ベビーサインはいつから始める?やり方やメリット・注意点も解説

第144回 みんなが共感!ママのお悩み
まだ言葉を話せない赤ちゃんや、うまく表現できない幼児の気持ちを理解するのは難しいことです。機嫌を損ねる赤ちゃんに、どうすればよいかわからず一緒に泣きたくなった経験がある人もいるでしょう。そんなときに取り入れたいのがベビーサインです。

ベビーサインとはどんなもの?

ベビーサインは赤ちゃんとコミュニケーションを取る方法として、近年注目されています。「聞いたことがある」という人も多いのではないでしょうか。まずはどのようなサインのことなのか押さえておきましょう。

身ぶり手ぶりで赤ちゃんと「お話し」する方法

ベビーサインは、1980年代にアメリカで研究・発表された育児法のひとつです。日本でも2000年代から急速に広まり、多くの人が実践しています。

身ぶり手ぶりや、日本式の簡単な手話を用いたベビーサインに言葉をそえて、赤ちゃんに「話しかける」のが特徴です。

まだ言葉がわからない赤ちゃんでも、動作を見せることで意味を理解するとされています。また、手足が自由に動かせるようであれば、赤ちゃん自身がベビーサインを用いてパパやママに意思を伝えられるようになることも期待できます。

ベビーサインにはどんなメリットがある?

身ぶり手ぶりによって、手遊び感覚でできるベビーサインは、実践するだけでも楽しめるでしょう。楽しいだけでなく様々なメリットもあるので、ぜひ活用してみましょう。

赤ちゃんとコミュニケーションが取りやすくなる

赤ちゃんにベビーサインを認識してもらうには、何度も繰り返して行う必要があります。また、ベビーサインを教えるときにはしっかり目を合わせることが大切です。

そのため、必然的に赤ちゃんと触れ合う時間が長くなり、認識してくれるようになると、自然に赤ちゃんとコミュニケーションも取りやすくなるはずです。

赤ちゃんがベビーサインを認識して、自分の気持ちを表現できれば「赤ちゃんが何をしてほしいのかわからない」といった子育てのストレスも軽減されます。パパやママも子育てが楽しめるようになると、家族のつながりをより強くすることにも役立つでしょう。

赤ちゃんの健康管理・けが予防にも役立つ

赤ちゃんは自分の体の不調を言葉で説明できません。「機嫌が悪いなと思っていたら、赤ちゃんが高熱を出している」という経験があるパパやママも多いのではないでしょうか。

赤ちゃんがベビーサインを身に付けていれば、自分からパパやママに身ぶり手ぶりで伝えられます。病気やけがの早期発見や悪化の防止にもつながるでしょう。

ベビーサインは赤ちゃんの危険回避やけがの予防にも期待できます。「熱い」「危ない」といった言葉をベビーサインと一緒に教えることで、赤ちゃんも自然に危険を避けられるようになるでしょう。

話し言葉の発達も期待できる

ベビーサインを教えることで、赤ちゃんの話し言葉の発達にも期待できます。

ベビーサインをしながら言葉をかけると、赤ちゃんの頭にはものや動作を表す単語が蓄積されていくといわれており、言葉が話せるようになったときに役立つ可能性があるとされているのです。

また、ベビーサインによって自分の意思をパパやママに伝えられると「伝わった」「わかってもらえた」という成功体験にもつながります。赤ちゃんの自己肯定感が高まりやすく、コミュニケーション能力にもよい影響を与えることが期待されています。

ベビーサインを赤ちゃんに教えるポイント

ベビーサインのメリットを知ると「すぐに教えたい!」と思いがちですが、やみくもに実践するのはおすすめできません。始めるタイミングや教えるときのポイントを押さえておきましょう。

生後6カ月ごろから始めるのがおすすめ

ベビーサインを教える目安は、一般的に生後6カ月ごろとされています。赤ちゃんが自力で座ったり、手足を自由に動かしたりできるようになったら試してみるとよいでしょう。

赤ちゃんが反応を返さなくても、目や耳には届いているので、パパやママが言葉をかけながら実践するのは、それより早い時期でも構いません。

また、ベビーサインには特に年齢の上限はありません。1歳を過ぎたとしても、赤ちゃんの言語能力はまだまだ未発達です。「もう遅い」ということはないので「始めよう」と思ったら実践してみましょう。

赤ちゃんと目を合わせながら言葉をかける

ベビーサインは「今から練習だよ」など、特に教える時間を設ける必要はありません。また「ベビーサインを覚えさせなければ」と真剣になりすぎないようにしましょう。普段の生活の中で、赤ちゃんに言葉をかけながら動作して見せるだけでも十分です。

ベビーサインを実践するときは、赤ちゃんとしっかり目線を合わせます。赤ちゃんは視力も未発達なので、身ぶり手ぶりもやや大げさなくらいにするのがおすすめです。

パパやママが楽しんで実践していることが伝わるように、笑顔で優しく語りかけることも忘れないようにしましょう。

赤ちゃんの機嫌がいいタイミングで行う

赤ちゃんの機嫌がいいタイミングで行うのも、ベビーサインの実践ポイントのひとつです。赤ちゃんの機嫌が悪いときや、眠たそうなときにベビーサインを見せても、そもそも見てくれないことがほとんどです。

また、いきなり難しいことや長い言葉を教えようとするのもおすすめできません。赤ちゃんが興味を示したことや、好きなこと、そして「おっぱい(ミルク)」「ねんね」「お風呂」といった生活に密着したものから始めるとよいでしょう。

初めに赤ちゃんに教えたいベビーサイン

初めに赤ちゃんに教えるベビーサインは、シンプルな内容のものがおすすめです。ベビーサインにはたくさんの種類があるだけでなく、各家庭でアレンジすることもできるので、慣れてきたら自分たちだけのオリジナルベビーサインを考案しても楽しいでしょう。

食事に関するベビーサイン

離乳食を食べるときやおっぱい(ミルク)をあげるときに実践したいベビーサインです。赤ちゃんが「おなかが空いた」という意味で使うこともできます。

おっぱい(ミルク):胸の前で片手をグー・パーとします。おっぱい(ミルク)をあげるときに「おっぱい(ミルク)の時間だよ」と声をかけながら行いましょう。

飲む:手でコップを持つようなまねをして、口元に寄せます。「お水を飲むよ」「お茶を飲む?」と声をかけつつ行うと、赤ちゃんもわかりやすいでしょう。

食べる:食べものをつかみ、そのまま口元に運ぶ動作をします。食事の前に「ご飯を食べるよ」と声をかけながら行います。

もっと:両手の指先をすぼめてトントンと打ち合わせます。「もっと食べる?」「もっとほしい?」と聞きながら行うのがおすすめです。

生活に関するベビーサイン

「お風呂」「ねんね」など、普段の生活で頻繁に使うベビーサインです。

お風呂:握った両手を胸のあたりで上下にします。「お風呂に入るよ」と声をかけながら行い、そのままお風呂に行くと、ベビーサインや言葉の意味と動作がつながりやすくなります。

ねんね:昼寝や就寝する際に「ねんねだよ」と両手を重ねて、片側の頬の下にそえましょう。

歯磨き:人差し指を立て、実際に歯磨きをするときのように、口元にあてて左右に動かします。「歯磨きしようね」と声をかけながら行いましょう。

おしまい:おやつや遊びなど「もうおしまいだよ」と言うときに、両手のひらを上に向けた状態からクルッと下に返します。

赤ちゃんから発信してもらいたいベビーサイン

パパやママが使うだけでなく、赤ちゃんから発信してもらうことで素早い対応が可能になるベビーサインです。

おむつ:両手でポンポンと下腹部をたたきます。おむつを交換するときに「おむつを替えようね」と話しかけながら実践しましょう。おむつだけでなく、トイレトレーニングでも役立つでしょう。

替える:両手を胸の前で合わせ、手首を軸にして回します。「おむつ」と組み合わせて「おむつを替える(替えてほしい)」という使い方もできます。

痛い:胸の前あたりで、両手の人差し指を合わせます。赤ちゃんに「痛かった?」と聞く際に、パパやママも痛そうな顔をして見せるとよいでしょう。赤ちゃんの頭の中でパパやママの表情と「痛い」がリンクすると、自分が「痛い」と感じるときも実践してくれるようになるでしょう。

ベビーサインの実践で心掛けたいこと3つ

ベビーサインには多くのメリットもありますが、実践にあたっては期待しすぎないことも大切です。注意したいポイントを見ていきましょう。

すぐに結果を求めない

パパやママがベビーサインを実践しても、赤ちゃんが習得するまでには、ある程度の時間が必要です。生後6カ月から始めた場合、2~3カ月程度はかかるといわれています。また個人差もありますので、焦らず根気よく続けましょう。

赤ちゃんがなかなかベビーサインを返してくれないからと怒ったり、不機嫌な顔で実践したりするのは禁物です。パパやママが楽しんでいなければ、その雰囲気は赤ちゃんにも伝わります。ベビーサインは「笑顔で、楽しみながら」行うのが基本です。

ベビーサインは万能ではない

ベビーサインは、赤ちゃんとのコミュニケーションを円滑にする方法のひとつですが、残念ながら赤ちゃんの気持ちを完全に理解はできません。あくまでも、ベビーサインは赤ちゃんとのコミュニケーションをサポートするものと考えましょう。

赤ちゃんの機嫌が悪いときには、ベビーサインを見てくれない可能性もあります。ベビーサインにこだわりすぎず「なぜ泣いているのか」「どうしてほしいのか」など、想像力を働かせて対応することも大切です。

すべてのベビーサインを覚える必要はない

ベビーサインには多くの種類があり、手話に近いものもあるため、赤ちゃん自身が理解できないサインもあります。また、覚えることが義務になってしまうと、パパやママのストレスにつながりかねないので、すべてを覚える必要はありません。

ベビーサインは日常生活の中で頻繁に使うものに限定しても十分です。自分たちなりにアレンジしても構いません。大切なのはパパやママ・赤ちゃんが楽しみながら実践することです。「ベビーサインをすること」が目的になってしまわないようにしましょう。

まとめ

ベビーサインは、言葉のわからない赤ちゃんとコミュニケーションを取るために有効とされています。

手遊び感覚で、パパやママが優しく声をかけながら実践することがポイントです。赤ちゃんは目と耳から、ものや動作を表す言葉だけでなく、パパやママの優しい声や楽しそうな雰囲気を感じ取ってくれるでしょう。

赤ちゃん自身がいくつかのベビーサインを覚えて、自分から発信してくれるようになれば、家族の絆がより深まることも期待できます。

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