5、親権停止を求めるための手続き
ここからは、実際に裁判所へ親権停止を申し立てるための流れを見ていきましょう。
(1)申立てができる人
まず、親権停止の申し立てができる人は以下の通りです。
- 子供本人
- 子供の親族
- 検察官
- 児童相談所長
- 未成年後見人
- 未成年後見監督人
1番最後の「未成年後見監督人」は、未成年後見人の事務を監督する役割を担う人のことで、申し立ての有資格者として子供本人・未成年後見人とともに2012年の制度改正時に追加されました。
(2)家庭裁判所に申立てる
親権停止の申し立ては、子の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。
申し立てに必要な書類等を以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
(3)申立てに必要な書類
- 申立書
- 子の戸籍謄本
- 現在の親権者の戸籍謄本(子と同じ戸籍に入っている場合は不要)
- 申立人にその権利があることを証明する資料(戸籍謄本等)
- 申し立ての理由(=子の利益を著しく害していること)を示す資料
- 子1人つき800円の収入印紙
- 切手(必要額は裁判所によって異なる)
6、親権停止の期間
裁判所によって親権停止が認められた場合、その後の流れがどうなるのかについてもご紹介していきます。
(1)親権停止は最長2年間
親権停止には最長2年間の期限があり、この期間の長さも裁判所の審判によって決定します。
2017年の記録では、最長である2年の期間が定められたケースが最も多く、全体の7割以上です。
- 1年未満:8.3%
- 1年以上2年未満:19.4%
- 2年:72.2%
(参考)http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20180420zigyakugaikyou_h29.pdf
(2)親権停止の原因が消滅した場合は
定められた親権停止の期間中に、そもそもの親権停止に至った原因が消滅した場合は、裁判所に対して審判の取り消しを請求することができます。
ここでも審判を取り消す=親権を元に戻すかどうかは子の利益を最優先して判断されるため、本当に原因が消滅したのかどうかが最大のポイントになりますが、その点を具体的に証明することができれば期限よりも早く元の暮らしを取り戻すことも可能です。
(3)親権停止の原因が継続している場合は
一方、親権停止の期間に自動更新・延長の仕組みはないため、期間を終えてもその原因が継続している場合は、再び親権停止の申し立てを行う必要があります。
親権停止は、最長期間である2年以内に親権者の態度や家庭環境の改善が見込める場合に申し立てることが基本となっていますので、1度目の親権停止で状況が変わっていないケースでは、親権喪失への移行を視野に入れる必要もあるでしょう。
配信: LEGAL MALL