共同養育とは?離婚しても2人で子どもを育てるためのポイント8つ

共同養育とは?離婚しても2人で子どもを育てるためのポイント8つ

共同養育とは、父母が離婚後も引き続き共同して子どもを育てていくことをいいます。

現在の日本の法律では、父母の離婚後はどちらかが単独で親権者とならなければなりません。子どもの養育は親権者が単独で行うことがほとんどで、非親権者はなかなか子どもに会えないケースも少なくありません。

そのため、離婚時に父母が親権をめぐって激しく争うことも多く、どうしても親権を諦められない親が子どもを連れ去るというケースもたびたび発生しています。

このような問題を踏まえて、政府では共同親権が可能になるように法改正の議論も進められていますが、実現するかどうかは今のところ未定です。

ただ、共同養育は法改正を待たなければできないわけではありません。

現行法の下でも、様々な形で共同養育を行うことは可能です。

そこで今回は、

  • 共同養育とは何か
  • 共同養育のメリット・デメリット
  • 共同養育の実践例

を中心に、ベリーベスト法律事務所の弁護士が共同養育について詳しく解説します。

離婚したいけれど子どもとは離れたくないという方や、すでに離婚したけれど子どもに会えない、あるいは親権者になったものの子育てに苦労しているという方にとって、この記事が手助けとなれば幸いです。

1、共同養育とは

共同養育とは、冒頭でもご説明したように、父母が離婚後も引き続き共同して子育てをしていくことです。

両親が離婚しても、子どもにとって親は2人です。離婚しても両方の親からの愛情を受けて育てられる方が子どもにとっても望ましいはずです。

親にとっても、離婚後も子育てに関わることは自分の幸せにつながるはずです。

現行法の下では、非親権者はなかなか子どもに会えないのに養育費は毎月支払わなければならないという状況になりがちです。

親権者も、1人で子どもを育てていくのは大変です。子育ての重責に悩み、経済的にも困窮しているシングルマザーの増加も社会問題化しています。

共同養育が実現すれば、子ども・親権者・非親権者の三者にとって大きなメリットが得られることは間違いありません。

2、日本における共同養育の現状

諸外国では、離婚後も父母が共同親権者となり、2人で子育てを行う制度を採用している国が増えています。

日本でも近年、いままでの制度を改めて、共同親権・共同養育を導入しようという動きがあります。ここでは、政府の動きを中心に、日本での現状をご説明します。

(1)現行法は単独親権

現在の日本の民法では、父母の婚姻中は父母が共同親権者ですが(民法第818条3項)、離婚後は父母のどちらか一方だけが親権者となります(同法第819条1項、同2項)。

非親権者は「面会交流」(同法第766条1項)によってときどき子どもに会えるだけですが、子育てにかかる費用(養育費)は負担しなければなりません(同法第766条1項、第877条1項)。

その一方で、親権者は1人で子どもの衣食住の面倒をみて必要なしつけ・教育を行い、財産管理や法律行為の代理などの重責を果たす必要があります。

(2)政府の動き~共同養育支援法の制定向けた審議

共同親権・共同養育の導入の必要性については、以前から有識者の間では議論されていました。

国会でも、2011年の民法改正の際に、共同親権・共同養育の導入も含めて多様な家族像に対応可能な制度設計を検討することが決められました。

2019年2月には、国連の「児童の権利委員会」から日本に対して共同養育を認めるように法令を改正することを勧告し、政府はこれに対して「真摯に受け止める」と答えています。

また、2020年7月には、EUが日本に対して共同親権を認める法整備を求める決議を採択し、当時の法務大臣が「子どもの利益を最優先に、様々な意見に耳を傾けながら検討を進める」旨を答えました。

政府における審議状況としては、2019年11月に法務省の担当者も参加する「家族法研究会」が立ち上げられ、共同親権制度の導入などについて1年以上かけて議論を行い、法改正が必要であれば法制審議会に諮問するとされています。

また、2014年3月には超党派の議員による「親子断絶防止議員連盟」(2018年2月に「共同養育支援法全国連絡会」に改称)が発足し、現在に至るまで共同養育を初めとして子どもの最善の利益が実現される法制度の構築のために様々な活動を行っています。

現在のところ、まだ改正法案や新たな法律案は国会に提出されていませんが、共同親権・共同養育制度が導入される機運は高まっています。

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