「表皮水疱症(指定難病36)」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

「表皮水疱症(指定難病36)」になると現れる症状はご存知ですか?医師が監修!

表皮水疱症とは遺伝子異常が原因で、皮膚に水ぶくれ(水疱)や潰瘍を発症してしまう指定難病です。残念ながら根本的な治療はなく、対症療法が行われます。皮膚と粘膜の保護が重要です。

今回は表皮水疱症の原因や症状、治療法、注意点などについて解説します。

表皮水疱症の概要と原因

表皮水疱症とはどのような疾患ですか?

最初に皮膚について簡単に解説します。皮膚は表皮と真皮の2層に分かれます。表皮が外側で真皮が内側です。そのうち表皮は、表皮細胞という細胞が連なってできています。表皮のもっとも外側にあるのが角層で、一般的に角質と呼ばれる部分です。

角層はバリアの役割を果たし、ウイルスや細菌などが皮膚から体内に入らないようにしたり、外部からの力から守ってくれたりしています。

一方で真皮は、ゼラチン状の組織です。水分が多く含まれており、皮膚の弾力性をもたらして張力に抵抗してくれます。また、表皮と真皮の間に基底膜という膜があり、表皮と真皮を連結させてくれます。

このように表皮と真皮は、外からの刺激などから身体を守ってくれているのです。

そして表皮と基底膜と真皮、さらに表皮細胞同士は、接着構造分子と呼ばれるノリのようなタンパク質で接着しています。

しかし、この接着構造分子が遺伝子異常により、生まれつき少ない、もしくは消失している場合があります。その場合、接着構造分子が不足しているので、外部から皮膚に加わる力に耐えられません。そのため、本来接着しているはずの表皮が真皮から少しの力で剝がれてしまい、水ぶくれ(水疱)や潰瘍ができてしまうのです。このような状態を表皮水疱症といいます。

表皮水疱症には、4つの病型があります。表皮が切れて水疱ができる「単純型表皮水疱症」、表皮と基底膜が剝がれて水疱ができる「接合部型表皮水疱症」、基底膜と真皮が剝がれる「栄養障害型表皮水疱症」、表皮・基底膜・真皮のどの部位でも水疱ができる「キンドラー症候群」の4つです。

表皮水疱症の症状

表皮水疱症の症状を教えてください。

表皮水疱症は病型を問わず、大半が生後まもなく皮膚に水疱や潰瘍ができます。症状の程度を決定するのは遺伝子異常の種類です。ほかに治療状況、生活環境や栄養状態も影響します。

水疱や潰瘍によって皮膚のバリアが壊れることで、炎症反応や感染症を繰り返します。皮膚から浸出液が出ると同時にタンパク質も失うため、鉄欠乏性貧血や低栄養を合併してしまいます。

また、病型ごとに合併症も異なります。

単純型表皮水疱症

単純型表皮水疱症の症状を教えてください。

表皮水疱症の約40%が単純型表皮水疱症です。単純型表皮水疱症のほとんどは、ケラチン5かケラチン14の遺伝子異常とされています。症状が軽い場合は、時間とともに症状も改善します。しかし症状が重い場合は、手のひらや足裏の角質が硬くなって厚みも増すため、歩行障害が起こることもあります。

まれにプレクチン遺伝子異常によるものもありますが、国内では数例しかありません。この場合は、時間とともに筋力低下が起こり、筋ジストロフィー症を合併します。

栄養障害型表皮水疱症

栄養障害型表皮水疱症の症状を教えてください。

表皮水疱症の約50%がこの栄養障害型表皮水疱症で、もっとも多い病型です。多くの事例で、生後まもなく爪の脱落や変形が起こります。瘢痕形成と呼ばれる、真皮が線維化して硬くなる症状が特徴です。

また、劣性遺伝型と優性遺伝型がありますが、劣性遺伝型の方が症状が重く、優生遺伝型は多くの場合で時間とともに症状が改善します。

劣性遺伝型は、手指や眼瞼の癒着などの症状が起こる場合があります。ほかにも、食道瘢痕や心筋症、糸球体腎炎など、さまざまな合併症に注意しなければいけません。

接合部型表皮水疱症

接合部型表皮水疱症の症状を教えてください。

表皮水疱症の約10%がこの接合部型表皮水疱症です。異常をきたす遺伝子の種類や症状もさまざまで、17型コラーゲン遺伝子異常は、歯のエナメル質形成不全、皮膚の色素脱失などを生じますが、命にかかわる合併症は起こりません。

一方で、α6インテグリンあるいはβ4インテグリンの遺伝子異常の場合、胃と小腸の結合部位である幽門の閉鎖を合併してしまいます。そのため、食事摂取をするには手術が必須です。

さらにラミニンα3鎖・β3鎖・γ2鎖の遺伝子異常では多くの場合、感染症によって1歳まで生きられません。

キンドラー症候群

キンドラー症候群の症状を教えてください。

キンドラー症候群は、水疱が手背や足背にできることが特徴です。なんども発症して、ほかの部位にもできたり、皮膚が萎縮したりする場合があります。

また、瘢痕が皮膚や粘膜にできることで、食道や泌尿器、生殖器の狭窄などが起こる可能性があります。

関連記事:

ピックアップ

物盗られ妄想はなぜ起こる? 原因と症状について介護福祉士に聞く
【闘病】「目が見えないから挑戦できる」 網膜色素変性症のパラクライミング日本代表
「目が痛い」ことはありませんか?医師が原因・対処法も解説!
「EDの治し方」はご存知ですか?原因や治療薬も解説!