子どもの心を追い詰める、親の「完璧主義」コンプレックス

第3回 子どもに伝染? ママのコンプレックス
放置しているとどんどん溜まるネガティブな感情。とくに子育て世代のママたちは、思い通りにならないことも数知れず。毎日のようにモヤモヤやイライラに苛まれていることでしょう。しかし、あまりに「完璧」であろうとするばかりに、自身だけでなく子どもの心まで追い詰めてしまうことがあるようです。

そうした感情をスッキリ洗い流すには、いったいどうすればいいのでしょうか?

●心を追い詰める“完璧主義”

とくに完璧を求める人は、そうしたネガティブな感情で心が凝り固まってしまいがちなのだとか。

「完璧主義の人はちゃんとやろうとするからこそ、ちょっとしたことにイライラしてしまうもの。たとえば、お弁当は栄養バランスもしっかり考えて、毎日何品作るというように決めていると、買い物するときに買い忘れをしないように、いつも気を張っていなければいけません。そうすると、完璧であろうとするからこそ、イライラや不満が溜まってしまうんです」(みずがきさん、以下同)

子どもにとっても完璧過ぎるより、ちょっと失敗するお母さんの方がいいのだそう。

「たとえば、もし何かうっかり忘れてしまったときに、子どもはお母さんのできない部分をカバーしようと、自分がしっかりしなきゃと思うため、伸びしろができます。一方、お母さんが完璧だと、逆に自分も失敗できないと思って、萎縮してしまうこともあります」

親のコンプレックス

●完璧志向と解きほぐすには?

では、完璧志向に傾きがちな心を楽にするには、どうすればいいのでしょう?

「もともと繊細で神経質なタイプの方が、完璧主義になる傾向はありますが、とくにお母さんになると、子どものために一生懸命になろうとし過ぎてしまうがゆえに、完璧主義になってしまうケースが多いです」

しかし、それはなんといっても、子どもが掛け替えのない大切な存在だからこそと、みずがきさんは言います。

「なかには、幼稚園選びから習い事、すべてに悩んでいらっしゃいます。でも、極論をいえば、お母さんがどれだけその子のことを好きかということが伝わっていれば、どんな失敗も許されるんだということを分かっておいて欲しいと思います。誰よりも自分を好きでいてくれる人がいると思うと、子どもは生きていく勇気を持てるものなんです」

子育てに限らず、失敗できないというプレッシャーから、イライラ・モヤモヤが派生するのかもしれません。自分が完璧主義かもと感じる人は、失敗する姿を子どもに見せることをためらわず、適度に肩の力を抜いたほうがいいのかもしれません。

(構成・文:末吉陽子/やじろべえ)

お話をお聞きした人

みずがきひろみ
みずがきひろみ
カウンセリングサービス 心理カウンセラー
大学卒業後、金融機関で投資アナリストとして20余年働いた後、2008年から現職。夫婦関係、母子関係、職場の人間関係などの対人関係の問題を扱うカウンセリングや、自分らしく人生を豊かに生きるための講座やワークショップを開催。
大学卒業後、金融機関で投資アナリストとして20余年働いた後、2008年から現職。夫婦関係、母子関係、職場の人間関係などの対人関係の問題を扱うカウンセリングや、自分らしく人生を豊かに生きるための講座やワークショップを開催。

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