◆松尾高弘「記憶のプール」「Light book – 北越雪譜 -」
50年前の記憶をモチーフにした土のプール
上/物品を撤去する松尾さんとこへび隊 下/職員室の塗装作業
松尾さんは2作品を展開。視察の際、50年前に集落が子供たちのために自力で作った“土のプール”の写真を見つけ、感銘を受けた松尾さんはそこからプランを考案します。
制作は春からスタートしました。展示する職員室と理科室で、芸術祭ボランティア「こへび隊」と物品の撤去から開始、すっきりとした部屋を今度は黒く塗り進めます。
「記憶のプール」Photo/LUCENT
そして、50年前の旧大赤沢分校の記憶を蘇らせるような、土のプールが完成しました。部屋の中央に設置されたプールのミニチュアを覗き込むと、当時の大人や子供たちの情景が、プールの底から光のホログラフィーによって浮かび上がります。またかつての黒板には当時の記録写真などがコラージュされていて、その時代を追体験できる空間構成になっています。50年前の小学校の象徴として設置された土のプールと教室全体を使って当時の記憶を蘇らせる、松尾さんらしい光のインスタレーションです。
「Light book – 北越雪譜 -」Photo/LUCENT
もうひとつの作品「Light book – 北越雪譜 -」は、越後の雪国の暮らしを描写した江戸時代のベストセラー『北越雪譜』がモチーフ。ページをめくると、描かれた挿絵が次々に浮かび上がります。書籍として今でも十分面白い『北越雪譜』。大地の芸術祭では、越後妻有が大事にしてきた暮らしを伝えるものとして、度々モチーフになる重要な書物です。
配信: OZmall