前婚の子が財産を相続するために知っておきたい5つのこと

前婚の子が財産を相続するために知っておきたい5つのこと

前婚の子が相続するには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。 

離婚をした父母の一方がその間に生まれた子ども(前婚の子)を連れて再婚をした場合、前婚の子は新しい父(または母)の財産を相続することはできるでしょうか。

離婚後に前婚の子を伴って再婚することが珍しくない現代において、身近な問題の一つといえます。

今回は、前婚の子が財産を相続するために知っておいていただきたいポイントや協議のポイントを説明させていただきます。

法定相続人に関して詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。 

 

1、前婚の子は相続人になれる?(相続の権利がある?)



離婚をした父母の一方がその間に生まれた子ども(前婚の子)を連れて再婚をした場合、前婚の子は再婚後の新しい父(または母)が亡くなって相続が開始した時にはどのような立場になるでしょうか。

以下のような事例で考えてみます。 

父Aと母Bの間に、子Cが生まれました。その後、父Aと母Bは離婚し、子Cの親権は母Bがもちました。その後、母Bは、Dと再婚しました。

このとき、子Cは、前婚の父Aまたは母Bが亡くなった際、相続人となってその遺産を取得できることは、特に問題がありません。 

前婚の子Cが相続人になれるか問題となるのは、母Bが再婚したDが亡くなったことにより開始される相続においてです。

様々なライフスタイルや家族関係が存在し、離婚や再婚ということが珍しくなくなった昨今、上記のような状況はどの家庭にも起こりうることであるといえます。

Cが相続人になれるのかを説明するにあたって、相続を規定する「民法」にはどのように書いてあるかを確認してみましょう。民法には、『親が亡くなった場合、「子」が相続人になる』と規定しています(民法887条1項)。

では、前婚の子Cは、ここでいう「子」に該当するのでしょうか。

結論から言うと、子Cは母BDと再婚をしただけではDの「子」にはあたりません。なぜならば、母BがDと再婚しただけではDと子Cの間に親子関係が発生するわけではないからです。

CDの遺産を取得するためには事前の対策が必要です。

2、前婚の子が遺産を取得する方法は?



では、どのような対策が必要になるのでしょうか。

子CがDの遺産を取得する方法は2通りあります。

①子CがDと養子縁組をする

②Dが子Cに財産を遺贈する旨の遺言書を作成する

上記の民法887条1項の「子」とは法律上の親子関係のある子のことをいいます。母BDと再婚しただけでは、母Bの前婚の子である子CDの間には法律上の親子関係はありませんから、法定相続人となる「子」には該当しません。

前婚の子CとDとの間に法律上の親子関係を発生させるためには、Cと再婚相手のDが養子縁組をする必要があります。養子縁組をすることによって、前婚の子CとDには法律上の親子関係が発生しますので、Dが亡くなった場合に、Dの相続人となることができるのです。

養子縁組をすると、養親から遺産を相続することができます。しかし、その一方で、子Cは、法律上、新しい親(養親)の面倒を見なければなりません。これを是としない方もいるでしょう。

このような場合、養子縁組という手続きを利用しなくとも、遺言を利用することによって、子CがDの遺産を取得する方法もあります。

すなわち、Dが子Cに財産を遺贈するという内容の遺言書を作成しておくのです。

この場合、遺贈する財産として指定する範囲は、遺産の全部または一部(3分の1など)として取得の割合を示すこともできますし、「〇〇市〇〇町の土地建物」など具体的に財産を特定することもできます。

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