熟年離婚で年金はどうなる?老後に困らないための6つの知識

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5、熟年離婚では財産分与が重要!年金分割以外で離婚後のお金を確保する方法

熟年離婚後の生活費を確保する手段は、年金分割だけではありません。離婚する際には、財産分与や慰謝料の請求も考えましょう。

財産分与とは、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を離婚時に分け合う制度のことです。離婚原因にかかわらず、請求すれば原則として夫婦共有財産の2分の1を取得できます。

離婚に伴う慰謝料は、配偶者が不倫やDVなどの離婚原因を作った場合に、その配偶者の行為によって受けた精神的苦痛を理由として請求できる損害賠償金です。

請求できる金額は事案によってさまざまですが、例えば配偶者の不倫で離婚する場合、協議離婚なら数十万円~200万円程度、裁判上の離婚なら100万円~300万円程度が相場的です。

熟年離婚の場合、既にある程度の財産を築いている場合が多いので、財産分与が特に重要となります。

慰謝料も、婚姻期間が長くなるほど高額化する傾向にありますので、請求できる事由がある場合には請求しましょう。

以下では、財産分与や慰謝料を適正に獲得する方法をご紹介します。

(1)離婚協議

まずは、離婚協議において財産分与や慰謝料を主張します。配偶者と話し合って合意ができれば、財産分与や慰謝料を獲得できます。割合や金額について法律上の決まりはありませんので、交渉次第では高額の財産分与や慰謝料を獲得することも可能です。

ただし、配偶者が離婚を拒否する場合や、不倫・DVなどの有責行為を否定する場合には、交渉が難航する可能性が高いです。

交渉を有利に進めるためには、ご自身の主張を裏付ける具体的な事実を指摘し、その証拠も示すことが重要となってきます。その前提として、冷静に話し合う姿勢も大切です。

しかし、配偶者を説得して自分の主張を押し通すのは難しいことが多いものです。交渉が進まない場合には、弁護士を間に入れて交渉する方がよいでしょう。

(2)離婚調停

離婚協議がまとまらない場合には、家庭裁判所へ離婚調停を申し立てましょう。

離婚調停では、家庭裁判所の調停委員が中立公平な立場で話し合いを仲介し、必要に応じて相手方を説得してくれることもあるので、当事者だけで話し合うよりも合意に至りやすくなります。

調停で適正な財産分与を獲得するためには、配偶者の所有財産を漏れなくピックアップして調停委員に示すことが極めて重要です。

そのためには、別居する前から配偶者の財産を調査しておくべきであり、それでも判明しない財産があると思われるときは、調停申し立て後に「調査嘱託」などの調査方法を用いることになります。

慰謝料についても、配偶者の不倫やDVなどの証拠を提出すれば、調停委員がこちらの味方になってくれ、交渉が有利に進む可能性が高まります。

(3)離婚裁判

離婚調停でも決着がつかない場合には、家庭裁判所に離婚裁判(訴訟)を提起します。

訴訟は自分の主張を証拠で立証していく手続きです。十分に証明できれば、判決によって財産分与や慰謝料を獲得できます。

証拠がなければ勝訴することはできませんので、配偶者の所有財産や有責行為を証明できる有力な証拠を確保しておくことが必須となります。

6、熟年離婚後のお金の問題は弁護士に相談を

熟年離婚したいと考える人は少なくありませんが、配偶者に有責行為があり耐えがたい場合は別として、そうでない場合は離婚することが必ずしも得策であるとは限りません。

離婚するほどの覚悟があるのなら、まずは家を出て一定期間別居してみたり、家庭内別居をしたり、あるいは仮面夫婦、卒婚など、婚姻関係を続けたまま配偶者との関係性を見直すことも可能でしょう。

夫婦関係を続けていくにせよ、離婚をするにせよ、精神的な問題と経済的な問題のバランスを上手にとっていくことがポイントとなります。もっとも納得のいく方法を選択するためには、ご自身の状況を整理した上で、じっくりと検討する必要があるでしょう。

どのように考えればよいのかが分からない場合は、弁護士に相談してみることも一案です。弁護士の豊富な経験に基づき、専門的な観点から有益なアドバイスが得られることでしょう。

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