「貯蓄から投資へ」と言われて久しいですが、いざ投資を始めようと思っても、何から始めればよいのかわからない、という方も多いのではないでしょうか。
まずは、各金融商品の特徴やリスク、値動きを理解したうえで、ご自身のライフプランのもとでアセットアロケーションを考え、ポートフォリオを組むことが大切です。
どういうことか見ていきましょう。
アセットアロケーションとは？ポートフォリオとは？
投資において、「アセットアロケーション」や「ポートフォリオ」といったワードを耳にすることがあります。混同されやすいので、それぞれ整理しておきましょう。
■アセットアロケーションとは
アセット（asset）＝「資産」、アロケーション（allocation）＝「配分」を組み合わせたもので、日本語で言えば、資産配分のことです。
資産とは現金や預貯金、不動産、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券、金その他の商品などを指します。
たとえば、1,000万円の現金は、金庫に入れておいても利息も付かず、資産は増えません。そこで、この現金の資産運用を考えるにあたって、何にどのくらいの割合で投資するか決めることを、アセットアロケーションと呼びます。
同じ値動きをする資産ばかりを保有していると、経済状況が下落した場合には、大きく目減りするおそれがあります。そこで、値動きの異なる資産をリスク許容度やライフプラン、将来の目標などに合わせて配分することがポイントです。
■ポートフォリオとは
ポートフォリオは、アセットアロケーションにもとづき、具体的に金融商品を組み合わせたものを言います。
たとえば、アセットアロケーションで預貯金10％、日本株式40％、日本債券10％、外国株式20％、外国債券20％を持つと決めた際、具体的にどの企業の株式を買うのか、どの国のどの企業の株式を買うのか、どの外国のどんな債券を買うのかを決め、実際に購入した金融商品の組み合わせ全体がポートフォリオです。
本当に大事なのはどっち？
資産運用にあたっては、どちらも大切なのですが、基準となるのは、「アセットアロケーション」です。将来のライフプランを踏まえ、運用期間や運用目的を考えたうえで、目標に向けて資産を増やしていくための配分を考えることが大切です。
ポートフォリオは、常に一定にしておく必要はなく、たとえば、A株式を売ってB株式に買い替えるといった入れ替えもできます。
一方、アセットアロケーションはポートフォリオを形成するための基準ですので、頻繁に変更するものではありません。
たとえば、金融資産をすべて国内株式に投資した場合、日本の株式市場が低迷すると、資産全体が大きく目減りします。債券や海外市場に目を向けることも、リスクヘッジと資産増大につながるのです。
もっとも、運用期間中には、経済状況やそれぞれの値動きにより、当初決めたアセットアロケーションも変化が生じます。このような場合に、ポートフォリオの中身を入れ替えることをリバランスと呼びます。
ポートフォリオの組み方
ポートフォリオは、自分にとって最適と思われるアセットアロケーションの配分比率で、具体的に商品や銘柄を決めていくことです。
たとえば、1,000万円の金融資産の内訳を「預貯金50％、日本株式20％、日本債券10％、外国株式10％、外国債券10％」とするならば、預貯金500万円のうち、どの銀行に預けるのか、定期預金にするのか、普通預金で置いておくのかを検討していきます。さらに、日本株式を200万円で購入できる優良企業はどこかなど、それぞれを検討し、買い付けることになります。
まとめ
「これからは、貯蓄ではなく、投資をすべき」と思いこみ、いきなり株式を購入するケースも少なくありません。大切なのは、リスクをコントロールしながら資産を増やしていくことです。
そのためには、自分にとって最適な「アセットアロケーション」を決め、それに沿って「ポートフォリオ」を組むことです。また、定期的な見直しにより、アセットアロケーションが大きく崩れた場合には、ポートフォリオの「リバランス」を検討することになります。
配信： マネジョ
