3、退職代行を利用してもトラブルを避けるためのポイント
退職代行を利用する際には、トラブルが起こらないようにするために業者選びの際に慎重になるべきです。
退職代行でトラブルを避けるために、業者選びでは次のポイントを確認するようにしましょう。
(1)運営元を確認する
退職代行の運営元は、大きく分けると
- 「弁護士」
- 「労働組合」
- 「民間企業」
の3種類があります。
トラブルを避けるために、退職代行業者の運営元を確認しましょう。
弁護士や労働組合であれば退職時の交渉を会社と行うことができ、弁護士であればトラブルが起きた場合、どんな組織よりも適切な対処が期待できます。
民間企業は費用を抑えることができますが、
- 会社との法律問題の交渉
- 裁判
に対応できないというデメリットがあるので注意が必要です。
(2)どこまで対応してくれるのか確認する
退職代行といっても業者ごとに対応してもらえる範囲は異なります。
ただ単に退職の意向を伝えるだけの場合もありますが、退職に伴い
- 退職金の計算
- 未払の残業代の請求
- 有給消化
などについて交渉が必要なケースもあります。
こうした交渉は労働組合や弁護士であれば可能ですが、民間企業の業者は対応することができません。
そのため、どこまで対応してもらえるのか確認してから依頼をするようにしましょう。
(3)費用が適正か確認する
退職代行に依頼する前に、複数の業者の費用を比較するようにしましょう。
安すぎる値段設定の場合、後から追加料金を請求されるようなケースもあるので注意が必要です。
依頼前には見積もりを出してもらい、オプションなどの追加請求が行われることはないのか業者にしっかりと確認しておくべきでしょう。
(4)民間企業の場合は顧問弁護士がいるのか確認する
民間企業の退職代行を利用する際には顧問弁護士の有無は最低限確認しておくべきです。
顧問弁護士がいれば、非弁行為についても検討しながら対応していると考えられます。
しかし、顧問弁護士のアドバイスを業者側が守っているとは限らないため、顧問弁護士がついていても安心とは言い切れないでしょう。
(5)会社と金銭面でもめている場合は解決しておく
会社から給料の前借りをしているなど、金銭面でトラブルがあるという場合には退職代行を利用する前に解決しておくことをおすすめします。
金銭トラブルを抱えた状態で退職代行を利用してしまうと、会社側から訴えられてしまうなどトラブルがさらに大きく発展してしまう恐れがあるからです。
4、そもそも退職代行の利用が難しい人
退職代行を利用したいと考えても、そもそも退職代行のサービスを利用することが難しいような人もいます。
どういった場合に退職代行の利用が難しいのか見ていきましょう。
(1)有期雇用契約の社員
有期雇用契約の場合、やむを得ない事由がなければ期間途中に退職できないことが法律で定められています(民法第628条)。
有期雇用契約の場合、無期雇用契約の社員とは異なって契約期間が定められているため、契約期間を満了しない限り退職することは難しいでしょう。
ただし、①やむを得ない事由があるときは期間途中でも退職することができますし、②雇用期間が5年を超え又は終期が不確定である場合に雇用期間が5年を経過した後、退職を申し出ることができます(民法第626条1項)。
(2)公務員
公務員は民間企業の社員とは異なり、
- 国
- 自治体
が退職の処理を行います。
そのため、退職代行などの第三者からの退職通知は受け入れてもらえない可能性があります。
とくに自衛官などは退職代行を利用した退職は難しいと言えます。
(3)職場との金銭的トラブルを抱えている人
会社で金銭的なトラブルがある状態で退職代行を利用する場合、トラブルに繋がりやすいため、退職代行の業者側から依頼を断られてしまうケースがあります。
具体的には
- 職場にお金を借りている場合
- 会社のお金を横領している場合
などが挙げられます。
退職代行を利用したい場合には、金銭的トラブルを解決してから依頼することをおすすめします。
金銭トラブルの解決が難しい場合には、弁護士に相談してみましょう。
配信: LEGAL MALL