「出産後、夫に対しての愛情が急激に薄れていく」
この事実だけを聞くと、「マタニティーブルー」「育児ノイローゼ」といったキーワードが頭に浮かび、「産後クライシスも一緒じゃないか?」と思われるかもしれません。ただ、岡野あつこさんは「前者と比べ、産後クライシスはずっと根が深くて解決しにくい問題」だと指摘します。
「マタニティーブルーや育児ノイローゼは、おもな原因が“ホルモンバランスの変化”や“身体的な疲労”というフィジカル面から起こるもので、ほとんどはいつの間にか解決しているケースが多かったりします。しかし、産後クライシスは、フィジカル面だけではなく、“社会環境”や“時代”や“価値観”の問題にも関わってくるからやっかいなんです」
では、産後クライシスをまねく具体的な理由とは、いったいどういったものなのでしょう? 岡野さんは著書中で下記の6つを挙げています。
1. 出産するとホルモンバランスが崩れる(「女性らしさ」より「母親らしさ」を高めるホルモン「プロラクチン」「オキシトシン」の増加……など)
2. イクメンに対する憧れとギャップ
3. マザコン世代の幼稚な夫(少子化によって母親の干渉を受けすぎ決断力が育たないまま結婚してしまう)
4. 稼げない夫の増加
5. インターネットの自慢合戦(自分のまわりには幸せそうな夫婦がいっぱいいる、と勘違いしてしまう)
6. 家族の孤立化(地域コミュニティの希薄化によって、子育てのサポート意識が失われていく)
なかでも、「2.イクメンに対する憧れとギャップ」が、実はもっとも深刻な理由なんだとか……。次は、その話をはじめとして、産後クライシスの予防法について、考えてみましょう。