もし、わが子がいじめの加害者だったら、どう対処する?

第2回 わが子がいじめの加害者だった! 親としてどうする?
子育てをしている親にとって、“いじめ問題”は決して人ごとではありません。しかし、もしわが子がいじめの加害者だったら…と考えたことがあるでしょうか? もし、加害者だった場合、親としてどう対処したらいいのでしょうか?

白梅学園大学教授で臨床教育学を専門とする、増田修治先生にお話を伺いました。

「わが子がいじめの加害者であることが学校で発覚した際、まずしなければならないことは、先生、わが子、友だち、友だちの親御さんなどに話を聞き、きちんと事実を把握することです。わが子の言い分を聞くことはもちろん大事ですが、それが本当に正しいかどうかを精査するんです。信じることと、客観的にみることは違います。子どもは基本的に自分の都合のいいことしか話しませんからね。多方面から情報を収集して、わが子の言い分と食い違いがないか確認してください」

絶対やってはいけないことは、親が冷静さを失って何も事実を確認せず感情的に子どもを叱りつけることだという。

「いきなり“なんてことしたんだーっ!”と、一方的に問い詰めると、ごまかしたり、心を閉ざしてしまったりするので気をつけてください」

わが子がいじめの加害者だったら、どう対処する?

そして、いじめが事実であることがわかったら、親として真剣にわが子と向き合うことが大事だと、増田先生は話します。

「ちゃんと子どもを交えた家族会議をしていただきたいのですが、その前に必ず夫婦間で話し合って、“今後どうすればいいか?”という意見を一致させてから臨んでください。両親の意見が食い違ってしまうと、子どもが戸惑ってしまいますからね。そして、話し合いがはじまったら、親御さんの考えや思いをしっかり話して伝えます。そして、必ずそれを話したうえで“お前はどう思ってる?”と、聞いてやってください。これが大事! 一方的な説教は逆効果なだけなので気をつけてください」

考えを聞かれた子どもは、おそらくいろいろ言い訳や自分の正当性を主張してくるでしょう。しかし、子どもの意見を聞きつつも、親はいじめは絶対にいけないと毅然とした態度を貫かなければならないそう。

「どんな理由があろうとも、やり返し、いじめていい理由はない。人を大事にしなければいけないと、そこはきちんと通してください。実は、子どもはちゃんと怒ってほしいものなんです。いじめていながらも、心のどこかではいけないこととわかっている。そこを大人がきちんと怒ってくれることで、自分が悪いと思っている感覚はおかしくないんだ…とわかっていくんです。もし、言い分を理解し、“相手にもいじめられる理由があったんだね”などと言ってしまったら、子どもの罪悪感を肯定することになる。それでいいよ、もっと続けろと言っているようなものなのです」

さらに、いじめがどんなに恐ろしいことか、悲劇につながるかを諭します。

「いじめは友だちに辛い思いをさせるだけでなく、エスカレートすれば友だちの命をも奪ってしまうということ。その責任を一生背負って生きていかなければならないこと。さらに、今はネット上で加害者の顔写真から個人情報まですべてさらされ、自分が社会的に抹殺される可能性もあること。そういった現実をきちんと話して理解させてください」

そして、きちんと反省したら、そこで救いのある言葉をかけてやります。

「反省した子どもをその場で許すのではなく、“反省は、これから先の行動で見せてほしい。ずっと見ているからね”と、伝えてください。実は、これが何より大事。見捨ててないよっていうメッセージなんですよ。どこかで救いの手をさせのべてあげないと、本当にダメになってしまうんです。間違っても“もう知らない!”とか“勝手にしろ!”と突き放さないようにしてください」

子どもが反省をしたところで、被害者にきちんと親子で謝罪することも忘れてはいけないそう。

「謝罪するときの注意としては、個人的にコンタクトを取らず、必ず学校を通すこと。被害者の複雑な心境もありますから、当事者同士がコンタクトをとることで、かえってこじれてしまう可能性もあるので、学校に間に入ってもらい、謝罪するようにしてください」

尊い命が失われてからでは遅いのです。わが子が加害者になってしまったときは、いじめという行為が、どんな悲劇をもたらすことなのか? その現実を早い段階できちんと伝え、理解させる。それこそが、いじめをひとつでも減らすことにつながるのではないだろうか。
(構成・文/横田裕美子)

お話をうかがった人

増田修治
増田修治
白梅学園大学 子ども学部子ども学科教授
埼玉大学教育学部を卒業後、28年間の小学校教員 生活を経て、現職。専攻は、臨床教育学、学級経営論。 小学校教諭を対象とした研修の講師なども務め、さまざ まな学校問題に取り組んでいる。また、新聞、テレビ、雑 誌などメディアのコメントなども多数。「笑う子育て実例集」 (カンゼン)ほか、著書も多数。
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