2020年4月からの改正健康増進法で、受動喫煙防止対策が強化されています。
なぜ、受動喫煙防止対策が必要なのでしょう。会社として、何をすればよいのでしょうか。
この記事では、まず、受動喫煙防止対策が、なぜ必要なのかをご説明します。
その上で、改正健康増進法の内容などをご紹介し、企業がやるべきことを明確にします。
公的なサポートもご説明します。
一方で、新型コロナウイルス対策の3密対策の視点にも触れます。
世界有数の長寿国でありながら、受動喫煙防止対策では先進国中最悪と言われたこの国の悪評を拭うべきときです。
何よりも、受動喫煙防止対策により、役職員の健康、ご家族の健康、取引先やお客様の健康を守ることの重要性をよく理解してください。
健康経営については以下の関連記事をご覧ください。
1、改正健康増進法で何が変わったのか
(1)そもそも健康増進法とは何か
健康増進法は、2002年に国民への栄養改善や健康の維持・増進を目的に制定された法律です。
2000年3月開始の「21世紀における国民健康づくり運動 (略称・健康日本 21) 」を実行するための法律でした。
しかし、「健康日本 21」で生活習慣病予防策として掲げられた9項目*のうち、法律に具体的施策として盛り込まれたのは受動喫煙の防止のみです。
他は、国や自治体などによる実態調査や啓発活動にとどまっています。
とはいえ、この法律は受動喫煙対策を押し進めるのに大きな効果がありました。
法律の施行により私鉄,JRの駅など公共の場での全面禁煙が進んできたともいわれています。
*9項目の内容(厚労省ポータルサイト「健康日本21」より)
①栄養・食生活 ②身体活動・運動 ③休養・こころの健康づくり
④たばこ ⑤アルコール ⑥歯の健康 ⑦糖尿病 ⑧循環器病 ⑨がん
たばこについては、次の通り述べられています(厚生省保健医療局長通知より)。
「たばこは、がんや循環器病など多くの疾患と関連があるほか、妊娠に関連した異常の危険因子である。
目標は、たばこの健康影響についての十分な知識の普及、未成年者の喫煙防止(防煙) 、受動喫煙の害を排除し、減少させるための環境づくり(分煙)、禁煙希望者に対する禁煙支援について設定する。」
(2)改正健康増進法で求められる受動喫煙防止対策の概要
ポイントは次の4つであり、この4月から全面施行になっています。
①屋内原則禁煙
②20歳未満の人の喫煙エリアへの立入り禁止
③屋内喫煙には喫煙室設置が必須
④喫煙室への表示義務付け
(図の出典)厚生労働省「なくそう!望まない受動喫煙。マナーからルールへ」
2、受動喫煙がもたらすこれだけの危険
受動喫煙は、なぜこれだけ問題になったのでしょうか。
(1)副流煙のリスク
喫煙者よりも受動喫煙者の方が、高いリスクにさらされています。
喫煙者はフィルターを通して煙を吸いますが、受動喫煙者が吸い込む副流煙には、フィルターの防御はありません。
ニコチン、タール、一酸化炭素など喫煙者の3倍~5倍近い危険にさらされています。
(2)喫煙者の夫・妻など受動喫煙のご家族に及ぼす疾病リスク
乳癌2.6倍、肺腺癌2倍など、喫煙者本人だけの問題にとどまらないのです。
(1)(2)の図解の出典
禁煙の教科書
[動画]分煙では、受動喫煙対策は不十分!~オフィス外での社員の受動喫煙についても配慮しましょう~
本当に怖いのは受動喫煙による被害~データで分かる喫煙のもう一つのリスク~
(3)従業員への健康被害
さらに、会社・事業主としては、従業員の健康被害について、しっかり把握しておく必要があります。
厚生労働省の調査では、受動喫煙による肺がんと虚血性心疾患の死亡数は年間約6,800人です。
その50%以上が、職場での受動喫煙が原因とされます。
<厚生労働省 たばこの煙から働く人を守る職場づくり>
配信: LEGAL MALL