養鶏農家がレトルト食品『黄金の鶏ガラスープ』を開発!?「命を最後まで大切に」の思い結実!【食べるSDGs】

養鶏農家がレトルト食品『黄金の鶏ガラスープ』を開発!?「命を最後まで大切に」の思い結実!【食べるSDGs】

埼玉県の養鶏農家・桑原花さんの悩みは、卵を産まなくなった”引退鶏”の引き取り手がないこと。専門業者もいるのですが、小規模農家の引退鶏は数も少なく採算が合わず、回収不可とか。「卵を産んでくれた鶏たちの命、最後まで無駄にしたくない」そんな思いから、桑原さんやフードディレクター、シェフが集まり「鶏(にわとり)革命団」を結成。メンバーが辿り着いた”命を無駄にしない”ゴールとは…。

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鶏革命団が手掛ける「黄金の鶏ガラスープ」と「スパイスチキンカレー」。どちらも深いコクが特徴でまさに”黄金の味わい”なのだとか!

卵を産み終えた”引退鶏”の行き先がない…

関東平野の西北の端、埼玉県小川町にある「ぶくぶく農園」で養鶏を担当する桑原さん。広大なスペースでのびのびと育てられた鶏が生む卵は絶品だと評判です。

26歳のときに170羽から養鶏をスタートした桑原さんですが、現在育てているのは690羽!順調に規模を拡大してきました。

ところが、桑原さんにはある悩みが。卵を産めなくなった”引退鶏”の引き取り手がなかったのです。

「最近、小規模の養鶏農家の廃業が相次いでいます。その理由は、後継者不足はもちろんのこと、引退鶏の引き取り手がない、ということも大きな要因なのです」(桑原さん)

大規模な養鶏農家の場合、引退鶏の回収業者が引き取り、加工用などに回されますが、小規模養鶏農家の場合、コスト的な問題で、回収業者の対応が難しいそう。

「大規模な養鶏農家が育てる鶏は数万から数十万羽と、うちとはケタ違い。なので回収業者の引き取り対象とならないのもやむを得ないんです…」(桑原さん)

引退鶏の引き取り手がなければ、育てた鶏を産業廃棄物として捨てるしかありません。

「それだけはどうしても嫌だったんです。引退鶏をわが家で調理して家庭内消費しようとしましたが、数に限りがあります。養鶏を営んでいく以上、引退鶏の行き先を考えるという難問はなんとしてでも解決する必要がありました」(桑原さん)

引退鶏問題の解決を目指し…結成した鶏革命団!

大切に育てた命だから、最後まで大切にいただきたい。そう思った桑原さんはあちこちに出かけて人との繋がりを探しました。すると、ある勉強会で、食品のブランディングなどを行うフードディレクターの土屋きみさんと出会います。

藁にもすがる思いで現状を伝えたところ、養鶏場を見に来てくれた土屋さん。桑原さんと同世代ということもあり、すぐに意気投合しました。

この出会いをきっかけに仲間が増え始め、2017年には桑原さんと土屋さんを中心に、引退鶏の問題を解決するチーム「鶏革命団」を結成しました。

「引退鶏の特徴は”肉の味は濃く旨味は強いけれど、驚くほど筋肉質で固い”こと。この特徴を最大限に引き出す調理方法を探していく中で、鶏ガラスープに行きつきました。また、保存については常温で運びやすく長期保存もできるレトルトがベスト、ということになり、レシピ開発と並行して、レトルト加工をしてくれる工場を探し、片っ端から電話しましたね」(桑原さん)

試食などを繰り返しながら引退鶏の活用法を模索する日々を経て、ついに満足のいく商品「黄金鶏ガラスープ」が完成しました!

優しい塩味でどんな料理にも合うと評判の「黄金鶏ガラスープ」は、1Lあたり贅沢に1羽分の鶏ガラを使用。味付けは塩とにんにく少々のみ、と、ごくシンプルです。

「使用しているにんにくはうちの農園で栽培したもの。鍋やスープなどアレンジ無限大の鶏ガラスープです。他にもカレーや火鍋セットを販売しています」(桑原さん)

鶏革命団が販売するレトルト商品は、今では発売と同時に注文が殺到するほどの人気商品になりました。

メンバーそれぞれの得意分野を生かして活動中!

この鶏ガラスープを安定して供給していけるよう、鶏革命団はクラウドファンディングも実施。その結果、目標額を大きく超えた175万円の資金が集まり、このプロジェクトに多くの人が賛同してくれました。

引退鶏を活用した加工品開発はSDGsなどにもつながると注目を集めています。

現在、半年に一度の鶏引退タイミングにあわせて、鶏ガラスープは500パック、鶏ひき肉を使ったカレーは350パック生産しているそう。でも、ただでさえ忙しい養鶏と並行して、食品加工を行うのは大変なように思えますが…。

「鶏革命団は分業制。メンバーそれぞれが得意とする分野で頑張ります。『何も心配しなくていい、情報発信も販売もするから』ときみちゃんが言ってくれるので、わたしは鶏の世話に打ち込めているんです。エネルギーのすべてを養鶏の作業に注ぎたいと思っているので、本当にありがたいです」と桑原さん。

メンバーそれぞれが自分にできることを通して、命を最後までいただくことを目指す鶏革命団。まさに超サステナブルな取り組みです!

現在、協力スタッフも含めると20人ほどのメンバーがおり、ぶくぶく農園を支える頼もしい存在。

桑原さんを中心に、想いを同じくする仲間が集まった鶏革命団。彼らの活動に、これからも目が離せません!

半年に一度数量限定で販売する鶏革命団オリジナルレトルト食品は下記のサイトから購入が可能です。気になる方はぜひチェックしてくださいね。

黄金の鶏ガラスープ レトルトシリーズ通販サイト:https://newyolkland.com/


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ぶくぶく農園

桑原 花さん

1990年生まれ。3人姉妹の長女。5歳のときに一家で埼玉県比企郡小川町に移住、父の衛さんが野菜、米麦、養蜂、養鶏などを営む。大学卒業後、NPOジーエルエム・インスティチュートの農業開発援助アシスタント業務でフィリピン・ルソン島北部に1年半駐在。実家で約1年の研修後、2016年に就農。現在690羽の平飼い養鶏を営む。卵は、JA埼玉中央「小川農産物直売所」や「デリカテッセンアーチャン」「自然食の店リフレ」(いずれも小川町)、「とうふ工房わたなべ」(ときがわ町※毎週日曜日のみ)、江東区の八百屋「野菜のちから」、世田谷区下北沢のサンドイッチ店「サンドイッチクラブ」などで販売する。

ぶくぶく農園ホームページ:http://www.jca.apc.org/~stet/

ぶくぶく農園インスタグラム:https://www.instagram.com/bukubukufarm/?hl=ja

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世界が目まぐるしく変わってゆく今だからこそ、自然を身近に感じながら、自分らしく、気持ちよく暮らしたい。『あたらしい日日』は、そんな思いを抱くすべての女性のためのライフスタイルメディアです。「食」や「農」の話題を中心に、“あたらしい暮らし”に合う食べ方、住み方、働き方、遊び方、自分の磨き方…などを提案します。
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