懲役とは?執行猶予とは?実刑判決を受けたときの対処法も解説

懲役とは?執行猶予とは?実刑判決を受けたときの対処法も解説

5、執行猶予期間が終わるまでの注意点

執行猶予が付いたからといって、その時点で刑罰の可能性がなくなるわけではありません。

執行猶予期間が終わるまでの注意点を理解し、日々の行いに気をつけてください。

(1)執行猶予は取り消されることもある

猶予期間中に別の犯罪をした場合などに、執行猶予は取り消される可能性があります。

猶予期間中に罪を犯して執行猶予が取り消されると、元々受けていた刑に服さなければなりません。その上、新たな犯罪についての刑罰も加算されてしまい、その分だけ長い期間、刑務所に収監される結果になります。

以下のケースでは、執行猶予が必ず取り消されてしまいます(刑法26条)。

猶予期間中に新たな罪を犯して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
猶予の言渡し前に犯した他の罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部について執行猶予の言渡しがないとき。
猶予の言渡し前に他の罪について禁錮以上の刑に処せられたことが発覚したとき(ただし、その刑につき執行が終わった日又はその執行の免除を受けた日から五年以内に禁固以上の刑に処せられたことがない者、その刑の全部の執行を猶予されていた者、に該当する場合は除く。)。

また、以下のケースでは、必ずではないものの、裁判官の判断によって執行猶予が取り消される可能性があります(刑法26条の2)。

猶予期間中に新たな罪を犯して罰金に処せられたとき。
保護観察付きの執行猶予期間中に遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いとき。
猶予の言渡し前に他の犯罪について禁錮以上の刑に処せられ、その刑の全部の執行を猶予されたことが発覚したとき。

(2)決して罪を犯さないこと

執行猶予期間中は決して罪を犯してはなりません。

新たな罪について禁錮以上の判決が出ると、ほぼ確実に以前の罪の執行猶予が取り消されます。

執行猶予が取り消されると、以前の刑に新たな刑が加算され、その分だけ長い期間刑務所に収監されます。

たとえば、「懲役1年執行猶予2年」の判決後の執行猶予期間中に、罪を犯して「懲役3年」の判決を受けると、合計4年も服役しなければなりません。

また、新たな罪について罰金で済んでも、以前の執行猶予が取り消される可能性があります。

交通違反であっても、起訴されて罰金刑を受け、執行猶予が取り消されるリスクは否定できません。

執行猶予期間中は、あらゆる犯罪を行わないように、特に注意して過ごしてください。

(3)保護観察が付された場合は条件を厳守すること

執行猶予に保護観察が付いていた場合には、保護観察の条件を守ってください。

保護観察が付くと、保護司に定期的に面会し、生活状況の報告などをしなければなりません。

保護司の指示に従わないと執行猶予が取り消されてしまう可能性があります。十分に注意して生活しましょう。

6、懲役の実刑判決を受けてしまったときはどうすればいい?

執行猶予を獲得できず、懲役の実刑判決を受けてしまったらどうすればよいのでしょうか?

刑が短縮されるのかを含めて対処法をご紹介します。

(1)控訴をする

実刑判決に納得がいかなければ、判決を不服として控訴が可能です。

控訴して上級の裁判所で再度判断を仰げば、執行猶予付き判決を獲得できるケースもあります。

(2)実刑が避けられない場合は早期の仮釈放を目指す

犯罪の性質や被害の重大性により、実刑が避けられないケースもあります。その場合でも刑務所での態度が良ければ、早期の仮釈放により刑期の実質的な短縮が可能です。

仮釈放について詳しくは以下の記事を参照してください。

懲役刑には矯正という目的もあります。規律正しく労働に励む生活習慣を身につけるきっかけになるため、デメリットばかりではありません。

仮釈放を目指して考えや生活を見直せば、より早く社会復帰できるでしょう。

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