「全粒粉」って健康的?かしこい取り入れ方とは|管理栄養士執筆

「全粒粉」って健康的?かしこい取り入れ方とは|管理栄養士執筆

コンビニやスーパーなどのパン売り場でもよく見かけるようになった「全粒粉入り」の文字。

全粒粉を用いたパンや焼き菓子はほんのり茶色がかっている生地になるため健康的なイメージを持たれることも多いですが、具体的にはどんなメリットがあるのでしょうか?

全粒粉とは普通の小麦粉とどう違うのか、健康のための取り入れ方を紹介します。

「全粒粉」ってなに?

「全粒粉」は「小麦全粒粉」とも呼ばれる、小麦粉の一種です。

通常の小麦粉は小麦の粒から胚芽と表皮を取り除いた「胚乳」の部分のみを粉にしたものですが、全粒粉は、胚芽と表皮を取り除かずに製造されたものを指します。

全粒粉は重量のおよそ8割が通常の小麦粉と同じ胚乳、残り2割ほどがそれ以外の胚芽や表皮で構成されています。

全粒粉

小麦粉はたんぱく質の含有量により薄力粉や強力粉に分類されますが、全粒粉にもそれぞれ薄力タイプと強力タイプが存在します。

また、混同されやすい「小麦ブラン」は小麦の表皮(ふすま)のみを指す言葉で、一部同じものではあるものの、全粒粉とイコールではありません。

「全粒粉」の栄養・健康面での魅力とは?

健康的なイメージのある全粒粉。

通常の小麦粉と比較して、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?

カロリーや含有される栄養素について、日本食品標準成分表2020年版(八訂)のデータを用いて、一般的にパンによく使用される強力粉で比較してみました。

■エネルギー

強力粉:337kcal/100g

全粒強力粉:320kcal/100g

全粒粉のほうがやや低いものの、大きな差はありません。

小麦粉で作ったパンでも、全粒粉100%のパンでも、摂取するエネルギーに大きな差は出にくいようです。

■たんぱく質・脂質・炭水化物・食物繊維の含有量

強力粉:たんぱく質…11.8g 脂質…1.3g 炭水化物…73.5g 食物繊維…2.7g(すべて100gあたり)

全粒強力粉:たんぱく質…12.8g 脂質…2.9g 炭水化物…61.2g 食物繊維…11.2g(すべて100gあたり)

胚芽や表皮が含まれることで、通常の小麦粉よりも食物繊維が豊富で、また、たんぱく質と脂質がわずかに多く含まれるようです。

食物繊維は生活習慣病などの疾病の予防に役立つことから、摂取量を増やすことが望ましい栄養素のひとつです。

通常の小麦粉を全粒粉に変えた場合、食物繊維の摂取量を増やすことに役立ちそうですね。

■ビタミン、ミネラル

強力粉:カリウム…89㎎ マグネシウム…23㎎ 鉄…0.9㎎ ビタミンB1…0.09㎎ ビタミンB6…0.06㎎(すべて100gあたり)

全粒強力粉:カリウム…330㎎ マグネシウム…140㎎ 鉄…3.1㎎ ビタミンB1…0.34㎎ ビタミンB6…0.33㎎(すべて100gあたり)

一部のビタミン及びミネラルにおいて、通常の小麦粉よりも全粒粉で含有量が多くなっていました。

ビタミンやミネラルは小麦粉などの穀類だけからとっているわけではなく、全粒粉をとったからと言ってサプリメント的に必要量を満たせるというものではありませんが、単純な摂取栄養素の量としては増やすことができそうです。

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