家電のお手入れ、どうしてる? 掃除の方法とコツ

年末や、新生活を迎える際にしっかり掃除をしたいことありますよね?ただ水回りや窓拭きなど家のことに終始してしまい、細かいものまでは手が回らないことはありがち。中でも見落としがちなもののひとつが、家電です。毎日のように使っているのに、つい後回しにしてしまう……。そんな心当たりがあるなら、掃除の専門家である藤原千秋さんに聞いたお手入れ術をぜひ実践してください!

空気の質を向上させる空調家電のお手入れ

写真:寝室

まずはエアコンや空気清浄機、加湿機といった空調家電の掃除について、藤原さんに教えてもらいましょう。

「人の健康との関わりが深い空調家電。特にエアコンなどのように、室内の空気を取り込んで再び送り出す構造のものは、手入れを怠ると汚れた空気を室内に送ることになりかねません。また、フィルターが汚れていると負荷がかかってムダな電気代がかかるほか、劣化が早まる場合もあるので、定期的な掃除を心がけましょう。

なお、各家電の掃除のコツなどは以下で紹介していますが、あくまで一般的なもの。製品によって変わることもあるので、詳しいお手入れの方法は取扱説明書で確認してくださいね」

エアコン掃除のコツ:自分でムリなくできる範囲を見極める

「エアコン内部の掃除は、知識がないと難しいので、エアコンクリーニング業者に依頼するのが一般的。自分でできる範囲は、フラップを含むプラスチックの外装、エアフィルター、リモコンといったものです。リモコンで見落としがちなのは、赤外線の送信部。汚れていると何度もスイッチを押さなければならなかったりストレスになることもあるので、気を付けましょう。

なお、フィルターの取り外しなどの高所作業では、脚立の上でバランスを崩して落下する可能性もあります。無理をして自分でやろうとせずに、外部業者へ依頼することも検討してください。また、本来フィルター掃除は2週間に1回が推奨されており、その手間を考えるとフィルターの自動お掃除機能付きのエアコンを購入するのもよいですね。エアコンの内部は自動お掃除機能に任せて、外周については柄が長くて高所掃除もできるワイパーを使ったりするのもひとつの方法です」

空気清浄機掃除のコツ:プレフィルターと部屋の掃除は同じタイミングで

「一般的に、空気清浄機のフィルターは何層かに分かれており、一番外側にあるプレフィルターなどは付着したホコリを掃除機で取り除くのが定番のお手入れ方法。稼働させている限りホコリはたまるので、定期的に掃除する必要がありますが、つい忘れてしまうことも多いものです。そこでオススメしたいのが、部屋の掃除機がけとタイミングを合わせてルーティン化すること。これなら掃除機を出し入れする手間が一度で済むので、定期的なお手入れもさほど苦になりません。

なお、加湿機能付きの空気清浄機は、水を使うことでカビや雑菌の繁殖リスクが高まるため、まめなお手入れが不可欠。大半のモデルの加湿フィルター掃除は、クエン酸を溶かした水に浸けておく方法が推奨されますが、クエン酸に殺菌効果はありません。いくらお手入れをしてもイヤな臭いが落ちない場合は、雑菌が残っているということ。そのまま使っていると室内に菌をまき散らしかねないので、フィルターそのものの交換をオススメします」

加湿器掃除のコツ:カチカチになったカルキ汚れにはクエン酸!

「加湿機能付きの空気清浄機と同じように、菌が繁殖しやすいのが加湿器。こちらも、給水タンクや加湿フィルターのお手入れはこまめに行いたいですね。水にぬれる箇所はカルキが付着しやすいのですが、それほど汚れてからの時間が経っていなければ洗剤を使わなくても水で落とせます。問題は、蓄積して石のようにこびりついたカルキ汚れ。こうなると中性洗剤では刃が立たないので、一般的にはクエン酸で溶かして落とす方法が推奨されています。また給水タンクなどは給水口が小さいとお手入れしづらいため、掃除のしやすさという観点で加湿器を選ぶのも一つの手です」

換気扇掃除のコツ:油汚れに強いシートや洗剤で拭き掃除を時短

「キッチンの換気扇は、タイプによって自力で掃除できる範囲が変わってきます。たとえば、扇風機のような羽根が付いたプロペラファンなら、シンプルな構造なので自分で分解して洗浄することも可能。一方、ダクトを通して排気するシロッコファン+レンジフードのようなタイプとなると、シロッコファンまで自力で掃除するのは大変です。

ただ、どんなタイプでも、換気扇の周囲を自分で拭くことはできるはず。毎日続けられるならぬれ布巾で拭くだけで十分ですが、最近、使いやすいと思ったのは、泡で出てくるスプレータイプの食器用洗剤。油汚れに強く、液体タイプよりも短時間で落とせます。ただし成分が強いので、ゴム手袋を着けて手荒れを防ぐようにしてくださいね。油汚れに強いキッチン用のウェットシートもおすすめです。」

24時間換気システム掃除のコツ:汚れが気になる場合はフィルターも活用

「吸気口から外気を取り入れ、浴室やキッチンの換気扇で室内の空気を排出する仕組みになっていることが多い24時間換気システム。吸気口の周囲は排気ガスやホコリ、花粉、土ボコリなどで汚れやすく、そのままにしておくと家の中に汚れが蓄積されていくので、ぬれ布巾などで拭き取るようにしましょう。外気からの汚れが気になる場合は、吸気口専用のフィルターを部屋側に取り付けるのもひとつの方法です。排気側の換気扇も、フィルター掃除を怠りなく。特に浴室に設置されたフィルターはカビが発生しやすいのでご注意ください」

衛生面が特に気になるキッチン家電のお手入れ

写真:冷蔵庫の中を確認する女性

続いて藤原さんに教えてもらったのは、キッチン家電の掃除について。炊飯器や電子レンジのほか、大物の冷蔵庫などが当てはまりますが、どんな点に気を付ければ良いでしょうか?

「口に入るものを扱う家電が汚れていると、食中毒を引き起こすリスクも高まるもの、健康被害に影響を及ぼすという点では、空調家電と同様、きちんと手入れして清潔さをキープしておきたいですね」

炊飯器掃除のコツ:外せるものはすべて外して洗う

「外側はキッチンの油煙で汚れやすいので、固く絞ったぬれ布巾などで全体を拭きましょう。また、蒸気口にでんぷん質の汚れがたまっていると、蒸気が抜けにくくなって余計な電力を使うこともあります。内ブタのパッキンなども含め、洗えるパーツはすべて外して、しっかり洗って汚れを落としてください」

電子レンジ掃除のコツ:こびりついた汚れには蒸気が効く

「油煙で汚れた外側は、固く絞ったぬれ布巾で拭き掃除を。庫内は飛び散った食品や油で汚れやすく、次に使うときに蒸気で汚れが落ちてきたり、臭いが移ったりする可能性もあるので、汚れをため込まないようにしましょう。清潔なタオルを水でぬらして軽く絞り、600Wで2分ほどあたためると蒸気で汚れがゆるみ、拭き取りやすくなります。

庫内の汚れが落ちにくい場合は、タオルをぬらす水に重曹を溶かし入れましょう。割合は、水1リットルに対して重曹大さじ1。油などの汚れは酸性なので、アルカリ性の重曹で中和すると落ちやすくなります。なお、モデルによってはスチーム機能を利用してお手入れできるものもあるため、取扱説明書でご確認を」

冷蔵庫掃除のコツ:雑菌の繁殖を抑える拭き掃除の方法は?

「意外に雑菌が繁殖しやすいのが冷蔵庫。特に、土に含まれる雑菌ごと野菜を保存する野菜室は、週に1度ほどのペースで拭き掃除をしましょう。このとき、ただの濡れ布巾などでの掃除だけでは、雑菌をかえって増やしてしまうので注意。アルコールを含んだ除菌スプレーや、消毒用エタノールそのもののスプレーなら汚れと一緒に菌を効率良く減らせて便利です。ただし、冷蔵庫内の部品によってはアルコール(エタノール)が使用不可なものもあるので、使う前に取扱説明書で確認してみましょう。

また、卵の収納スペースもまめに掃除したい箇所。卵の殻にはサルモネラ菌が付着していることもあるので、汚れが目に見えなくても定期的に消毒用エタノールなどでの拭き取り掃除をしてください。このほか、手入れを怠るとカビが生えやすい自動製氷器や、肉のドリップなどが付着しやすいチルド室、ドリンクをこぼしがちなドアポケット、開閉のたびに触れるドアハンドル周辺なども注意したいところ。洗えるパーツはすべて外して、シンクで食器用洗剤を使って洗いましょう。なお、水分が残っていると雑菌が繁殖しやすいので、十分に乾かしてから取り付けるようにしてください」

ポット掃除のコツ:クエン酸が効果的

「気になるカルキ汚れには、やはりクエン酸が効果的。1リットルにつき大さじ1のクエン酸を溶かした水をポットで沸騰させ、冷めるまで放置しておきます。あとはスポンジでこするだけ。このとき、食器を洗うスポンジを使うのに抵抗があるなら、使い捨てタイプのスクラブシートなどを利用しましょう。フタやパッキンには、市販のポット専用ブラシが便利。パッキン外しが付いたタイプなら、ストレスなく洗えてオススメです」

関連記事: