認知されない子供のデメリットとは?認知してもらう方法も解説 

 認知されない子供のデメリットとは?認知してもらう方法も解説 

5、認知されない子供のデメリットに関するよくある質問 

認知のメリットや認知してもらう方法について解説してきましたが、認知されない子供のデメリットについてさらに詳しく知りたいという方もいらっしゃることでしょう。 

ここでは、認知されない子供が生活していく上で受けるかもしれないデメリットに関して、よくある質問にお答えしていきます。 

(1)戸籍はどうなる? 

認知されない子供は、母親の戸籍に入ります。ただし、【父】の欄は空白になります。それによって法律上や行政上のデメリットが生じることはありませんが、子供が自分の戸籍謄本を見たときに精神的ショックを受ける可能性はあります。 

なお、認知された場合も戸籍に変動はありません。【父】の欄に父親の氏名が記載されるだけです。 

(2)母子手当はもらえる? 

児童扶養手当(いわゆる「母子手当」)は、認知されていなくても受給できます。認知されているかどうかによって受給額が異なることもありません。 

(3)パスポートは作れる? 

認知されない子供も、パスポートを作ることはできます 

パスポートが作れないのは、戸籍がない場合や、一定の犯罪歴がある場合などです。母親が出生届を提出し、子供自身に特段の犯罪歴がなければ、パスポートを作ることに支障はありません。 

(4)就職に影響はある? 

子供が認知されていないからといって、就職に影響が出ることは原則としてありません 

採用側が応募者の戸籍謄本を取得することはできないので、基本的に認知の有無を採用側に知られることはないからです。 

何らかの事情で採用側に認知の有無を知られる可能性はゼロではないかもしれませんが、まっとうな会社はそもそも、応募者の認知の有無などを問うことはありません。本人の能力や経験、熱意、人格などで採否を判断するはずです。 

したがって、就職への影響を気にする必要はないでしょう。 

(5)結婚に支障をきたすことはない? 

結婚については就職とは異なり、認知の有無が影響を及ぼす可能性も否定できません。 

通常、結婚相手の両親がどのような人であるのかは重要な関心事です。父親が最初からいないということになれば、結婚しようとする相手やその両親に難色を示される可能性がないとはいえません。 

とはいえ、認知されないまま結婚して幸せな家庭を築いている人も数多くいます。認知されないからといって結婚できなくなると考える必要はないといえるでしょう。 

6、子供を認知してもらうとデメリットもある? 

認知には大きなメリットがある一方で、デメリットもあります。実際に認知を求める前に、以下のデメリットも頭に入れておきましょう。 

(1)父親の相続トラブルに巻き込まれる可能性がある 

法律上、遺産分割協議は相続人が全員で行わなければならないこととされています。そのため、父親が亡くなった場合には認知された子供も他の相続人と一緒に遺産分割協議に参加しなければなりません。そこにおいて、相続トラブルに巻き込まれる可能性があります。 

相続したくない場合は相続放棄をすれば足りますが、適正な割合で遺産を取得したいにもかかわらず他の相続人に拒否されるような場合には、遺産分割調停を行わなければならないこともあります。 

(2)父親の借金を相続するおそれがある 

相続に関しては、父親の借金を相続する可能性があることにも注意が必要です。 

相続は、被相続人(亡くなった人)の財産的な権利・義務の一切を承継するものですので、借金などマイナスの財産も承継されます。 

父親が亡くなっても知らされず、認知された子供が気付かないうちに借金を相続していたというケースも珍しくありません。 

このような場合は、借金を相続したことを知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄をすることによって借金の承継を回避することが可能です(民法第915条1項本文)。 

(3)父親の介護や扶養を求められるかもしれない 

前記「3」(2)でご説明したように、直系血族間には扶養義務があります。これは「相互義務」であり、親が子を扶養する義務だけではなく、状況によっては子が親を扶養する義務でもあります。 

将来、父親に介護が必要となった場合や、年金のみでは生活費が足りない場合、病気や失業のために生活が苦しいような場合などに、父親から認知した子供に対して介護や扶養を求めてくる可能性があるのです。 

この求めを拒否すると、家庭裁判所に「扶養請求調停」を申し立てられることがあります。実際にこのような法的手段をとられるケースはさほど多くありませんが、法的な扶養義務があるということは知っておくべきです。 

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