海外相続についての5つの基礎知識|国内相続と異なる点とは

海外相続についての5つの基礎知識|国内相続と異なる点とは

3、被相続人が海外に住んでいた場合の相続とは?

(1)死亡届の提出方法は?

死亡した被相続人の国籍が日本である場合、死亡した日から3ヶ月以内に、日本にあるその本籍地に死亡届を提出する必要があります。

提出先は、

  • 滞在国にある大使館や総領事館などの在外公館
  • 本籍地の市区町村役場

のどちらかを選択してください。

その際に必要な書類は、

  • 死亡届
  • ①現地医師の死亡診断書、②現地官憲による死体検案書もしくは死亡診断書、③死亡証明書のいずれか
  • 上記書類を日本語に訳した文章
  • 届出をする人の印鑑

です。

海外に住む被相続人が死亡した場合には、これらの書類を用意し、在外公館や本籍地の市区町村役場に提出してください。

また、手続きの詳細については、滞在国によって異なる可能性がありますので、現地の在外公館、または被相続人の本籍地にある市区町村役場に確認するようにしましょう。

(2)海外の方式で書かれた遺言書は有効?

被相続人が海外の方式で遺言書を作成した場合でも、その遺言書は無効にはならないので安心してください。

日本における相続では、日本の民法に沿った形式で遺言書を作成しなければなりません。

しかし、海外の相続にまでこれを適用すると、国ごとの書き方の違いにより、無効になってしまうケースが増えてしまいます。

それを防ぐために、他国の法律に沿った形式で書かれた遺言書であっても、自国においても有効なものとして取り扱えるようにと、『遺言の方式の準拠法に関する法律』が1964年6月10日に施行されました。

その条文については、以下の通りです。

遺言は、その方式が次に掲げる法のいずれかに適合するときは、方式に関し有効とする。

一 行為地法

二 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時国籍を有した国の法

三 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時住所を有した地の法

四 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時常居所を有した地の法

五 不動産に関する遺言について、その不動産の所在地法

引用元:遺言の方式の準拠法に関する法律第2条

つまり、これを簡単に説明すると、

一 遺言書が作成された国の法律

二 遺言者が遺言の成立または死亡した時の国籍の法律

三 遺言者が遺言の成立または死亡した時の住所の法律

四 遺言者が遺言の成立または死亡した時の一定期間住んでいた場所の法律

五 不動産に関する遺言について、その不動産があった場所の法律

のいずれかに適合していれば、その遺言がたとえ海外で作成されたものであったとしても、有効なものとして扱われるということです。

(3)被相続人が海外にいる場合の相続手続き

海外にいる被相続人が死亡した際の相続手続きは、その被相続人の国籍によって遺産分割の方法が異なります。

①被相続人が外国籍のケース

もともと日本人だった被相続人が外国籍になった場合には、その国の法律に従って相続が行われます。

不動産相続の場合、国によっては、その不動産の所在地の法律に従うことと決められている場合もありますので、こういったケースでは、その国の領事館などに問い合わせをするようにしてください。

②被相続人が日本国籍のケース

通則法第36条には、このように記載されています。

相続は、被相続人の本国法による。

引用元:通則法第36条

つまり、被相続人が海外に居住していたとしても、国籍が日本にある場合、日本の民法によって相続手続きが行われます。

日本の民法による相続の進め方については、こちらの記事も併せてご覧ください。

ただし、被相続人のもつ海外での財産や借金、または不動産なども調査する必要があり、これは隠すことができません。

被相続人の遺産は海外・国内のもの全てが含まれるので、注意しましょう。

4、被相続人の遺産が海外にあるケース

では、被相続人の遺産が海外にあるケースでは、その手続きはどのようにすればよいのでしょうか?

ここではその手続きや、海外にある遺産の税評価について、解説していきます。

(1)手続きはどのようにして行われる?

原則としては、被相続人の国籍による法律で相続が行われます。

日本国籍を保有しているのであれば、日本の民法が適用されます。

しかし、二重国籍の場合など、簡単にその判断をできないケースも多々あります。

この場合には、長く居住しているどちらかの場所(常居住地)での本国法が適用され、相続の手続きが進められていきます。

ただし、常居住地にも法律上の明確な定義はなく、『相当時間滞在していた地域』という定めしかないため、どこの国の法律が適用されるのかは領事館等でしっかりと確認をし、明確にした上で手続きを行っていく必要があるでしょう。

(2)海外にある遺産の税評価は?

それでは、海外にある被相続人の遺産の評価額については、どのように考えていけばよいでしょう?

①現金

海外の現金を相続する場合には、ほとんどの場合で相続税が発生します。

この相続税については、日本円での課税となります。

しかし、以下に該当する場合には、課税対象にならない可能性もあります。

  • 被相続人の住所が海外で、かつ相続人の国籍が日本以外のケース
  • 被相続人の住所が、相続が始まる5年以上前から日本以外にあり、かつ相続人の住所が相続の始まる5年以上前から日本以外であるケース

②不動産

日本で所有する不動産の税評価をする際は、路線価(1㎡あたりの評価額)という国税庁の指標を用います。

しかし、この路線価は日本特有のものであり、海外には存在しません。

また、固定資産税評価額がない国もあり、日本の方式で海外にある不動産の相続税評価額を求めることは難しいというのが現実です。

そこで、海外にある不動産の税評価については、国税庁が定めた次の基準があります。

5-2 国外にある財産の価額についても、この通達に定める評価方法により評価することに留意する。

なお、この通達の定めによって評価することができない財産については、この通達に定める評価方法に準じて、又は売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価するものとする。

引用元:国税庁 財産評価基本通達5-2(国外財産の評価)

これは、簡単に解説すると、

『海外にある財産も日本と同じ方法で評価しましょう。ただし、日本と同じ方法での評価が難しい場合には、市場での売買価格や、専門家から評価を出してもらってください』

ということが記載されています。

つまり、日本と同じ方法での税評価が難しい場合には、

  • 現地の不動産会社に査定を依頼する(→費用の負担なく、評価を求めることができる)
  • 専門家(不動産鑑定士など)に税評価を依頼する(→意見作成のための費用に、通常数十万円かかる)

などし、海外不動産の相続税評価額を算出するようにしましょう。

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