5、損をしない離婚の仕方
いよいよ離婚の仕方で最重要と言える、「損をしない」離婚の仕方についてみていきましょう。
離婚は、離婚をするかしないかのほか、離婚の条件についても話し合うべきと上述しました。
離婚したいという思いが強いと、「とにかく離婚させて」と離婚を急ぎ過ぎてしまい、条件そっちのけで結果的に損をすることになりかねません。
離婚の条件は、大きく分けて次の2つです。
- お金(資産)
- 子ども
(1)お金(資産)
まずはお金についてみていきましょう。
①婚姻費用
婚姻費用とは、夫婦の婚姻期間中に収入が多い方から少ない方に渡す生活費のことです。
離婚後、この費用が問題となることはありませんが、主に問題となるのは離婚まで「別居」をした場合です。
または、レアケースかもしれませんが、離婚話をした途端、同居をしているにも関わらず生活費をもらえない、というケースも当てはまります。
自分の方が収入が少ない場合、別居、もしくは上記の状態に陥った方は、迷わず配偶者に請求しましょう。
婚姻費用の額は夫婦で話し合って決定して構いませんが、まとまらない場合は、裁判所が出している算定表を基準に決めるとよいでしょう。
②財産分与
財産分与とは、婚姻中に築いた夫婦の共有財産を貢献度に応じて分け合うことです。
どのように分け合うかについては、夫婦で話し合って構いませんが、通常は2分の1の割合で折半します。
専業主婦で収入がなくても、家事をすることによって家計に貢献していると言えるため、基本的には折半の割合は2分の1ずつです。
③年金分割
年金は拠出した額が多ければ給付される額も通常多くなりますが、専業主婦や働いていても旦那よりも給与が低い場合は、旦那よりも年金が少なくなってしまい不公平です。
そこで、婚姻期間中に拠出した年金を夫婦で按分して不公平を無くすのが年金分割です。
④慰謝料
慰謝料とは精神的損害に対する賠償です。
通常は離婚の原因を作った方がもう一方に対して支払います。
離婚における慰謝料の相場としては、数十万円~300万円程度と幅があります。
(2)子ども
次に子どもについてです。
①親権
親権とは、具体的イメージとしては、子どもと共に暮らして世話をしていくというものです。
ただ、本来の親権の意味はもう少し広く、財産管理権までをも含むものです。
つまり、共に暮らすだけでよければ、親権を獲得する必要はなく、「身上監護権」という親権の一部を確保すればたります。
親権の帰属でもめることはとても多く、離婚の話し合いでは決まらないケースも多々あります。
このような場合は、離婚そのものの話し合いの場合と同様、調停、裁判、と進んでいくことになります。
調停や裁判で重視されることは、これまでの子どもの環境です。
離婚によって子どもが振り回されることはいけません。
可能な限りこれまでの環境に近い状況で育てられるべきなのです。
こればかりは、今からできる工夫はありません。
むしろ、これまでの子どもの環境に自分がいなかったという場合は、親権は子どものために諦めるべきとも言えます。
親権について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
②面会交流
面会交流とは、別居しながらも子どもに会うことです。
週に1度、月に1度など、同居しない親が子どもと会う頻度を取り決めます。
たとえば子どもが思春期で、子どもが会うのを拒否していたとしても、親がこれをどうこうすることはできません。
つまり、「子どもが会いたくないと言っているので、約束の明日は会わせない」ということは基本的にはできないのでご注意ください。
面会交流についての詳しいことは、こちらの記事をご覧ください。
③養育費
養育費は、子と同居しない親が、子を引き取って監護する方に対して支払います。額については、これも夫婦で自由に決められます。
養育費についての詳しいことは、こちらの記事をご覧ください。
6、知っておくべき!公的扶助
ひとり親には、「児童手当」、「児童育成手当」、「母子家庭等の住宅手当」、「ひとり親家族等医療費助成制度」等の公的扶助が用意されています。
このような扶助について、全ての制度を網羅的にご存知な方はかなり少ないのではないでしょうか。
国で行う扶助はもちろん、自治体によって独特な扶助を準備しているところもあります。
配信: LEGAL MALL