最低賃金法とは?給料が少ない場合に知りたい最低賃金法の7つのこと

最低賃金法とは?給料が少ない場合に知りたい最低賃金法の7つのこと

最低賃金法とは、どのような法律なのだろう……。

労働者に、どのように関わってくる法律なのだろう……。

勤め先から支払われる給与は、「最低賃金法」によって保障されています。

「給料がどうも少なすぎる」と感じたなら、もしかすると使用者が「法令違反」をしているかもしれません。

不満を持ったまま何も対処せずにいると、本来得られるはずの収入分が、刻一刻と損失に代わってしまいます。

あなたがやっと行動する気になったときには、本来得られたはずの収入分が時効消滅し請求できなくなる可能性もあるでしょう。

もし、上記のような不満に心当たりがあるのなら、今すぐ「最低賃金法」の仕組みと保障される賃金を確認してみましょう。

本記事では、最低賃金法の概要について解説したうえで、

  • 最低賃金の調べ方
  • 最低賃金法が適用される範囲
  • 給与が最低賃金額以上であるか確認する方法

について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

あわせて、

  • 最低賃金法違反の罰則
  • 最低賃金を巡る3つの問題点
  • 最低賃金が支払われていない場合の対応方法

についても紹介します。

この記事が、最低賃金法を理解したいという労働者の参考になれば幸いです。

1、最低賃金法とは

(1)最低賃金法の概要

最低賃金法とは、会社や自営業者などに対し、労働者へ所定額以上の賃金を支払うよう使用者に義務付ける法律です(最低賃金法第4条)。

仮に、労働者が最低賃金を下回る賃金に同意していたとしても、法律上の効力を持ちません。

以上の基礎知識を押さえた上で、最低賃金に関する詳しい規定を確認してみましょう。

(2)最低賃金の種類

国によって定められる最低賃金は、「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の2種類です。

各労働者においては、どちらか水準が高い方を適用しなければなりません(最低賃金法第6条)。それぞれの概要は、以下の通りです。

①地域別最低賃金

「地域別最低賃金」とは、その名が指すように、都道府県別に定められる最低賃金です。

金額の決定にあたっては、その地域で暮らすために必要な支出額や、地域で事業を営む個人・法人の賃金支払能力が考慮されます(最低賃金法第9条2項)。

「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができるよう、生活保護にかかる施策との整合性が考えられている点にも、特色があります(最低賃金法第9条3項)。

②特定最低賃金

「特定最低賃金」とは、特定の地域かつ特定の産業ごとに定められた最低賃金です。

自治体や政府のホームページでは、「産業別最低賃金」と表記されることもあります。

特定最低賃金が、地域別最低賃金とは別に定められる理由は、「地域ごとの産業需要や業務内容の難しさを特別に考慮する必要性がある」と考えられているからです。

以上のことより、特定最低賃金は、地域別最低賃金に比べて高い水準となるのが特徴です。

特定最低賃金の定めがある産業は、令和2年9月1日までに全国で228件に及んでいます。

2、最低賃金の調べ方

最低賃金において最も気になるのは、「自分の働く地域や職種に対し、具体的にどのくらいの賃金が保障されているのか」でしょう。

個別の最低賃金は、厚生労働省ホームページで確認できます。

  • 地域別最低賃金:地域別最低賃金の全国一覧
  • 特定最低賃金:特定最低賃金の全国一覧(※)

(※)地域ごとではなく全国統一で定められる産業については、「全国設定の特定最低賃金」から確認できます。2021年7月時点で全国設定がある産業は、非金属鉱業のみです。

勤め先の支払う賃金が最低賃金法に反していないか個別に確認するうえでは、さらにいくつかの前提知識が必要です。

次章において前提知識に触れてから、給与が最低賃金以上か調べる方法を解説します。

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