると、その間に月経・排卵が繰り返されて子宮が酷使されるため、生理痛がひどくなってしまうんです。出産回数が多かった昔は、生涯の月経回数が約50回と少なかったため、トラブルもあまりなかったのだと思われます」

月経の不快な症状を改善するのに役立つピル。重い生理痛のある月経困難症の場合、処方は保険適用となる。生理痛を鎮痛剤で抑えていたら、子宮内膜症だったということもあるので、痛みがある人は一度診断を受けるのが望ましい。生理の不快な症状があるなら我慢せず、かかりつけの産婦人科に相談しよう。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

吉野一枝
よしの女性診療所
よしの女性診療所院長。産婦人科医。臨床心理士。街のかかりつけ医として診察を行いながら、雑誌などに多数寄稿。著書『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)。
よしの女性診療所院長。産婦人科医。臨床心理士。街のかかりつけ医として診察を行いながら、雑誌などに多数寄稿。著書『母と娘のホルモンLesson』(メディカルトリビューン)。