5、事実婚での不倫特有の2つの注意点
事実婚における不倫の扱いや制裁方法に法律婚と大きな違いはありませんが、事実婚だからこそ注意しなければならない点が2つあります。
事実婚での不倫の注意点を理解した上で、不倫への制裁について検討するようにしましょう。
(1)法律婚よりも複雑化しやすい
事実婚の不倫は法律婚の場合よりも複雑化することが多くなっています。
その理由は、事実婚関係の証明が難しいからです。
法律婚の場合は戸籍に婚姻についての記載があるため、婚姻関係の有無は明確になっています。
しかし、事実婚では証明できる手段がありません。
そのため、パートナーに慰謝料請求をしても「恋人関係だと思っていた」と主張されてしまう可能性があるのです。
また、不倫相手に慰謝料請求をするには相手の故意や過失が必要になりますが、「同居している彼女がいることは知っていたが、事実婚関係にあることは知らなかった」と主張される可能性もあります。
事実婚では不貞行為があったことだけではなく、事実婚が成立していることを立証しなければならないことから法律婚よりも慰謝料請求のハードルが上がると言えます。
(2)事実婚の立証が重要になる
事実婚の不倫で慰謝料請求や事実婚解消を行うには、事実婚の立証が重要なポイントになります。
次のようなことがある場合には、事実婚は立証されやすいです。
- 住民票に「未届けの夫(妻)」と記載されている
- 健康保険で第三号被保険者になっている
- 生命保険の受取人欄に内縁関係が記載されている
- 結婚式を行った
- 男性側が認知した子供がいる
このように第三者が見ても明らかに事実婚であることが分かるような要素があれば事実婚を立証しやすいですが、こうした明確な証拠がないケースも少なくありません。
そのような場合には、家計が同一になっていることや、互いに婚姻の意思を持っていることを証明する必要があります。
6、事実婚での不倫トラブルは弁護士へ相談を
事実婚でパートナーが不倫した場合には法律婚と同様に慰謝料請求や離婚することが可能ですが、法律婚よりも複雑化しやすい傾向にあります。
そのため、事実婚での不倫トラブルはご自身で解決しようとするのではなく、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、事実婚や不貞行為の立証のために必要な証拠集めを的確に行うことができ、交渉や手続きを全て任せることができます。
事実婚の不倫で慰謝料請求することは容易ではないため、専門家である弁護士に依頼すれば心強いものです。
また、事実婚を解消する場合には、財産分与や年金分割など離婚条件を決める際にもサポートを受けられます。
配信: LEGAL MALL