実は半数以上の女性が「隠れ貧血」、生理が重いなと感じる女性は要注意!

実は半数以上の女性が「隠れ貧血」、生理が重いなと感じる女性は要注意!

今回は、女性に多い貧血と、さらに見つかりにくい「隠れ貧血」にスポットを当ててみました。その症状や兆候、診断法や対処法などについて、「松本産婦人科医院」の松本先生に解説していただきました。

松本直樹

監修医師:
松本 直樹(松本産婦人科医院 院長)

東京慈恵会医科大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学附属病院産婦人科や一般医院産婦人科勤務を経た2015年、埼玉県本庄市に位置する「松本産婦人科医院」を父親より継承。「ありがたいと思われるような医院」を目標としている。医学博士。母体保護法指定医師。日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医、日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医、日本がん治療認定医機構認定がん治療認定医。

貯蔵鉄の不足が隠れ貧血を引き起こす

一般的な血液検査には現れない貯蔵鉄の不足

編集部

貧血というと、女性がなりやすいイメージがあります。月経(生理)と関係しているのでしょうか?

松本先生

そのとおりです。男性と違い、月経のある女性は毎月血液を失っています。そのため、女性は貧血になりやすいのです。なお、ここでいう貧血とは、血液中の赤い成分であるヘモグロビンが少なくなった状態を指します。ヘモグロビンは赤血球に含まれ、体中に酸素を運ぶ役割を担っています。つまり、貧血の状態では体のあちこちで酸素が足りなくなり、動悸や息切れ、めまい感などの症状につながります。ただし、医学的な意味での貧血といわゆる貧血症状とは必ずしも一致しません。症状をあまり感じていない女性でも、知らず知らずのうちに貧血が進行していることもあるので注意が必要です。

編集部

症状が出にくいとすると、どのようなことが貧血を疑うサインなのでしょうか?

松本先生

貧血の程度が重ければ、動悸や息切れ、めまい感、顔色不良、爪や皮膚の不調、氷食症(氷を好んで食べる)などの症状が出ます。その一方、程度が軽かったり、徐々に進行していたりする場合には、症状に気づきにくいこともあります。また、健康診断などの血液検査で貧血を指摘されていなくても、貧血に近い状態になってしまっている「隠れ貧血」の可能性もあるので要注意です。

編集部

「隠れ貧血」について、詳しく教えてください。

松本先生

先ほど説明したように、血液中のヘモグロビンが少なくなった状態を貧血と言います。ヘモグロビンの主な材料は鉄です。血液中以外の鉄は主に肝臓に蓄えられており、それを「貯蔵鉄」と呼びます。月経で出血すると、それを補うために貯蔵鉄を材料にしてヘモグロビンを作るのですが、その貯蔵鉄が足りないと十分な量のヘモグロビンを供給できなくなります。一般的な血液検査では女性の貧血の基準はヘモグロビン値12g/dL未満なので、それより低くなっていれば貧血を指摘されます。その一方で、無症状や検査で異常なしだったとしても、じつは貯蔵鉄が不足していて貧血ギリギリの状態のことがあります。その状態を「隠れ貧血」と言います。

編集部

そうすると、隠れ貧血には症状は出ないのですか?

松本先生

いいえ。鉄はヘモグロビン以外にもチトクロームやミオグロビンといった重要なタンパク質の材料でもあります。そのため、鉄が不足すると倦怠感や冷え、イライラ感、抑うつ気分、肌荒れなど様々な体の不調につながります。また、貧血ギリギリの状態なので、月経の出血が多ければすぐに貧血に陥ります。しかし、その一方で自覚症状をあまり感じないことも多いのです。

隠れ貧血を改善するポイントは「食事」

隠れ貧血を改善するポイントは「食事」

編集部

貧血や隠れ貧血の女性は、どれくらいいるのでしょうか?

松本先生

厚生労働省の調査によると、「20~40歳代の女性の16%が貧血であった」という結果でした。さらに別の報告によると、「若年女性の3分の2が貧血を含めた鉄欠乏状態にある」と示されました。月経のある女性では、1日に10mg以上の鉄の摂取が必要なのですが、日本の女性は7~8mg程度しか摂取できていないのが現状です。そのため、日本は貧血大国と言われるほど、多くの女性が貧血・鉄欠乏状態になってしまっています。

編集部

どうしたら隠れ貧血がわかりますか?

松本先生

血液検査で一般的な項目に加え、血清フェリチンを測定することで診断しています。血清フェリチンは、鉄結合性タンパク質の一種で肝臓に蓄えられた貯蔵鉄の量を反映するため、その値を参考に判断します。具体的には血清フェリチン値が20または30ng/mL未満の場合には鉄欠乏を疑います。ただし、若年女性の貧血や鉄欠乏、隠れ貧血に注目している病院やクリニックでなければ、このような検査や診断はあまりしていないかもしれません。

編集部

鉄の不足や隠れ貧血を改善するにはどうしたらいいですか?

松本先生

基本的には食事で鉄を補っていく必要があります。鉄は肉・魚介類、海藻、緑黄色野菜、大豆などに多く含まれています。レバーや魚介類などに多く含まれるヘム鉄と、のりなどの海藻に多く含まれる非ヘム鉄に分けられます。このような食品の摂取を心がけるのも鉄を摂取するいい方法です。とはいえ、あまり意識しすぎて偏食を招いてはよくないため、私はサプリメントによる鉄摂取を勧めています。より吸収しやすいヘム鉄を含むサプリメントを勧めていますが、日常的に服用しやすいものでよいでしょう。

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