離婚届を出したい|提出する際に知っておくべき7つのポイント

離婚届を出したい|提出する際に知っておくべき7つのポイント

5、離婚届を提出する前に確認しておくべきこと

離婚届の作成・提出は難しいものではありませんが、提出する前に確認しておくべき重要なこともあります。

以下の4点については、提出前にしっかりと確認しておきましょう。

(1)離婚後の姓をどうするか

婚姻によって氏を改めた人は、離婚後は原則として元の氏(旧姓)に戻ることになります。

婚姻中の姓をそのまま名乗り続けることもできますが、その場合は別途、「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を提出する必要があります。

この届出は離婚の日から3か月以内に行えばよいことになっていますが、離婚届と同時に提出することもできますので、早めに準備して提出するとよいでしょう。

なお、子どもの氏については、母親が親権者となる場合でも、原則として父親の氏のままとなります。

母親が旧姓に戻り、子どもにも母親の旧姓を名乗らせたい場合は、家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立書」に提出し、審判で許可を得ることが必要です。

手続きの詳細については、こちらの記事をご参照ください。

(2)新しく戸籍を作るかどうか

婚姻中の戸籍の筆頭者の方は、離婚後も戸籍はそのままです。

筆頭者でない方は、元の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作るかを選択することになります。

その場合の手続きとしては、次の3つのパターンがあります。

旧姓に戻る場合は、元の戸籍に戻るにしても新しい戸籍を作るにしても、手続きとしては離婚届に必要事項を記載するだけで足ります。

婚姻中の姓で新しい戸籍を作る場合は、「離婚のときに称していた氏を称する旨の届」を提出します。

この届出書の書式の中に、離婚後の新しい本籍としたいところを記載する欄がありますので、そこに希望するところを記載しましょう。

新しく作った戸籍に子どもを入れたい場合は、家庭裁判所で「子の氏の変更許可」の審判を受けた後、役所で子どもの入籍手続きを行うことになります。

詳しい手続きについては、こちらの記事をご参照ください。

(3)離婚条件を適切に取り決めているか

離婚する際には、慰謝料や財産分与、子どもの親権、養育費、面会交流など、取り決めておくべき離婚条件がいろいろとあります。

これらの離婚条件は、離婚届を提出する前に取り決めておくべきです。

なぜなら、離婚が成立してしまうと相手が話し合いに応じなくなることが多々あるからです。

例えば、夫の浮気が原因で離婚する場合、離婚前の話し合いでは相手も「責任は認めるが慰謝料額をできる限り低くしてほしい」「金額次第では離婚を思いとどまってもらえるかもしれない」と考えることが多いので、真剣な話し合いも可能です。

しかし、離婚後に慰謝料を請求しようとしても、「もう離婚は成立したのだから慰謝料を支払う必要はない」という態度に変わり、話し合いすらできなくなることが多いのです。

これでは、離婚に際してもらえるお金ももらえないことになりかねません。

役所の人は離婚届の不備はチェックしてくれますが、離婚条件の取り決めには関知しません。

そのため、離婚届を提出する前にご自身で、離婚条件の取り決めが適切にできているかを確認する必要があります。

(4)離婚協議書は作成してあるか

離婚条件が適切に取り決められていても、口約束のみでは約束が守られる保証はありません。

そのため、離婚条件を明記した離婚協議書を作成し、取り交わしておきましょう。

これも離婚届を提出する前にやっておくことが大切です。

なお、離婚協議書は公正証書で作成するのがおすすめです。万が一、相手が約束を破って慰謝料等の金銭を支払わない場合、公正証書があれば裁判をせずに相手の財産を差し押さえることが可能になるからです。

6、勝手に離婚届を出される可能性があるときは不受理申請を

離婚条件に関する協議や離婚協議書の作成がまだ終わっていないにもかかわらず、相手が勝手に離婚届を提出するというケースもあります。

離婚届を勝手に提出された場合でも、不備がなければ受理され、離婚が成立してしまいます。

このような場合、離婚が無効であることを訴えることもできますが、複雑な裁判手続きが必要となります。

そのため、勝手に離婚届を出される心配があるときは役所に「不受理申請」をしておくことをおすすめします。

この申請をしておけば、相手が勝手に離婚届を提出しても受理されなくなります。

手続きは、「離婚届不受理申出」という書類に記入して本籍地の役所へ提出するだけです。

詳しくは、こちらの記事をご参照ください。

関連記事: