前回のコラム「定期預金だけで大丈夫? 安全第一に潜むリスク」では定期預金「だけ」で資産を持つのはリスクになり得ることをお伝えしまた。それではどんな形で資産を持つのがいいのでしょうか。
上場している企業の株式を買うのも一つの方法です。
ただ、上場企業の数は多く、どの企業を買うか、絞り込むのは大変です。
また、昔より購入しやすくなったとはいえ、まだまだ購入に際してはある程度まとまったお金が必要になることも多いです。初めて投資をするときに、複数の企業の株を持つのは難しいでしょう。そう考えると、初級者には敷居が高そうです。
まして、FX(外国為替証拠金取引)や最近話題の仮想通貨(ビットコインなど)は、リスクが高く、仕組みを十二分に理解せずに手を出すと、大きな損害を被る可能性があります。
それでは何があるかといえば、まず思い浮かぶものとして「国債」があげられます。
国債・個人型国債

国債とは、国が発行する債券(借金)のことです。日本国が発行しているものが日本国債です。
“国”が発行しているものですから、世の中で流通している債券の中で『一番リスクが低い投資先』と言われています。証券会社や銀行を通して個人でも購入できます。
満期は、2年・5年・10年の3つの期間から選べます。(現在2年ものは金利低下のため募集中止)金利は銀行の預金よりも高くなっていますが、満期前に解約をした場合は元本割れを起こす場合もあり、その点は注意が必要です。購入にはまとまったお金が必要だと思われるかもしれませんが、5万円から購入が可能になっています。
また「個人型国債」というものもあります。基本は国債と同じですが、1万円から購入できること、途中解約しても原本割れをしないことなど、より個人でも購入しやすい仕組みになっています。ただし金利は、通常の国債よりも低く設定されます。
投資信託

もう一つお薦めできるのは、投資信託(投信)です。毎月定額を購入していく積立投資が可能な投信が数多くあり、定期預金のような感覚で始めることができます。
むろん、投信には多くの種類があり、中にはリスクの高いものあります。
その中で初心者の方にお薦めできるのは、さまざまな指数―日経平均や東証株価指数(TOPIX)など―に連動している「インデックスファンド」です。市場全体に投資をするのと同じ意味になりますから、リスクを低減できます。
国債の価格に連動するインデックスファンドもあるので、毎回自分で購入手続きを取らなくても、国債と同じ低リスクで積立をしていくことも可能です。
以前は、毎月の積立金額は1万円からでしたが、現在では千円からという投信も出てきており、より始めやすくなっています。
以上見たように、低リスクで、しかも少額から投資を始める環境は整い始めています。
すべてをこうした投資に充てる必要はありませんが、貯金の一部を振り向けることからスタートしてみることを検討してみてはいかがでしょうか。
中小企業診断士、ライター。
転職を繰り返していたため、他人より退職金が少ないことに不安を覚え、2008年ころより資産形成のために投資信託を活用した金融投資を開始。当初はインデックス投資を中心に運用していたが、徐々に投資哲学に共感できるアクティブファンドに軸足を移す。ただし、積立を基軸とする「コツコツ投資」のスタイルは維持している。
中小企業診断士兼ライターとして多くの経営者にインタビューさせてもらう中で、成長する経営者の「お金に対する哲学」を学ぶことができた。
現在は、経営者の資産形成のアドバイスもできるようになることを目指している。
主な執筆先は、クーリエジャポン、企業診断(同友館)、道経塾(モラロジー研究所)、など
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