今後の自分の人生や子供のことを考えて、離婚をしたいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、離婚すると仕事の立場上よくなかったり、おカネがあまりないため厳しかったりなど、「上手な離婚の仕方」が分からないとお困りのこともあるかと思います。
そこで今回は、
- 離婚の前にやっておくべき前準備
- 賢い離婚話の進め方
- 合意に至らなかった場合の3つの離婚手段
等について、ご説明したいと思います。ご参考になれば幸いです。
1、上手な離婚の仕方|やっておくべき前準備
ではさっそく、上手な離婚に向けてまずはやっておくべき「前準備」からご説明していきましょう。
時系列に従って説明していきますので、以下番号の若い順に進めてください。
(1)離婚理由を明確にする
離婚は、「家族」というチームの離散を意味します。
世の中には様々なチームがありますが、この「家族」というチームは、以下のような特徴があります。
- 生活の基盤となるチーム
- 解散後他のチームに移転することは容易でない
家族の1人が離婚を希望していても、離婚は上記の特徴があるため、勝手に進めてしまうとその他のチームメンバーにデメリットを与えかねません。
そのため、チーム全員が前向きに合意することが理想です。
そして、チーム全員が合意するためには、「なぜ離散する必要があるのか」を明確に説明することが大切になってくるのです。
(2)離婚理由の証拠を集める
離婚理由はさまざまですが、多くの方が挙げられる理由は以下のようなものがあります。
- 性格の不一致
- 金銭感覚の不一致
- 配偶者の浮気、不倫
- 配偶者のモラルハラスメント
- 配偶者のDV
これらについて、証拠を集めてください。
たとえば「性格の不一致」であれば、どのような会話でどのように噛み合わずどのような苦痛を味わったのか、ということを記すなどです。
「金銭感覚の不一致」でも、どのような時にどのように噛み合わずどのような損害を受けたのかを記します。
浮気や不倫は証拠となる物、音声や画像を保管しておく、モラハラも音声の保管、DVについては映像等も保管することができるでしょう。
なぜ証拠を集めるのかは、相手が離婚に合意しない場合の調停や裁判で証拠となり得るという理由のほか、相手にしらを切らせないという効果が期待できるからです。
「性格が合わない」「金銭感覚が合わない」などと主張しても、「どこが合わないの?」と水掛け論になってしまいます。
その他の理由においても、証拠がなければ、またこれらのことであなたがどれだけ苦しんでいるかが分からなければ、相手はしらを切ることができてしまいます。
以上の証拠集めは、DVが激しく身の安全を確保するために一刻を争うようなケースでなければ、半年間くらいを目処に集めて行くと良いでしょう。出来事の証拠事例が多ければ多いほど相手のしら切りを封ずることが期待できます。
(3)夫婦の財産の整理
離婚をすれば、夫婦で築いた財産について「財産分与」が行われます。
早めに夫婦の財産について理解しておくことが必要です。
一覧表にするなど、整理しておくのも良いでしょう。
預貯金など現金については分けやすいですが、自宅、車、家財道具、ペットなど、自分には何が必要なのかをまとめておくと財産分与がスムースです。
2、賢い離婚話の進め方
証拠が揃ってきたところで、次のステップである「離婚話をする」に移っていきましょう。
本項では、離婚話の進め方について解説していきます。
喧嘩などをして啖呵を切ってしまったような場合でも、いったん仕切り直し、落ち着いて話していくことが大切です。
(1)話し合いがこじれそうな場合は、一時的に住まう場所を確保
相手の性格等から考え、話し合いがこじれそうな場合は、話し合いが成立するまでの期間、別に住む場所を確保しておくと良いでしょう。
実家でも良いですし、マンスリーマンションなどでも良いかもしれません。
夫が妻より収入が多ければ、別居中、妻は、夫に対し婚姻費用分担請求ができます。
家賃を支払う場合は、婚姻費用の範囲内で収まるところがベストです。
あなたの家庭における婚姻費用の相場は、こちらでご確認ください。
(2)冷静に切り出す
相手も自分も冷静な状況で切り出しましょう。
興奮している時は攻撃性が高まっているため暴力に発展することもありますし、まともな結論を得られる可能性も低いからです。
興奮した状況で強引に離婚の合意を得られとたしても、冷静になった後にひっくり返されてしまうでしょうし、言った・言わないの主張を遣り合っても仕方がありません。
離婚は、親権や財産分与等、話し合わなければならないことがたくさんありますから、勢いで一気に決めてしまうことはできないのです。
ですので、お互いが落ち着いた状況で冷静に離婚を切り出してください。
もし、話し合いの途中で一方または双方がヒートアップしてくるようであれば、一旦話は持ち越しましょう。これ以上話しても、進展させることは困難です。
また、子どもが一定の年齢であれば、子どもにも離婚を合意してもらう必要があります。
子どもも家族のチームメンバーだからです。
子どもの気持ちを考えながら、説明をしていきましょう。
(3)相手に本気であることを伝える
また、昨日今日考え始めたことでなく、以前から考えていて本気だということが相手に伝わるようにしてください。
本気で話さなければ、相手も本気になりません。
この話し合いをきっかけに、相手が自分にある原因をなくす(不倫をやめる等)からやり直そうという提案もなされるかもしれません。
もちろん、このような提案も、あなたの心が動くのであれば、やり直しを考えてみるべきでしょう。
ただ、大切なのは、あなたが本気で離婚の意思を伝えなければ、相手も原因をなくすことに本気にはならないということです。
不満を単に伝えているだけと思われたのでは、離婚はしたくないけれど原因への対策も本気で行われることはありません。
(4)条件の確定を急ぎすぎない
離婚話は、
- 離婚をするかどうか
- 離婚条件をどうするか
という2つのテーマに分かれます。
離婚をするかどうかも1度の話し合いで合意されるかも分からない中で、条件も決められるかと言えば、一般的な心情としてはかなり困難であると推測されます。
そのため、条件については落ち着いてから、というように、段階を踏んで話を詰めていくことをお勧めします。
なお、有利な条件での離婚の仕方については「5」でご説明していきます。
配信: LEGAL MALL