7、親権停止への不服申立て
親権停止の審判に納得がいかないときには、裁判所に対して不服申し立てを行うことができます。
この申し立てを「即時抗告」といい、期限は審判の日から2週間以内です。
また、即時抗告ができる人は審判の結果によって次のように異なります。
- 審判が認容 → 親権者やその親族など
- 審判が却下 → 申立人
8、親権停止については、弁護士に相談しよう
親権停止は子供の利益を守る重要な手段のひとつですが、その一方で期限付きとはいえ本来の親権者と子供を引き離すという、後々の親子関係に大きな影響をもたらしかねない決断になるため、裁判所も慎重に審判を行います。
なるべくスムーズに審理を進めていくためにも、親権停止の申し立てを行う際にはあらかじめ弁護士に相談し、事前準備などに関してアドバイスを得るのがおすすめです。
子供が今まさに虐待を受けていて一刻を争う場合には、審理前にひとまず現在の親権行使を止める保全処分の申し立てを検討する必要もあります。
どうすればより速やかに子供の安全を守ることができるのか、弁護士と相談してベストな選択肢を探っていきましょう。
親権停止に関するQ&A
Q1.親権停止とはどんな制度?
2012年4月から施行されている親権停止制度は、裁判所の審判によって、最長2年間まで親権を停止する=親権者と子供を一時的に引き離すことができる制度です。
Q2.親権停止の申し立てが認められるケースはどんなとき?
裁判所が親権停止の申し立てを認めるケースには、次のようなものがあります。
不適当な親権の行使により子の利益が害されているとき
親権者による親権の行使が困難なとき
Q3.親権が停止されるとどうなる?
親権を停止された親権者は、極端に言えばその間ずっと子供との日常的な関わりを持つことができなくなります。
一緒に住む、食事を作る、身の回りの世話をするなど、本来であれば親権者に与えられている権利と義務のすべてを失うことになるので、たとえ血が繋がっていても、親として振舞うことができなくなります。
まとめ
子供の毎日の世話を行い教育を施していくことは、親の権利であると同時に義務でもあります。
この義務を放棄してネグレクトを行ったり、しつけの一部と称して理不尽な暴言や暴力を繰り返したりする親から子供を守るために民法で定められているのが、今回ご紹介した親権停止制度です。
親権停止制度には、親権を無期限に奪う親権喪失制度に比べて、最長2年間という期限が設けられている分、今後の親子関係の改善に希望を残すことができるという側面があります。
ただ、親権停止はあくまでも一時的なものであって、期間が過ぎればまた親権者のもとに子供を返すことになるので、親権停止の間に状況が改善されなかった場合は、親権者の変更など別の解決策を講じる必要も出てくるでしょう。
子供の健やかな成長と幸せな人生をサポートするために何が最良の手段なのか、悩んだときにはぜひ弁護士への相談も検討してみてください。
監修者:萩原 達也弁護士
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