「逃げなくてもいい家」② 日頃からしておくこと、災害時にやるべきこと
「避難所に行かない防災の教科書」の著者で、災害に強い家づくりを提唱する西野弘章さん。逃げなくてもいい家をつくるために具体的にどんなことをしたら良いのか、うかがいました。
逃げなくてもいい家①はこちら
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初心者でもできることから
――西野さんは自分で小屋を建てる方法を解説する著書「小屋大全」もあります。自宅の敷地内に小屋を6棟も建てているほどのDIYのエキスパートですね。まず、初心者でもできることを教えてください。
前回、洪水や土砂崩れの心配がなければ、台風の時は自宅避難の方がストレスは少ないとお話ししました。自宅避難をする上でもやっておきたいのが窓ガラスの保護です。
自宅避難のための窓ガラス対策
最近では雨戸がない家やマンションも多いですが、台風の時は暴風に見舞われ、外から吹き飛んできたもので窓ガラスが割れる恐れがあります。そうなると、そこから風が吹き込んで部屋の中のものが散乱してしまい、ガラスの破片でけがをすることもあります。
被災時はすぐに修理もできないので、自宅避難をする際に大きなストレスになります。雨戸がない場合、大型の台風が近づくことがわかった段階で窓の外側にカットした合板を張って窓枠に防水テープでしっかりと留めます(=写真)。
それができなければ、台風が来る前にあらかじめ窓ガラスに「飛散防止フィルム」を張っておくのが良いでしょう。
台風では風速50m/s超の風…
私が体験した2019年の台風15号は、風速50m/sを超える猛烈な風が吹き、大木が倒れたり、自動車が横転したりしました。雨戸があっても、よその家の屋根瓦が雨戸を突き破って入ってきた家もあったそうです。
知り合いのサッシ屋さんによると、「雨戸がある場合でも合板を張っておくのが一番」とのこと。合板を張るのが難しい場合、窓ガラスの外側に段ボールを重ねて防水テープで留めておくだけでも、ある程度の効果を発揮するのでやってみてください。
写真説明:合板の代わりに段ボールを重ねて防水テープで補強したところ
物干し竿(ざお)が飛ぶとガラスを突き破るのでロープでしっかり固定します。庭やベランダに置いてある植木鉢、自転車、ガーデン小物など、飛びそうなものは室内や物置に収納しましょう。エアコンの室外機がひっくり返って破損すると、せっかく非常用電源を用意しても使えなくなります。これもロープなどでしっかり固定しておきます。
玄関や勝手口のカギは必ずロックしておきましょう。猛烈な風が吹くと、ドアがバタンバタンといって、吹っ飛ぶことがあります。
沖縄在住の方から聞いた工夫
台風が多い、沖縄在住の友人が教えてくれたのですが、ホームセンターで買える農業用のネットがクッションになります。車の周りや雨戸のないところの窓を、壁や庭木などにロープで縛って囲っておくのも良い方法です。
写真説明:ネットを使って家や車をガードした様子
配信: 防災ニッポン