時に人の命や財産などを一瞬にして奪ってしまう、大規模な災害。被災してしまった人は、大きな悲しみや不安の中でも、一刻も早く元の生活を取り戻そうとするはずです。被災地から遠く離れたところにいる人の中には、なにかしら被災した人のサポートができればと、善意の行動に出ることもあります。平時も非常時も、多くは善意のもとで成り立っています。
しかし、一方で災害時の混乱や、多くの人の不安な気持ちや善意に乗じて、犯罪を犯す人たちもいます。悪質商法などの詐欺行為をはたらく人たちです。
そうした災害に乗じた詐欺行為には、どのような手口があるのかを知り、トラブルに合わないように注意するとともに、もしも被害にあった場合にはどのように対処したら良いのかなどを、平時から考えておきましょう。
台風などの災害後によく見られる「点検商法」
そうした気持ちにつけ込んで、災害後に発生する悪質商法の一つに「点検商法」があります。
代表的な手口としては、「屋根の無料点検後、このまま放置すると雨漏りすると言われて高額な契約をさせられた」というもの。「外壁が傷んでいるので、次に台風が来ると危ない」というパターンもあります。
見知らぬ業者が突然訪ねてきて、「点検は無料」と屋根や床下などに入ります。点検後に住宅の状況を写したという写真を見せられることもありますが、実際の住宅とは別の、あらかじめ用意されたひどい状況のものを見せられ、不安をあおり、高額な修繕工事の契約を迫られます。
見知らぬ業者が突然訪ねてきたり、「点検無料」を強調されるなどしたら、相手にせずに、はっきりと断るようにしましょう。
災害によってすでに地域が大きな被害に見舞われている時には、「罹災証明書の発行」を口実に、行政の委託を受けているわけでもない悪質な業者がアプローチしてくるケースもあります。こうしたケースでは、自治体の窓口などに確認を取るようにしましょう。
修繕工事が必要な場合にも「修繕詐欺」
点検商法から修繕詐欺に発展するケースの他に、「屋根が壊れているから、すぐに修理しますよ」と依頼もしていないのに勝手な工事を行い、高額な料金を請求されるケースもあります。
また、突然訪問してくるケースばかりでなく、ポストに入ったチラシを見て業者を呼んだとしても、修繕詐欺に遭ってしまう可能性があります。独立行政法人国民生活センターに寄せられている事例には、「台風で自宅の屋根瓦がずれ、見積りのつもりで業者を呼んだら、屋根にビニールシートをかけられ高額な作業料金を提示された」というケースも。ブルーシートで応急措置だけを行い、工事代金を受け取って「正規の工事は後日となる」と言ってさってしまい、そのあとは連絡が取れなくなるという手口です。
豪雨で雨漏りした箇所を修理してもらったら、さらにひどくなったというケースもあります。
こうした悪質な業者は、契約を急かしてくることがほとんどです。もしも契約を迫られたとしても、その場では決めないようにしましょう。修繕などを業者に依頼する場合には、複数の業者から見積りを取るようにし、できるだけ詳細な見積りを提出してもらうようにすることもチェックするポイントの一つです。
修繕工事などの契約は、じっくり検討し、慎重にしましょう。一人暮らしのご高齢の方を狙って悪質業者が近づいてくるケースも多くあります。災害が発生した時には、離れて暮らしているご家族にもこうした業者が近づいてきていないか確認したり、相談して決めるようにしましょう。
配信: moshimo ストック