エアコンの臭い、気になっていませんか? 原因と対処法をご紹介

エアコンの暖房や冷房をつけると、何だかイヤな臭い……。最初だけかと思って我慢していても、運転させるたびに臭いが気になることもありがちです。これはカビ? それともホコリのせい? 判別しづらい臭いの原因と対処法を、掃除の専門家である藤原千秋さんに教えてもらいました。

エアコンの臭いが発生する要因は、その構造にあり

久しぶりにエアコンをつけて臭いが気になること、ありませんか? 藤原さんによると、この臭いにはエアコンの構造が大きく関わってくるそうです。

室内の空気を臭いごと取り込むエアコンの構造

イラスト:ホコリを含んだお部屋の空気は、フィルター、熱交換器、送風ファンを通って、ホコリが除去されたキレイな空気となり、お部屋に戻される

「以前の記事、『キレイな空気のお部屋で過ごしたい! 換気のコツや、エアコンのフィルターや内部の正しいお掃除方法
』でもお話ししたように、通常、エアコンは内部循環式。室内の空気を取り込んで熱交換をすることで、冷暖房運転を行っています。つまり、室内の空気に含まれる臭いも内部に取り込んでいるということですね」

エアコンに影響する室内の臭いの正体は?

「室内の空気は、ホコリ、アロマやお線香のほか、キッチンに通じている部屋のエアコンなら油煙、喫煙者がいれば煙草の煙など、実はさまざまな臭いであふれています。エアコンの臭いの元となるのが、こうした臭い。ちなみに、洗濯で柔軟剤を使っている家庭なら、ホコリ自体が柔軟剤の臭いになりがちです。これは、ホコリには衣類から落ちた繊維が多く混じっているため。最近は在宅時間が長くなっている人も多いので、柔軟剤の臭いがする繊維由来のホコリも増えているでしょうね」

何より困るのは、内部に発生したカビの臭い!

室内の空気には、臭いだけでなくさまざまな種類の汚れも含まれています。こうした汚れがホコリと共にエアコン内部に入り込めばカビを発生させる要因となり、結果としてエアコンをカビ臭くしてしまうのだとか。

「ホコリにはカビ胞子はもちろん、私たちの皮膚がはがれ落ちたものや、唾液が乾いて粉末状になったもの、ペットがいれば臭腺からの分泌物なども含まれています。いずれも、カビにとっては格好の栄養。カビの生育条件は、私たちが快適に感じる温度と湿度に合致するので、栄養も摂れるエアコン内部はカビが生えやすい環境なんです。エアコンの内部は見えないので気付きにくいですが、少しでも臭ければカビが発生している可能性がありますね」

臭い=汚れと考えて、できるだけ早めに対処を

エアコンが臭うということは、すなわち内部が汚れているということ。藤原さんも、「エアコン内部は見えないけれど、嗅覚を頼りにすれば汚れがうかがえる」と語っています。

「カビの臭いといえばツンとした刺激があるものですが、それだけでなく雑巾の臭い、部屋干しのすえたような臭いが感じられることも多いのではないでしょうか。あれらは、繁殖した雑菌から発生しているもの。いずれにせよ、エアコンから違和感のある臭いがするなら対処が必要です。なお、人の嗅覚は時間が経つと慣れてくるので、エアコンを始動させてから5分〜10分くらいの間に感じ取れる臭いに注意すると良いでしょう」

発生させないことが重要! 季節ごとのカビ予防策

イラスト:カビ

さまざまなエアコンの臭いがある中でも、特に良い気分がしないのはカビの臭い。これを避けるには、とにかくカビを発生させないことが大切です。梅雨のように湿度が高い時期だけ警戒すればいいようにも思いますが、「決してそうとは言えません」と、藤原さん。

「夏でも冬でもカビが好む環境は同じで、温度20〜30℃、湿度60%以上と言われています。冬でも加湿機や結露による水分があるので、冬は乾燥しているからと思い込んで、対策を疎かにしないようにしたいですね。なお、湿度は50〜60%の範囲内に留めるのが理想。ただし、室内環境だけで無理に調整するのではなく、夏と冬のカビの原因を知り、適切な対策を施すことが大切ですね」

夏、冷房シーズンのカビ予防策

藤原さんによると、「夏のカビ予防では、冷房運転後の結露に注意が必要」なのだとか。

「冷房運転後はエアコン内部に結露が発生し、湿度が高くなりカビの育成を助けてしまいます。自動乾燥機能が搭載されたエアコンの場合、電気代がもったいないと電源を切らずに、運転するごとにしっかりと使うようにしましょう。また自動乾燥機能がないモデルの場合は冷房運転をオフした後に30分ほど暖房運転を行って、内部をしっかり乾燥させるのがオススメ。なお、送風モードでも乾かせますが、3時間ほどはかかるので状況に応じて使い分けましょう」

冬、暖房シーズンのカビ予防策

冬の場合は「部屋の加湿しすぎに気をつけましょう」と、藤原さん。

「カビが好む湿度を考えれば、過度の加湿は避けたいところ。湿度が高いと、カビと共にお部屋にダニも増えてしまうので注意してください。もし、湿度が上がりすぎた場合は、積極的に乾燥した外気を取り入れる換気をしましょう。また、鍋料理のようにキッチン以外の場所で調理した場合も、湿気がこもってしまいがちなので換気は必須です。このほか、窓周辺の結露をそのままにしておくのは、窓枠やカーテンなどにカビが発生しやすくなるのでNG。室内のカビが増えると、当然ながらエアコンの内部に胞子が入る量も増加してしまいます」

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