防災訓練で何を学ばせる?

防災訓練で何を学ばせる?

ふたつの防災訓練

最近、学校での防災訓練が二極化してきた気がします。一方の極は、ルーティーンとしての火災避難訓練です。年に1回か2回の火災避難訓練をおざなりに行っている学校は少なくありません。もう一方の極は、避難や避難所開設、炊き出し、トイレ設置、負傷者の手当て、がれき撤去、消火など様々な活動を取り混ぜた訓練です。消防署を招いてはしご車体験をしたり、本格的な放水訓練を取り入れたりする学校もあります。子どもたちは各ブースを回って体験します。ほとんどの方々は、後者をより高く評価するでしょう。でも、最近、本当にそうなのかなという疑問を持つようになりました。

訓練は繰り返しが大切

訓練には、「あることを教え、継続的に練習させ、体得させること(デジタル大辞泉)」という意味があります。ところが、学校の単発的な防災訓練は、どちらの極のものであっても継続性がなく、体験の域にとどまっています。たとえ見事にプログラム化された防災訓練でも、それが年に1回だけの体験活動では、子どもたちは楽しく体験はするけれども、技能は身につかないで終わる恐れがあります。もちろん、体験を通して防災の大切さを理解するというメリットはあります。それは大切な意識付けですが、それとて、その後の継続的に学べる場を保障してこそ意味があるのではないでしょうか。
例えば、年に1回の総合防災訓練でロープ結索を学ぶとしましょう。その後、まったく何もしないで、数年後、数十年後の災害時にその技能を使うことはできるでしょうか。心肺蘇生法を学んだとして、その一回だけの実習体験だけで、実際に誰かが倒れた現場に出くわしたら正しく対応できるでしょうか。
訓練はやはり、繰り返しが必要なのです。おざなりの火災避難訓練も学校を挙げてとりくむ総合防災訓練も、「単発」という意味では、体得することの少ない存在証明的な訓練になってしまっていると言えるでしょう。

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