バックしてきた車にぶつけられた…過失割合で損しないための5つの事

バックしてきた車にぶつけられた…過失割合で損しないための5つの事

3、バックしてきた車にぶつけられた事故の過失割合でよくあるトラブルと対処法

バックしてきた車にぶつけられた場合、相手方が素直に非を認めてくれればよいのですが、逆にこちらに非があることを主張してくるケースもあります。

ここでは、逆突事故の過失割合でよくあるトラブルとその対処法についてご説明します。

(1)こちらからの追突を主張される

相手方から「自分はきちんと後方確認をしていた。あなたが追突してきたに違いない」と主張してくることがあります。

たしかに、バックする前にミラーで後方を見たときには他の車はいなかったのに、その後に現れた車にバックでぶつかるという事故もよくあるようです。

このような場合、バックした運転者は「追突された」と感じるのでしょう。

しかし、後方確認を一度しただけで安心し、漫然とバックをして事故を起こすケースもよくあります。

自分の無過失を主張・立証する必要がある場合には、どのようにして事故が発生したのかを客観的に証明する必要があります。

ドライブレコーダーに映像が記録されていれば、容易に証明できるでしょう。

駐車場内での事故であれば、防犯カメラに事故の様子が映っている可能性もあります。

費用はかかりますが、車の損状況などから事故の発生原因を第三者機関に調査してもらうという方法もあります。

また、目撃者を探して証言してもらうことも有効です。

もし、客観的な証拠が何もない場合は、事故状況に関するお互いの説明について、どちらが信用できるかどうか検討がなされた上で、過失割合が判断されることになります。

その場合、事故が発生したときの状況をいかに具体的かつ詳細に説明できるかがポイントとなります。

(2)クラクションを鳴らさなかったことを非難される

相手方から「クラクションを鳴らしてくれたら停止したのに、なぜ鳴らさなかったのか」と主張されるケースもあります。

「バックするのを見ていたのにクラクションを鳴らさなかった以上、あなたにも責任がある」という主張です。

前記「2(1)」でご説明したように、ぶつけられた側にもクラクションを鳴らす余裕がある場合には鳴らすことによって、衝突を回避する措置をとるべき義務があるとも考えられるからです。

したがって、このケースでは、クラクションを鳴らす余裕がなかったか、鳴らしたとしても衝突を避けられないような状況で相手方がバックしてきたことの主張・立証が必要になることもあります。

具体的な対処法としては、上記「(1)」のケースと同様に、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像、鑑定などの客観的な証拠によって事故の状況を証明することが重要となります。

客観的な証拠が得られない場合には、目撃者の証言や自分の説明といった「供述」証拠によって証明すべきことも「(1)」と同様です。

(3)衝突を避けられなかったと言い訳される

また、相手方から「あなたがそんな場所に停めているからぶつかった。自分としては衝突を避けられなかった」と主張されるケースもあります。

このような場合も、上記と同様、まずは事故が発生した状況を客観的に証明することが重要です。

それに加えて、あなたがその場所に停車していたことに非はないことを主張・立証する必要が生じることもあります。

具体的には、その場所が駐停車禁止ではなかったことや、他の車の進行を妨害しないためにそこに停めざるを得なかったことなどを主張・立証することになります。

4、バックしてきた車にぶつけられた事故の過失割合が損害賠償に及ぼす影響

過失割合の問題は損害賠償の金額に影響を及ぼしますので、相手と主張が食い違っても感情的にならず、冷静に対処することが重要です。

逆突事故の場合、ぶつけてきた相手にはこちらの車が見えていないことが多いのに対して、こちらは相手が勝手にバックしてきてぶつかったと感じることが多いので、過失割合について感情的なトラブルになりがちです。

しかし、過失割合は単にどちらが悪いかという問題だけではなく、損害賠償の金額に以下のような影響を及ぼす重要な問題です。

(1)受け取れる賠償金が減らされる

過失割合によって、受け取れる賠償金の額が異なってきます。過失が認められる場合には、損害額を全額賠償してもらえるわけではなく、自分の過失割合の分だけ賠償金が減らされてしまいます。

この処理のことを「過失相殺」といいます。

たとえば、逆突事故にあって車の修理費や怪我の治療費、慰謝料などで100万円の損害が発生したとしても、過失割合が「自分:相手=20:80」の場合は20%が減額され、80万円の賠償金しか受け取れないのです。

(2)賠償金を支払わなければならないこともある

逆突事故の被害者でも、過失が認められる場合は、過失割合の分だけ相手方に対して損害賠償をする義務を負います。

上記の例では、相手に生じた損害額のうち20%は賠償しなければなりません。相手の損害額も100万円だとすれば、20万円の賠償義務が生じます。

自分が受け取れる賠償金と相殺したとすれば、80万円から20万円を差し引いた60万円を受け取ることになります。

しかし、仮に相手方に発生した損害額が500万円だとすれば、20%としても100万円を賠償する必要があります。この場合、相殺したとしても20万円を支払わなければならないことになります。

保険を使用すれば手出しして支払う必要はありませんが、損害額によっては過失割合に応じて損害賠償義務が発生するということは知っておきましょう。

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