殺人罪に時効はない?刑罰を軽くするために知るべき7つのこと

殺人罪に時効はない?刑罰を軽くするために知るべき7つのこと

殺人罪にも時効があるとすれば、他人を殺害してしまった人も一定の期間が経過して時効となれば、逮捕されることも、処罰されることもなくなります。

しかし、結論を言いますと、現在の法律では殺人罪に時効(正確に言うと「公訴時効」)は成立しません。

刑事事件には公訴時効という制度がありますが、刑事訴訟法の改正により、殺人罪については時効が廃止されているのです。

そのため、殺人という重大な罪を犯してしまった以上は、罪を償わない限り、一生にわたって刑事責任から免れることはできません。

今回は、

  • 殺人罪に時効がないのはなぜか?
  • 殺人を犯してしまったら自首した方がよいのか?
  • 殺人罪の刑罰を軽くする方法とは?

などについて、刑事事件の弁護実績が豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

ご自身や、ご家族などが殺人罪に関わってしまっているという方に、この記事が手助けとなれば幸いです。

1、殺人事件の時効を知る前に~殺人罪には種類がある

殺人罪には時効がないと冒頭で説明しましたが、例外もあります。

殺人罪にはいくつかの種類があります。単純な「殺人罪」に時効はないのですが、種類によっては時効があるということです。

まずは、殺人罪とはどういうものかについて簡単に確認した上で、殺人罪の種類と刑罰をご紹介します。

(1)殺人罪の構成要件

殺人罪とは、

  • 故意(殺意)を持って、
  • 人を死亡させる行為をし、
  • 人の死亡という結果が発生する

ことによって成立する犯罪です。

「故意(殺意)」には、明確に「人を殺そう」という意思がある場合だけではありません。

「人が死んでしまうかもしれないけれど、それでも構わない」という意思(未必の故意)も含まれます。

人が死亡することを予見していなかった場合(故意がない場合)は、殺人罪ではなく傷害致死罪や過失致死罪等の対象となります。

「人を死亡させる行為」とは、人の死亡という結果が生じうる現実的危険性のある行為のことです。

このような行為をし、人が死亡する現実的危険性が発生すると、結果的に相手が死亡しなかったとしても「殺人未遂罪」が成立します。

相手が死亡した場合には、「殺人既遂罪」となります。

(2)殺人罪の種類と刑罰

人を死亡させる犯罪は殺人罪だけでなく、さまざまなものがあります。

ここでまとめて、刑罰とともにご紹介します。

①故意に人を死亡させる犯罪

     罪名     

                  刑罰                  

       条文      

  殺人既遂罪  

  死刑または無期もしくは5年以上の懲役  

  刑法第199条 

  殺人未遂罪  

  死刑または無期もしくは5年以上の懲役  

  刑法第203条 

同意殺人既遂罪

    6月以上7年以下の懲役または禁錮    

  刑法第202条 

同意殺人未遂罪

    6月以上7年以下の懲役または禁錮    

  刑法第203条 

既遂罪も未遂罪も刑罰の上限は同じですが、未遂罪の場合は刑を減軽することができるとされている(刑法第43条)ため、実際には量刑が軽くなることが一般的です。

②過失で人を死亡させる犯罪

参考までに、殺人ではなく過失で人を死亡させる犯罪についての刑罰もご紹介しておきます。

罪名

刑罰

 

過失致死罪

50万円以下の罰金

刑法第210条

業務上過失致死罪

 

5年以下の懲役もしくは禁固

または100万円以下の罰金

刑法第211条

 

 

3年以上の有期懲役

刑法第205条

過失運転致死罪

 

7年以下の懲役もしくは禁固

または100万円以下の罰金

自動車運転処罰法第5条

 

危険運転致死罪

1年以上の有期懲役

自動車運転処罰法第2条

「有期懲役」の上限は原則として20年ですが、他にも犯罪が成立している場合は併合罪となり、最大30年となる可能性があります。

2、殺人罪に時効はある?時効の種類と成立するまでの期間

殺人罪で問題となり得る「時効」には、3種類のものがあります。

本章では、それぞれについて殺人罪に適用されるか、されるとして時効期間は何年なのかを解説します。

(1)起訴されるかどうかの時効

1つめは「起訴されるかどうかの時効」ですが、殺人罪にはこの意味での時効はありません。

刑事事件には、法律で定められた一定の期間が経過すると検察官が起訴することができなくなり、犯人が処罰されなくなるという制度があります(刑事訴訟法第250条)。

この制度のことを、「公訴時効」といいます。

冒頭から「殺人罪に時効はない」と申し上げているのは、「公訴時効」のことです。

以前は、殺人罪にも25年という公訴時効が定められていましたが、刑事訴訟法の改正によって、2010年4月27日以降は廃止されました。

(2)刑を科せられるかどうかの時効

刑事事件における「時効」にはもう1種類、「刑の時効」という制度があります。

刑の時効では、刑事裁判の判決で刑(死刑を除く)の言い渡しを受けても、法律で定められた一定期間、刑の執行を受けなければ時効が成立します。

結果として、刑の執行が免除されるという制度です(刑法第31条)。

刑の時効が成立するケースは滅多にありませんが、刑を言い渡した判決が確定した後に犯人が逃亡したようなケースでの適用があり得ます。

殺人罪については、刑の時効も刑法改正によって、2010年4月27日以降は廃止されています。

(3)民事上の損害賠償請求権の時効

殺人罪では、民事上の損害賠償請求権の時効も問題となります。

被害者(遺族)は、犯人に対し民法上の不法行為を原因として、慰謝料等の損害賠償請求権を有しています。

損害賠償請求権には民法上の「消滅時効」の制度が適用されるのです。

時効期間は、

  • 被害者(遺族)が損害および加害者を知った時から5年

(2020年3月31日以前に発生した事件については3年)

です(民法第724条の2)。

消滅時効が成立すると、被害者や遺族から損害賠償請求を受けることはなくなります。

ただし、犯人が誰であるかが発覚せず、被害者や遺族が「加害者」を知るまでは前者の「5年」(2020年3月31日以前に発生した事件については3年)の時効期間は進行しないということに注意が必要です。

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