認知されない子供のデメリットとは?認知してもらう方法も解説 

 認知されない子供のデメリットとは?認知してもらう方法も解説 

3、子供を認知してもらうメリット 

父親に子供を認知してもらうことで得られる具体的なメリットは、以下のとおりです。 

(1)法律上の養育費請求権が発生する 

法律上、子供の養育費の請求権は親権者(多くの場合は母親)から非親権者(多くの場合は父親)に対して認められるものです。非嫡出子の養育費については、父親に認知されて初めて法律上の請求が可能となります。 

認知されないままでも父親が任意に養育費を支払ってくれるケースもありますが、調停や審判などで強制的に支払いを求めるためには認知されている必要があります。 

(2)親族としての扶養を請求できる 

認知してもらうことで父親と子供は法律上の「直系血族」となりますので、子供から父親に対して扶養を請求できるようになります(民法第877条)。 

養育費の請求権があくまでも親権者から非親権者に対して請求できる権利であるのに対して、扶養の請求権は子供から父親に対して直接請求できる権利です。したがって、子供は成人した後の学費などについても、扶養請求権を根拠として支払い求めることができる可能性があります。 

(3)父親の遺産を相続できる 

認知によって法律上の親子となりますので、父親が亡くなった場合には認知された子供が父親の遺産を相続できるようになります。つまり、法律上の相続権が発生するということです。 

なお、以前は認知された非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1と民法で定められていましたが、民法改正により現在では非嫡出子と嫡出子の相続分に差はありません。したがって、父親に他の子供がいる場合でも、認知された子供は平等の割合で遺産分割を求めることができます。 

(4)父親を親権者とすることも可能となる 

認知されても子供の親権者は原則として母親のままですが、認知後は父母の協議によって父親を親権者として定めることも可能となります(民法第819条4項)。 

この規定は母親にとって不利だと思われるかもしれませんが、ほとんどの場合は心配いりません。母親が継続的に子供を育てている以上は、認知した父親が唐突に親権を主張したとしても、この主張が認められることはまずないからです。 

ただ、母親が病気や事故などの影響で、どうしても子育てが難しくなることもあるでしょう。その場合には、この規定に基づいて父親を親権者と定め、育ててもらうことも可能だということになります。 

4、父親に子供を認知してもらう方法 

父親に子供を認知してもらうためには、どうすればよいのでしょうか。 

認知には「任意認知」と「強制認知」という2種類の手法がありますので、それぞれについて具体的な方法をご説明します。 

(1)任意認知 

任意認知とは、父親が自分の意思で自分が子供の父親であることを認めることです。 

父親は自分の存命中には認知しなくても、遺言によって死後に認知することも可能です(民法第781条2項)。これも任意認知の一種です。 

任意認知の手続きは、父親が役所に「認知届」を提出するだけで完了します。認知届が受理されると父親と子供との間に親子関係が発生します。 

届け出の際には、認知届の他に以下の書類が必要です。 

  • 父親の印鑑
  • 父親の本人確認書類(免許証・パスポートなど)
  • 父親の戸籍謄本(全部事項証明書)
  • 認知される子の戸籍謄本(全部事項証明書)(届出をする市区町村に本籍がないとき)

その他にも、以下のようにケースに応じて書類が必要となることがあります。 

     認知のケース      

                    必要書類                      

    成人の子の認知     

              認知される子の承諾書                

      胎児の認知       

                  母親の承諾書                    

   子の死亡後の認知    

         子の直系卑属(子や孫)の承諾書           

    遺言による認知     

                  遺言書の謄本                    

届け出先は父親の住所地または本籍地の市区町村の役所ですが、胎児認知の場合は母親の本籍地の市区町村にある役所となります。 

こちらの記事では、任意認知についてさらに詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。 

(2)強制認知 

強制認知とは、父親の意思に反してでも子供との間に法律上の親子関係を創出することをいいます。父親が任意に認知をしてくれない場合は、法的手段を使って強制的に認知させることが可能です。 

手続きとしては、家庭裁判所に「認知調停」を申し立てます。調停は話し合いの手続きですが、認知調停の場合は一般的にDNA鑑定による親子関係の調査も行われます。 

鑑定の結果を踏まえて話し合いが行われますが、DNA鑑定の結果が「親子関係のある可能性が濃厚である」というものであれば、父親の意向にかかわらず認知を命じる旨の審判が下ります。 

父親が亡くなった後に認知を求める場合は調停をすることができませんので、家庭裁判所に「認知の訴え」を提起します。親子関係の存在を証拠で証明することができれば、認知を命じる旨の判決が言い渡されます。 

認知の訴えでも、通常はDNA鑑定の結果が最も重視されます。もし、父親のDNAを採取できるものが何もない場合は、他の状況証拠によって親子関係を立証していきます。 

審判や判決が確定すれば、母親が認知届を提出することができます。その場合には審判書または判決書の謄本とその確定証明書を家庭裁判所から取り寄せ、認知届と一緒に役所へ提出します。提出先は、任意認知の届け出先と同じです。 

こちらの記事では、強制認知についてさらに詳しく解説しています。ぜひ、併せてご覧ください。 

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