5、養育費の話し合いがまとまらなかったら?
(1)離婚する前にまとまらない場合
ア 離婚調停を起こす
離婚する前に、養育費について話し合いが決まらない場合、「離婚」調停を起こします。
離婚全体について調停を起こす必要があるのは、離婚をする前には、養育費だけを定める調停手続が存在しないからです。
離婚調停では、養育費以外の離婚条件(親権、財産分与、慰謝料等)についても話し合うことができますが、養育費だけが決まっていない場合には、事実上、養育費だけが話し合いの対象となるでしょう。
調停手続では、これまで述べた養育費算定表を用いて、養育費の目安額が決められ、それを前提に額の増減について話し合いがされることが一般的です。
イ 訴訟を起こす
調停でも養育費の額について折り合いがつかない場合、調停を不成立とした上で、離婚全体について訴訟を提起することが必要です。
もっとも、訴訟においても、養育費の額は、養育費算定表を基本として、ある程度機械的に決められます。一方で、訴訟となると、労力的・時間的なコストがかかります。
そのため、よほどの事情がない限り、養育費が決まらないことだけを理由に訴訟に移行することは少ないといえます。
(2)離婚した後にまとまらなかった場合
ア 養育費分担調停を起こす
たとえば、養育費を定めずに、ひとまず離婚届を提出し、その後、養育費について話し合うということは、珍しくありません。
離婚をする前に対し、離婚をした後では、養育費を定める養育費分担調停が存在しますから、離婚をした後に養育費について話し合いがまとめらなければ、養育費分担調停を起こすことができます。
イ 話し合いがまとまらなければ自動的に審判手続に移行する
養育費分担調停で話し合いがまとまらず調停不成立となった場合、訴訟ではなく、審判という手続に「自動的に」移行します。
つまり、調停不成立となったとしても、養育費が決められずに終わることはなく、審判という形で、何らかの結論が出ることになります。
審判手続は、基本的に書面のやり取りによる手続です。
一般的には、調停不成立となった後、裁判所が、結論を出す日(審判日)と主張を提出できる期限を定め、それまでの間に、双方が主張書面を提出し、審判日に結論が出る、という流れで進んでいきます。
審判においては、養育費算定表を基準に養育費の目安額が決められ、これに双方の主張を加味して、最終的な養育費の分担額が決められることが通常です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
養育費算定表が、使いやすいツールであることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
もっとも、養育費算定表は、表の選択や収入の認定を間違えると結論が異なってしまうという難点があります。
また、自営業者の場合や、特別な事情がある場合については、計算の仕方が複雑で、かつ、様々な考え方があるため、養育費算定表だけでは結論が出ないことがあります。
養育費についてお困りの際には、一度、弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。
監修者:萩原 達也弁護士
ベリーベスト法律事務所、代表弁護士の萩原 達也です。
国内最大級の拠点数を誇り、クオリティーの高いリーガルサービスを、日本全国津々浦々にて提供することをモットーにしています。
また、所属する中国、アメリカをはじめとする海外の弁護士資格保有者や、世界各国の有力な専門家とのネットワークを生かしてボーダレスに問題解決を行うことができることも当事務所の大きな特徴です。
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