DVで離婚する際におさえておきたい全知識【弁護士が解説】

DVで離婚する際におさえておきたい全知識【弁護士が解説】

DVで離婚をお考えでしょうか。

DVでは暴力による身体的ダメージだけでなく思考回路までをも支配されてしまいがちなため、離婚を考え始めたことは大変な進歩だと思います。

ただ、DVをする夫への離婚の切り出し方、ここはもっとも注意しておかなければなりません。離婚などと口に出した途端、暴力が発動する可能性が高いからです。下手な切り出し方をしてしまうと、より壮絶な暴力に発展してしまう可能性もあります。

今回は、DVの被害で悩まれ、DVを原因として離婚を検討されている方に向けて、

  • DVを原因として離婚する際の注意点
  • DVを原因として離婚するときに絶対におさえておきたい知識
  • DVで離婚する際に請求できるお金

をご紹介していきます。

ベリーベスト法律事務所の弁護士が監修した内容ですのできっと参考になるはずです。

配偶者のDVが原因で離婚を検討している皆さまが後悔しない道へ進めるように、この記事が悩み解決のお役に立てば幸いです。

1、DVで離婚する際に注意しておくべきこと3つ

まず、離婚理由が夫のDVである場合特有の注意点についてみていきましょう。

大切な注意点は、以下の3つです。

(1)離婚話をする前に別居をするべし

DVでの離婚は、DVの被害者が離婚を切り出すと、DV加害者は逆上して暴力をふるうというケースがよく見られます。

したがって、DVを理由に離婚を切り出す際は、事前の「別居」がマストです。

また、別居の準備については、相手に悟られないよう細心の注意を払って準備を進める必要があるといえます。

別居先を相手に知られないようにする手段もあります。

離婚話をする前にまずは別居だ、ということを心得ておきましょう。

(2)DVの証拠を揃えるべし

DVでの離婚は、暴力、それに対する恐怖感による萎縮、このループにハマってしまっていますから、夫婦間での話し合いですんなりと離婚が成立するケースは稀でしょう。

調停や裁判へもつれ込む可能性もあり、その際は特に、DVの被害を受けていたという証拠が重要になってきます。

そのため、DVを受けているという証拠を揃えることを意識してください。

証拠の詳細は「2」(2)をご覧ください。

(3)DV離婚、一人で戦うべからず

DV離婚は、DV加害者はまともな精神状態ではない、と思っていた方が良いでしょう。

社会的に普通に仕事をこなしていても、あなた以外の人からの人望が厚かったとしても、あなたへDVをしているのであれば、まともであると思ってはいけません。

DVは、社会問題にもなっています。夫婦間だけの問題ではないのです。

ですから、離婚は、必ず第三者へ相談しながら行うこと。

相談すべき第三者とは、弁護士です。

最近では相談を無料とする弁護士も増えています。

安全な別居の方法、証拠の残し方など、どうやって離婚を成立させるのか、まずはそれだけでも無料の範囲で相談できますから、弁護士を味方につけて安全に離婚を成立させるべきです。

2、DVを理由に離婚する際の流れ

ではいよいよ、DVでの離婚の流れをみていきましょう。

(1)弁護士、または配偶者暴力相談支援センターへ相談

まず、別居についての知識を得ておきましょう。

そのためには、弁護士または配偶者暴力相談支援センターへ相談してください。

①シェルターを利用する場合は配偶者暴力相談支援センターへ

配偶者暴力相談支援センターとは、DV加害者からの一時保護をはじめとして、保護施設(シェルター)の情報提供または支援をしてくれる機関です。

シェルターに入りたいと気持ちが固まっている場合は、こちらへ相談すると良いでしょう。

②シェルター以外に行く場所がある、別居自体を迷っている場合は弁護士へ

保護施設を利用しない場合でも、DV加害者が近づいてくることを阻止するために、「保護命令」という制度を利用することができます。

保護命令とは、DV防止法に基づくもので、配偶者からの身体への暴力を防ぐため、裁判所が、暴力を振るったあるいは生命又は身体に対する脅迫をした配偶者(相手方)に対し、被害者である配偶者(申立人)に近寄らないよう命じる決定です。

申し立てについてのアドバイスを受けるには、弁護士への相談が良いでしょう。

また、怖くて別居ができるのかわからない、身動きが取れない、どうしていいのか判断がつかなくなっている場合は、弁護士へ相談すれば、配偶者暴力相談支援センターの紹介も含め、離婚について総合的なアドバイスがもらえます。

さらに、後述する通り、DV離婚では協議離婚はかなり難しいと言えます。

調停を申し立てることになるでしょう。

調停で代理人となってもらうことを見据え、初めから弁護士に相談することは大変合理的と言えます。

(2)証拠の確保

いざ離婚の調停や訴訟に至った場合には、DVについての証拠を提出する必要があります。

DVをはたらく配偶者の多くは、外面はよい場合が多く、調停等であなたが「DVに遭っている」と主張するだけではなかなか信じてもらえません。

あなたの主張を具体的に根拠づける証拠が必要になるのです。

したがって、離婚を決意されたら、同居中に、なるべく客観的な証拠を残すようにしましょう。

具体的な証拠としては次のようなものが考えられます。

  • DVによる怪我についての写真や診断書
  • DVの様子を記録した日記
  • DVをはたらかれた際の録音
  • 警察や相談機関での相談の記録

DV加害者は、直接的な暴力以外にも、暴言やモラハラな言動をはたらくケースも非常に多いと思います。

暴言の記録などもしっかり確保しておくことをおすすめします。

(3)別居へ踏み切る

シェルターその他の別居先へ、相談先からのアドバイスに従い、安全な別居へ踏み切りましょう。

相手に知られないようにどう準備するのかなど、前項の相談先でアドバイスをもらってください。

(4)保護命令および離婚調停を申し立てる

離婚については、まずは弁護士から離婚の意思を通告してもらうと良いでしょう。

弁護士に入ってもらっていれば、慰謝料や養育費、財産分与など離婚の経済面については鬼に金棒です。

未成年の子どもがいる場合には、親権についても、しっかり決める必要があります。

万が一それで応諾されれば、離婚は成立です。

弁護士からの通告にも揺るがない場合は、離婚調停を申し立てます。

そして同時に、別居中に近づかれることがないよう、保護命令を申し立てます。

保護命令には、下記の5つがあります。

  • 接近禁止命令
  • 電話等禁止命令
  • 子への接近禁止命令
  • 親族等への接近禁止命令
  • 退去命令

相手方の行動によって、どれにするかを検討しましょう。

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