監護権とは何ができる?親権との違いや監護権の内容を弁護士が解説

監護権とは何ができる?親権との違いや監護権の内容を弁護士が解説

3、監護権と親権を分離するメリットデメリット

それでは、親権の中から監護権を分離するメリット・デメリットにはそれぞれどのようなものがあるのでしょうか。詳しく解説していきます。

(1)メリット

夫婦が離婚するにあたって、その子供の親権をどちらが持つかは大きな問題のひとつです。

双方譲らず、いつまで経っても話が平行線のままでは、離婚自体の成立もどんどん後延ばしになってしまいます。

そんなときに親権と監護権を分けて持つというのはひとつの落としどころとなり、子供の側から見ても両方の親とのつながりを感じやすくなるため、気持ちの上で安心するケースが多いでしょう。

(2)デメリット

普段子供と一緒に生活することになる監護権者からすれば、子供の財産や法律行為に関する手続きを行うたびに、親権(財産管理権)を持つほうの親に連絡を取り、同意を得る必要があるところが大きなデメリットとなります。

たとえば子供がトラブルに巻き込まれて訴訟を起こす・子供の財産を売却するといったケースでは親権者の同意が欠かせないため、手間が増えて面倒に感じてしまうこともあるでしょう。

4、監護権のもととなる監護者と親権者の判断基準

親権者と監護者は基本的に夫婦間の話し合いで決定しますが、話がまとまらず調停や裁判へ発展した際には、それぞれ以下の事情が考慮されます。

(1)親の事情

どちらの親が親権者・監護者にふさわしいか、判断するための最大のポイントは「子供の利益・幸福の実現」です。

そのため、親側の事情としては以下の項目の度合いが主な基準となるでしょう。

  • これまでの子供との関わり方
  • 子供に対する愛情
  • 親自身の健康状態・精神状態
  • 経済力
  • 家事などの生活能力
  • 住宅環境
  • 子育てを手伝ってくれる人がいるか
  • 再婚の可能性

(2)子の事情

親権者・監護者の決定には、子供自身の希望も考慮されます。

ただ、その度合いは子供の年齢によって少しずつ異なりますので、具体的には以下を参考にしてください。

  • 0~10歳:子供の意思に関わらず母親が親権者・監護者として認められやすい
  • 10~15歳:子供の意思をある程度尊重
  • 15歳以上:調停・裁判では必ず子供の意思を確認する必要があり、その希望を尊重する

関連記事: