簡単にわかる!協議離婚とは?離婚手続きをスムーズにするための8つの知識

簡単にわかる!協議離婚とは?離婚手続きをスムーズにするための8つの知識

協議離婚とは、夫婦での話し合いだけで離婚を成立させていく離婚方法です。「離婚しましょう」「わかった」という合意をして離婚届を出す、というごく一般的な離婚の方法です。

離婚をする夫婦の約90%が協議離婚をしています。裁判所に頼ることなく当事者だけで離婚するので、離婚すること自体と離婚条件に相手と合意ができている場合に適した離婚方法です。

離婚をお考えの方なら誰しも、スムーズに離婚を成立させたいと思われることでしょう。ただ、夫婦での話し合いがスムーズに進むとは限りませんし、話し合う際に知っておかなければならないルールもいくつかあります。

そこで今回は、

協議離婚とは
離婚の話し合いの際に知っておくべきルール
協議離婚が進まない場合の対処法

などについて、離婚相談の経験豊富なベリーベスト法律事務所の弁護士が解説していきます。

協議離婚についての大切なポイントを押さえれば、離婚手続きなどもスムーズに行えるため、この記事で協議離婚の知識を身につけましょう。

1、協議離婚とは

では早速、協議離婚とは何かについてみていきましょう。

協議離婚の他にどんな離婚方法があるのかもご説明しますので、協議離婚の特徴をよくご理解いただけることでしょう。

(1)当事者の話し合いだけで成立させる離婚

協議離婚とは、夫婦の当事者同士が話し合いを行い、合意した後に離婚届を役場に提出する離婚方法です。結婚が当事者同士の合意でできることから、離婚も当事者の合意のみで行うこの協議離婚が基本と言えます。

ポイントは、夫婦が離婚することと離婚条件について合意できるかどうかと、合意で取り決めた離婚条件が適切かどうかにかかっています。

(2)「話し合い」で合意できない場合は?

当然、話し合いで合意できない場合もあります。

相手が離婚を拒否している
相手が、離婚はするけど財産は渡さないと言っている
相手が、離婚はいいけど子どもだけは渡さないと言っている

など、スムースにいかないケースもあるわけです。そんなときは、夫婦(当事者)では離婚は無理。「第三者」に関与してもらう方法へ進みましょう。

(3)第三者が関与する離婚もある

離婚に関与する「第三者」とは、家庭裁判所のことです。家庭裁判所が関与する離婚には、主に「調停離婚」と「裁判離婚」の2種類があります。

①調停離婚

調停離婚とは、家庭裁判所から選任された「調停委員」が間に入り、離婚の協議を進めてくれる離婚方法です。

第三者である調停委員が間に入ることで、話し合いに応じてくれなかった配偶者でも冷静に話し合い進められることを狙いとしています。

調停委員が中立・公平な立場から当事者双方に対して助言や、ときには説得を交えて話し合いを進めてくれるので、実のある協議を進めやすくなります。

調停離婚(離婚調停)の詳しくは、こちらのページをご覧ください。

②裁判離婚

裁判離婚とは、「裁判官」という第三者が間に入り、当事者双方が提出した主張と証拠を精査して、強制的に白黒をつけてもらえる離婚方法です。

「調停委員」はあくまでも互いの意見の調整をつけるだけの立場ですから、調停(話し合い)がまとまらないということもあり得ます。

そんな場合の離婚方法が「裁判離婚」です。裁判所が下す判決には強制力がありますので、相手の同意がなくても離婚することが可能となります。

裁判官とはいえ、全くの他人がひと組の夫婦に対して「離婚しなさい」「離婚してはならない」などと強制できるのはなぜかというと、法律に基づいて判決を下す権限が裁判官にあるからです。

法律上、次の5つの離婚要件(法定離婚事由)のどれかがある場合には、判決による強制的な離婚が認められています(民法第770条1項)。

不貞行為
悪意の遺棄
3年以上の生死不明
強度の精神病に罹り、回復の見込みがないこと
その他婚姻を継続し難い重大な事由があること

性格の不一致などこれら5つに該当しない場合は、基本的には裁判離婚は認められないので、協議離婚で決着をつける方が得策ということになります。

なお、裁判離婚は調停を経た後でなければできないこととされています(調停前置主義)。

2、協議離婚のメリット・デメリット

離婚方法には、

協議離婚
調停離婚
裁判離婚

の3つがあることがわかりました(審判離婚もありますが、実務上ほぼ使われませんので割愛しています)。

本項では、協議離婚で離婚にこぎつけることのメリット、そしてデメリットについてみていきましょう。

(1)メリット

協議離婚の主なメリットは下記5点です。

理由を問わない(当事者間で合意が取れれば離婚できる)
合意ができれば離婚までの期間が比較的に短い
費用がかからない
手続きが簡単(基本的に離婚届を書いて出すのみ)
慰謝料や養育費、財産分与について裁判相場よりも有利な条件で離婚ができる可能性がある

前4つのメリットは、皆さんもご理解いただいているものと思います。

最後のポイント「慰謝料や養育費、財産分与について裁判相場よりも有利な条件で離婚ができる可能性がある」について解説をしましょう。

調停離婚や裁判離婚になってしまうと、「公平」を観点として第三者が介入することになります。ですから、お金については特に、一定の基準が設けられているのです。

養育費であれば、支払う側の収入がいくらの場合はこれくらい、受け取る側の収入がいくらの場合はこれくらい、子どもが2人であればこれくらい、とある程度の金額が決まっています。

慰謝料も、どのような理由によって慰謝料を請求しているのかにより、金額もある程度先例に従うことになります。

財産分与に関しては、原則として夫と妻とで折半と決められているわけです。

ですが、協議離婚であれば、お互いに納得さえしていれば、これらに縛られる必要はありません。自由に取り決めることが可能です。

(2)デメリット

協議離婚にはデメリットも存在します。主なデメリットは下記4点です。

離婚したいくらい嫌いな相手と話し合いをしなければならない
馬が合わないため話がスムーズに進まない
夫婦間の力関係が出てしまい、不利な条件で離婚に合意させられる可能性がある
条件を決めることを忘れがち

前の3点どれをとってもですが、二人だけでは限界であるということが協議離婚のデメリットです。

そもそも「協議」というのは、話し合いながら意見を合わせていくことですから、合わないと思っている相手とするのは基本的には至難の技。

一方がかなり我慢しているか、お互いに常識的に歩み寄る努力ができているか、の場合にのみ成立しうると言えるでしょう。お互いが言いたい放題、自我を通すという関係であれば、協議はかなり難しいのです。

そして4点目「条件を決めることを忘れがち」。

これは若い夫婦にありがちですが、協議離婚では「離婚するかしないか(離婚の成否)」だけを焦点に話し合いをしてしまい、「条件」について全く触れないことが起こり得ます。

条件とは、親権の帰属や財産分与などのことですが、確かに、親権は文句なく母親になり、財産も特にないので話し合いなどしない、ということはよくあることです。しかし、浮気を原因とした場合の「慰謝料」、そしてお子さんがいる場合はお子さんのためにもっとも大切な「養育費」について決めないのは、離婚を多く取り扱う弁護士から見ると口惜しい気持ちでいっぱいになります。

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