親子そろって“ものづくり”を楽しむ時間は、コミュニケーションを深めるのはもちろん、子どもの想像力や好奇心、クリエイティビティを伸ばすのにうってつけ。今回は、親子の絆づくりとともに、夏休みの自由課題にもなる3種類の工作を、「わくわくさん」でお馴染みの久保田雅人さんに伝授してもらいます。
また、親子で一緒にやる意義や注意点、そして、長年子どもたちの工作に携わってきたからこそ分かる「子育てのコツ」についてもお伺いしました。
教えてくれるのは「わくわくさん」こと久保田雅人さん
1961年東京都生まれ。大学在学中に中学・高校の教員免許を取得するが、役者の道へ。1990年からNHK教育テレビ(現在のEテレ)の『つくってあそぼ』に「ワクワクさん」として出演し、視聴率10%以上の人気番組となる。
番組終了後も、トレードマークとなった丸めがねと帽子をかぶり、「工作上手なお兄さん」として、全国で教室や講演を行い、「工作の伝道師」として活躍。公式サイト
子どもと工作をする意義って?
家の中にはスマホやゲーム機、そしてタブレットなどがあり、今や子どもたちを取り巻く環境は退屈知らず。家にある材料で何かを作る遊びなんて、「昭和の話?アナログすぎじゃない?」なんて思ってしまうパパ&ママも多いことでしょう。
「そんなことは絶対にありませんからね!」
そう、異を唱えるのは長年にわたって子どもたちに工作の楽しさを説き続けてきた「わくわくさん」こと久保田雅人さん。昔も、そして今も、お父さんやお母さんと一緒にものづくりをすることが、子どもたちに良い影響を与えることをリアルに感じているといいます。
「まず、なぜ工作が大切なのか。ここからいきましょうか。
工作、つまり『造形』というものは、破壊から始まります。ハサミやカッターでさまざまなものを切って壊す。そこから、さまざまなものを創り上げていく。
お子さんにハサミを持たせると、すごい勢いで壊していきませんか?あれ、意味がなくやっているように思えるかもしれませんが『何かやりたい!』という欲求があって、破壊しているんですよね。だから、その段階で止めるのは野暮というもの。
大人である親から見たら、単純でバカバカしい行為に思えるかもしれません。でも、こうした手順を踏むことで、子どもたちの想像力が育っていくのです。
一緒に切って、破壊して、創造する。この行程を、ぜひ楽しんであげてください。
そして、子どもが疑問を抱いたときには、面倒くさがらずに話を聞いてあげてください。分からなくたっていいんです!」
「そうやって話を聞いたうえで、叱るのか手助けするかは、親の采配です。
破壊する行為に悪意があるのならば、叱ったほうがいい。創造の仕方が分からず悩んでいるようであれば、手助けしてあげればいい。
でも、子どもたちがせっかくワクワクして、好奇心を全開にしているときに叱ってしまったり、『もっとこうした方がいいよ』なんて、親が手を出したりするのはダメ。せっかく芽を伸ばしかけている子どもたちの個性をつぶしちゃいますからね。
工作しながら、子どもたちの話をよく聞いて、何を望んでいるのかよく見てあげる。そうすれば、不思議と子育ての糸口なんかも見つかるんじゃないかな?と僕は思っています」
「お子さんの想像力をかきたて、創造力を身に付けさせるために必要なこと。それは、『家の中で、いつでも創造できる材料と道具を用意しておく』こと。
材料はなんだっていいんです。トイレットペーパーの芯や画用紙、折り紙、めくったカレンダー、段ボール。こういった子どもたちが自由に使っていい材料を、いろいろとそろえておいてあげましょう。
道具は、ハサミやカッター、セロハンテープ、ホチキス、のり、油性ペンとかクレヨンとかもあるといいですね。
ひとつだけ注意点としては、道具は100均でそろえるのではなく、数百円のものでいいので、文房具店などで買うということ。
子どもだから……とあまり切れないハサミやカッターなどを買ってしまうとケガの元になったり、子どもが道具を大切にしなくなったりする原因になってしまいます。
セロハンテープもできれば会社や学校で使うような、重たい台の付いたものを用意しましょう。軽いものだと台が揺れて誤って手を切ってしまったり、テープを上手く切れず無駄遣いしてしまうことがあるので、重いものをオススメします。
使いやすい道具があればストレスがなくなり、子どもたちの創造力はどんどんふくらんでいきます」
配信: くらしマグネット