NHK『チコちゃんに叱られる!』マナー講師が大炎上! 過去にもあった『テレワークマナー』本にまつわる炎上

 5月21日に放送されたバラエティ番組『チコちゃんに叱られる!』(NHK)が、ネットで大炎上している。

 今回は、“鬼マナー講師”として知られる平林都氏が登場し、番組女性スタッフを相手に食事のマナーなどを指導。しかし、対面してすぐに平林氏が「すごい仏頂面」と苦言を呈したり、スタッフが「いただきます」と言うと「人と一緒にいるときは『頂戴いたします』やろ!」と激怒したりと、終始、平林氏がスタッフを叱咤する様子が映されることに。

 最終的には「しっかりとレディになられた」と褒めていたものの、スタッフが涙を見せる場面もあったため、ネット上には「ただのパワハラ」といった批判や、「人と一緒のときは『頂戴いたします』なんて、初めて聞いたけど?」「誰が決めたマナー?」などと、そもそも平林氏の指導に疑問を訴える声も続出した。

 こうした「マナー」にまつわる批判といえば、2020年9月発売の書籍『超基本 テレワークマナーの教科書』(あさ出版)でも、同様の炎上が巻き起こった。マナーコンサルタント・西出ひろ子氏が、コロナ禍で普及したテレワークのマナーやルールを解説した1冊だが、「絶句」するような部分もあったようで……。発売当初に公開したブックレビューを改めて掲載する。

(編集部)

「ガセ炎上」のテレワークマナー本徹底レビュー!

オンライン会議の目線は「カメラの5~10センチ下」など、謎マナーだらけだった!!


『超基本 テレワークマナーの教科書』(あさ出版)

 発売前からネット上で炎上し、話題を呼んでいたビジネス書『超基本 テレワークマナーの教科書』(あさ出版)が、9月3日から店頭に並んでいます。

 同書は、マナーコンサルタント・西出ひろ子氏による、テレワークのマナー解説本。まだ発売になったばかりですが、なぜか7月末頃からTwitter上で、同書には「オンライン会議では5分前にルームに入室」「深々と頭を下げながら会議終了ボタンを押す。お客様より先に退出してはいけません」などのマナーが掲載されているらしいとの情報が出回り、「変なマナーを作るな」「テレワークが息苦しくなる」「マナー講師が自分の食いぶちにするために、とんでもマナーを作っているのでは?」などと炎上。ところが、ほどなくして、実はそのツイート内容はガセだったことが発覚。同書にそのような記載はなく、版元であるあさ出版側も、突然の炎上に驚いていると一部で報じられました。

 そんないわく付きの同書、実際の中身はどうなっているのでしょう。Twitterで広まったガセ情報は、本当にガセだったのか? よりおかしなマナーが記載されていないのか? レビューしていきたいと思います。

『テレワークマナー』オンライン会議は1時間前から準備!?

 ガセツイート騒動があったからなのか、「とにかく炎上は避けるぞ!」という意気込みがすごい……というのが一番の感想だった同書。

 いたるページで「『これが正しい』などと、勝手に決めつけないほうがいいでしょう」「マナーに『絶対』はない」「マナーは時代によって変化する」など、逃げ道が作られているのが印象的です。メイクに関しては「※肌アレルギーなどでメイクが難しいときはする必要はありません」と注釈も添えられています。

 

 そこでまず、Twitterで広まった偽情報と、実際の内容を比較してみましょう。

 「オンライン会議は5分前に入室」は、本書では「1分前でOK」と書かれており、ツイートがガセだったことがわかります。しかし本書を読み進めると、自分がホストである場合には「30分前には環境整備に」とも書かれています。さらに「1時間ほど前から準備に入ると安心でしょう」とも。“環境整備”とボヤかして書いているのが気になりますが、何にせよ、時間に余裕がないと厳しいルールです。

 次のガセツイート「頭を下げながら会議終了ボタンを。お客様より先に退出してはいけません」。実際の記載は、「まずは取引先に退室していただき、続いて自社で立場が上の役職順に退室」でした。ですがこれも、自分がホストの場合は、全員が退室するまで「ありがとうございました」「お疲れ様でした」と「お見送りしたほうがていねい」と書かれています。ツイートがガセであることは確か。しかし、実際に書かれていることと、それほど大きな差はないようにも感じました。

 本書にはほかにも、“謎マナー”“謎アドバイス”と感じるものが数々登場します。例えば、会議で相手が発言している時は「カメラの5〜10センチ下を見る」というマナーは、「発言者が自分を見てくれていると感じられる映像」になるから……という理由だそうですが、そもそもカメラを凝視して会議する人など、あまりいないのでは。

 ほかにも「始業時はパソコンに向かって『おはようございます。本日もよろしくお願いします』と声に出し一礼」(オンライン会議時ではなく、仕事を始める際)、「オンライン会議の背景に本棚があるとインテリ感が出る」「(SNSでやりとりを行う際)上司がスタンプを送ってきたら『可愛いスタンプですね』などと伝えた後にスタンプで返信」「漫画のキャラクターやアイドルの写真スタンプは控えましょう」――などなど、“謎マナー”“謎アドバイス”としか思えないものは枚挙にいとまがなく、一種のネタ本としても楽しめそうです。

「おはようございます」は何時まで? 自分で考えたほうが早いQ&Aも

 テレワークうんぬん以前の記述が多い同書。テレワークに限らず、”何事においてもルールがなければ安心できない人“に向けて作られた本なのだということが伝わってきます。

 なにしろ、イスの座り方から教えてくれているのです。「腰に負担をかけない座り方を」と呼びかけ、「床に両脚を付けて、足裏から膝がまっすぐになるように」と、いちいちレクチャー。「脚を組むと、左右のバランスが崩れ、体にゆがみが出てしまいます」「疲れてきたら、立ち上がって体をほぐしましょう」「パソコンと向き合って仕事をしていると、『目』にも負担がかかります」など、人体の基本的構造についてまで書かれているのです。

 これを読んで「そうか、座るときは両足を床に付けるのか!」「疲れた時は、体をほぐせば良かったのか!!」と目からうろこが落ちるのは、宇宙人くらいではないでしょうか。

 「テレワークマナーで知っておきたいQ&A10」のページでは、その傾向がさらに顕著に。「体調が悪くなったら?」「『おはようございます』は何時まで?」「子どもの学校から電話がかかってきたら?」「インターフォンが鳴ったら?」といった、「自分で考えたほうが早いぞ」と思う質問の嵐。それに対する答えも、至極あたり前の内容でした。

 ただ一点、「おはよう」は通常午前10時半までだけど、テレワークでは11時くらいまでOK! とされており、「おはよう」ゾーンが30分延びる理由については、もっと解説がほしかったです。

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