念書の書き方を徹底解説!知っておきたい念書の効力や作成ポイント

念書の書き方を徹底解説!知っておきたい念書の効力や作成ポイント

念書の書き方を知りたい!

念書の効力や作成のポイントはどのようなものなのだろう……。

お金や不動産の貸し借りなど、さまざまな契約の場面で、「念書」という言葉を聞いたことがあるでしょう。

念書がどのような場面で作成されるものなのか、意外と知られていません。

今回は、

  • 念書の概
  • 念書の効力
  • 念書が使われる場面
  • 念書と他の書面との違い
  • 念書の書き方のポイント

などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、念書の書き方について知る前に|そもそも念書とは?

そもそも念書とはどのようなものなのでしょうか。

(1)念書の概要

念書とは、取り決めや約束事などを書き記しておく書面です。

取り決めや協議の内容は、口約束だけだと、後から「言った」「言わない」の不毛な争いになります。

争いを防ぐための書面として機能するのが、「念書」です。

一般的に、どのような取り決めをしたかがわかるように、念書は取り決めの「前」に作成します。

取り決めの前に作成しておけば、いざ契約や取引が進んだ後になって取引内容に争いが生じても、事前の取り決めを相手に示すことができます。

(2)念書の効力

念書にはどのような効力があるのでしょうか。確認しましょう。

①法的拘束力がないことが多い

もちろん書面の内容にはよりますが、一般的に、念書として作成する内容について、法的な拘束力を有する内容にしないことが多いです。

あくまでも、当事者の一方が、守るべき事項として約束をして、又は確認事項として、もう一方の当事者に差し入れるというものだからです。そのため、念書自体に基づいて何かを請求することは難しい場合もあろうかと思います。

②裁判で証拠として提出することは可能

念書とはいえ、裁判で証拠として提出することは可能です。

念書をもとに、「このような内容の約束事をした」という証拠として機能することになります。

③公正証書にできる

念書は、公証役場で認証をしてもらえば、「公正証書」にすることができます。

公正証書の形にしておけば、万が一公正証書自体を紛失してしまったとしても、原本は公証役場で保管されているため、再交付が可能です。

(3)念書を使用する場面

念書は、「契約や約束事など何らかの取り決めをしたいとき」に作成します。

内容は、下記のように多岐にわたります。

  • 交通事故
  • 賃貸借
  • 離婚後の養育費
  • 退職時や就業規則違反などで雇用主である会社と従業員との間 など

(4)誓約書や覚書との違い

念書と誓約書や覚書では、どのような点が異なるのでしょうか。

①誓約書との違い

一般的には、「念書」と「誓約書」は、呼び方が違うだけで、同じものです。

「〇〇を守る」「〇〇をしない」などの誓約を内容とするときに、「念書」ではなく「誓約書」というタイトルをつけることが多いです。

②覚書との違い

念書は、当事者のうちの一方のみが作成し、署名押印も一方のみがすることが多い書面です。

一方、覚書は当事者双方の合意で作成し、署名押印も当事者双方で行う書面となります。

2、念書の書き方のポイント

本章では、念書の書き方のポイントを紹介します。

(1)当事者に関する基本的な事項はすべて記載する

念書は、当事者の約束事や取り決めを記すものです。

基本的な事項は、すべて記載する必要があります。

たとえば、以下のような項目です。

  • 念書をかわす当事者の氏名
  • 念書でとりきめる具体的な内容
  • 納期
  • 金額
  • 念書を取り交わす日付
  • 署名及び捺印 など

(2)「条件」「期日」「金額」などを明確にする

念書を書くにあたって、特に「条件」「期日」「金額」などは、明確に記載する必要があります。

以上の項目は、取り決めの核となる部分です。

曖昧にしていたり、具体的な取り決めをしていなかったりすると、後からもめることになるので注意しましょう。

(3)複数の意味に解釈されないよう明確な文言を使用する

念書は当事者同士で書面をかわすわけですから、複数の意味に解釈されないように、明確な文言を使用しましょう。

念書は、のちに裁判で証拠として、提出したり提出されたりという可能性があります。

証拠として提出した際に、曖昧な文言を用いていると、証拠としての効力も弱まります。

揉め事が発生しないに越したことはないですが、万が一の場合に備えて、念書の文言は慎重に検討しましょう。

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