パパがママの妊娠期に心得ておくべきことは3つ
妊娠期の10カ月間は、子育てに対する「意識、知識、技術」を磨く期間です。ママは子どもを抱き上げる前に、自然と親としての準備が整う環境に変化していきますが、男性はそうもいかないことが多いようです。
「ママは身体的変化、ホルモンバランスの変化、行動の変化が生じてきます。現実におなかが大きくなってうつ伏せ寝ができなくなる。産科にも通い、産休もとり、ママ友もでき、あらゆる情報が集まってきます。こうした環境が親になるという意識を芽生えさせるようです。ところが男性はどうでしょうか。妊娠期からパパ友ができるという人は多くありませんし、体は何も変わらない。だからどこか他人事になりがちです。このまま妊娠期を過ごしてしまうと、子どもが生まれた時点での、パパとママの『意識、知識、技術』の格差が大きく開いてしまいます」
パパとママの差を縮めて、意識の高い”愛されパパ”になるには
では具体的にどうすれば、パパとママの「意識、知識、技術」の差が縮まり、意識の高い“愛されパパ”になれるのでしょうか。
「パパ自身が、妊娠をわが事として捉えるように努力しないといけないですね。妊娠中のママがお酒飲めないのに、隣でぐびぐびママの好きなビールを飲んでいる。ママは風邪も引けないのに、パパは自分の体調管理に無関心でいる。こういう状態は当事者意識があるとは言えません。すべて我慢しろとは言いませんが、ママに配慮することがパパの当事者意識を芽生えさせる一歩になります」
小崎先生はパパなりの「意識、知識、技術」を高めることをすすめています。具体的には次の通りです。
●意識……気持ちの部分を確立しましょう
・先輩パパの友人から話を聞く/会う
・ママの妊娠期の気持ちを共有する
●知識……子育てのことを学びましょう
・プレパパスクールへ積極的に行く
・育児本、母子手帳、父子手帳を読む
・沐浴を体験、または動画を見て勉強する
●技術……赤ちゃんとの出会いに備えましょう
・パパ友を作って赤ちゃんに会う
・ベビーグッズを買いに行く
・パパも使いやすいベビーカーや抱っこ紐を選ぶ
など
“パパ育て”の極意は高すぎないハードル
妊娠期に2人一緒に準備をしていくことは、その後「親」となって歩む夫婦の人生をより豊かなものにします。
そのためにも「ママのハードルは高くないほうがいい」と小崎先生は言います。
「スタートからママと同じようなやり方でパパに家事育児を求めると、パパは大変になります。家事が苦手なパパには、せめて自分のことができるようになるくらいにと考えて、パパを育ててあげてください。急にできるようになるわけではなく、くり返していくうちにできるようになるからです。大事なのは2人一緒に親になる、ということですから」
取材・文/大楽眞衣子
監修者:保育士 大阪教育大学教育学部学校教育教員養成課程家政教育部門(保育学)教授 小崎恭弘
兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の息子が生まれるたびに育児休暇を取得。市役所退職後、神戸常盤大学を経て現職。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。NPOファザーリングジャパン顧問、東京大学発達保育実践政策学センター研究員。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌等にて積極的に発信をおこなう。「男の子の本当に響く叱り方・ほめ方」(すばる舎)、「育児父さんの成長日誌」(朝日新聞社)、「パパルール」(合同出版)など、著書多数。
著者:ライター 大楽眞衣子
社会派子育てライター。全国紙記者を経てフリーランスに。専業主婦歴7年、PTA経験豊富。子育てや食育、女性の生き方に関する記事を雑誌やWEBで執筆中。大学で児童学を学ぶ。静岡県在住、昆虫好き、3兄弟の母。
配信: ベビーカレンダー(パパママ)
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