水がないと生きていけない!どうためる?どう備える?「断水」

水がないと生きていけない!どうためる?どう備える?「断水」

私たちは日々、お茶を沸かして飲み、料理を作り、洗い物をし、手や顔を洗い、歯を磨き、お風呂に入り、トイレを使います。夏場は特に、熱中症防止のためにも、水分の補給は大切です。
水は、命を繋ぎ、衛生的な暮らしをするために欠かせないものです。

蛇口をひねれば、当たり前のように水が出て、こうした日常生活を不自由なく送ることができています。
しかし、台風などによって長期間の停電が発生したり、地震や凍結や老朽化などによって水道管が破損するようなことがあれば、数日から数カ月にわたって断水し、水道からの水が使えなくなることもあります。
ダムの渇水によって、水の供給に制限がかかることもあります。

どのように水を貯めたり、節水するのか、もしもの時にも日常に近い生活を続け、命を守れるように、考えて、備えておきましょう。

災害時の断水はどれくらい続く?

災害による断水は、地震でも台風でも発生します。もしも断水した時には、どれくらいの間、水道が使えない生活に耐えなければいけないのか、その目安を考えるのに、過去の発生事例が手がかりになります。

近年の地震による断水で、最も断水日数の長かったのは、2011年に発生した、東日本大震災でした。最大震度7、地震規模はマグニチュード9.0。約230万戸が断水し、約5ヶ月間に渡って断水が続きました。津波で被災した地区では、復旧までにさらに多くの日数がかかったことは言うまでもありません。

最大震度7、地震規模マグニチュード7.3だった、1995年に発生した阪神・淡路大震災では、約130万戸が断水し、最大断水日数は90日。
最大震度6強、地震規模マグニチュード6.9だった2007年の能登半島地震では約13,000戸が13日間の断水。翌年にマグニチュード7.2で発生した岩手・宮城内陸地震では、約5,500戸が断水し、18日かかって復旧しています。

最短で断水が復旧した地震は、2009年に発生した駿河湾を震源とする地震。最大震度は6弱、マグニチュード6.5でしたが、約75,000戸が断水し、最大断水日数は3日間でした。

大雨が降った時にも断水は起きます。
2011年に発生した、床上浸水1082棟、床下浸水7,858棟などの被害を出した、平成23年7月新潟・福島豪雨では、約50,000戸が断水し、最大断水日数は68日にも及んでいます。
2010年に発生し、広島県や島根県などを中心に床上浸水1,844棟、床下浸水6,086棟などの被害を出した平成22年梅雨期豪雨でも、約17,000戸が断水し、復旧までに6日間かかっています。

このように、大きな被害を出すような災害時には、数日から数ヶ月間に渡って、断水をする可能性があるのです。
断水が長期間続く場合には、「災害拠点給水施設(災害時給水ステーション)」や給水車で水が配られますが、災害直後はしばらく水が届かないことが考えられますし、配られる水の量にも制限があります。
特に人口の多い都市や、広い地域で地震による断水がおきた時には、水が届くまでの期間が長くなります。南海トラフ地震や首都直下地震がおきたときの政府の想定として、家庭では1週間分の水の備蓄が奨められています。

台風や大雨などの、ある程度予測ができるものは直前に空きペットボトルや鍋などに水を貯めることもできますが、予測できない地震などの災害の時にはどうするのか、日頃から考えておく必要があります。

1日に必要な水の量は

東京都水道局によると、家庭で一人が1日に使う水の量は、平均214リットル(2019年度調べ)程度です。1分間水を流しっぱなしで洗面と手洗いをして、約12リットル。30秒間流しっぱなしで歯磨きをして、約6リットル。5分間流しっぱなしで食器洗いをして、約60リットル。3分間のシャワーで、約36リットルの水を使っています。

こうした、生活に使う水は、使い方次第でかなり減らすことができます。
例えば、歯を磨いて口をすすぐ時にはコップ一杯分の水で済ませたり、食器を洗うときにはまず汚れを拭き取ってから洗ったりすることで、最低限の使用量に抑えることができます。
断水していてお風呂に入れない時には、濡らしたタオルやウエットティッシュ(汗拭きシート)などで手や体を拭くだけでも、衛生面の改善やストレス軽減につながります。
手洗いができない時には、除菌スプレーや除菌ジェルで安心感が得られます。

難民や被災者に対する人道援助の最低基準を定める目的で赤十字などで開始された計画「スフィア・プロジェクト」では、基本的な衛生上の行動を維持するためには社会的・文化的規範にもよりますが、一人一日2〜6リットルの水(生活用水)が必要と示しています。
また、調理に使う水の量は、一人一日3〜6L必要としています。

さらに、気候や生理的個人差にもよりますが、一人一日2.5〜3Lほどの量の水(飲料や食物)が生存のために必要です。

一人が1日に必要な水の量の合計は、7.5〜15リットル。
過去の災害での最大断水日数や配水の状況、政府の指針から考えると、3日から一週間程度耐えられる備えが必要です。

災害直後は、1日あたりに必要な最低限の水として、調理や飲み物として2リットル、衛生用に1リットル、計3リットルの備蓄が政府から推奨されています。
しかし、この量は“命をつなぐための必要最低限の量”と考える必要があり、長期間続けば体調を崩してしまいます。水の配給が開始されれば使える量も増えますので、スフィア・プロジェクトで示されている量を“生活を続けるための最低基準”として考える必要があります。

生存のために必要な水の量を減らすことは、命を危険にさらす可能性もあるため、基本的には減らすことはできません。
いかに水を確保しておくか、生存のために必要な水以外のところで節水するのかが、断水を乗り切るポイントになるはずです。

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