配偶者がアスペルガーかどうかのチェックリスト|離婚の方法も解説

配偶者がアスペルガーかどうかのチェックリスト|離婚の方法も解説

3、配偶者がアスペルガーかも?と思ったときの対処法

上記のチェックリストで当てはまる項目が多かった方は、配偶者がアスペルガー症候群である可能性があります。医学上、アスペルガー症候群に該当するかどうかは医師の判断によらなければ断言できませんが、配偶者のアスペルガー症候群が疑われる場合は以下の対処法を検討していきましょう。

(1)特に生活上の支障がない場合は様子を見る

アスペルガー症候群のチェックリストを確認した際、「自分はアスペルガーではないだろうけど、多少当てはまる部分があるかも?」と感じた方もいるのではないでしょうか?アスペルガー症候群は一つの病名となってはいますが、アスペルガー症候群をはじめとする発達障害は0(健常)か100(有病)かではなく傾向の強弱が問題であり、グレーゾーンも大きいのが実情です。

アスペルガー症候群をはじめとする発達障害は脳機能の先天的な障害ですが、幼少期に発達障害だとわかるケースもあれば、大人になってから発達障害に気づくケースもあります。生活上、特に支障がないのであれば、チェックリストに当てはまる項目があったとしても特段問題はありません。

ただ、本人が他人とトラブルを起こしやすい傾向にある場合などには、注意深く見守る必要性はあるかもしれません。

(2)本人が苦しんでいる場合は受診を勧める

アスペルガー症候群の患者は、コミュニケーションや対人関係が上手くいかないことなどからストレスを抱え、二次障害としてうつ病や引きこもりを初めとする精神疾患を引き起こすことがあります。コミュニケーションがうまくいかないことで他人を不愉快な気持ちにさせてしまうことがありますが、アスペルガー症候群の人は悪気があるわけではないので、本人としてもコミュニケーションがうまくいかないことがとてももどかしいのです。

このような二次障害を引き起こしている場合や、そこまでいかなかったとしても本人が苦しんでいる場合は専門医への受診を勧めましょう。

(3)自分が苦しい場合は別居や離婚も視野に入れる

アスペルガー症候群を抱えている本人が、コミュニケーションの不便さ等で苦しい気持ちになるのはもちろんですが、その配偶者の方は本人以上に苦しんでいる場合があります。アスペルガー症候群の配偶者に振り回されてあなた自身が疲れている場合は、早期に適切な対応をしないと心身に重大なダメージを受けるおそれがあります。

アスペルガー症候群の配偶者がカサンドラ症候群になってしまうケースも少なくありません。カサンドラ症候群とは正式な疾患名ではありませんが、発達障害の配偶者にストレスを感じ、睡眠障害やうつなどの不調が生じる状態をいいます。カサンドラ症候群の症状は人によって違いますが、うつ状態、不安感が強まる、無力感や自己否定に襲われる等の精神的症状以外に、頭痛、胃痛、疲れやすい、眠れない、食欲がわかない、突然涙が出る等の身体的症状が出ることもあります。

アスペルガー症候群の配偶者をサポートすることも大切ですが、一番大切なのはあなた自身の心身の健康です。苦しい場合は無理をしないように注意しましょう。

どうしても結婚生活が苦しい場合は、アスペルガー症候群の配偶者本人に気持ちを話し、本人に専門医への受診を勧めましょう。それでも事態が改善しない場合は別居や離婚を視野に入れることも一つの選択肢です。

4、配偶者のアスペルガーを理由として離婚できる?

アスペルガー症候群の配偶者に専門医への受診を勧めたり話し合ったりしても事態が改善されない場合、離婚を検討する人もいるでしょう。では、アスペルガーを理由として離婚することはできるのでしょうか?離婚できる具体的なケースについて確認していきましょう。

(1)アスペルガーだけを理由とする離婚は難しい

アスペルガー症候群の配偶者と離婚することを検討する際、双方が離婚に合意すれば協議離婚として離婚をすることができます。

これに対し、配偶者が離婚に合意しない場合、離婚を成立させるには法定離婚事由が必要となります。

法定離婚事由とは、裁判で強制的に離婚が認められる原因として民法第770条1項に定められている事由のことで、その中に「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき」(同項4号)というものがあります。

しかし、配偶者がアスペルガー患者の場合は医学的な対処によって通常の社会生活を営むことが可能であるため、「強度の精神病」や「回復の見込みがない」という要件に該当しないと考えられています。

そのため、配偶者がアスペルガーであるというだけの理由では強制的に離婚を求めることは困難であると言わざるを得ません。

(2)離婚できるケース

配偶者がアスペルガーであるというだけなく、DVやモラハラ行為をしている場合や、そこまでいかなくとも問題発言や問題行動をしており「婚姻を継続しがたい重大な事由」(同項5号)が生じている場合には強制的な離婚が可能となります。

たとえば、極度の浪費癖・ギャンブルに伴い多額の借金を作り家庭生活に重大な悪影響が生じている場合、宗教活動による過度な没頭により家庭の安息が損なわれている場合、家庭内で日常的な侮辱発言が行われている場合等は、「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当する可能性があります。

(3)慰謝料も請求できるケース

前項の事情が不法行為に該当する場合、民法709条の不法行為に基づく慰謝料請求が可能となるケースがあります。

ただ、夫婦の問題は基本的には家庭内で起きていますので、実際に慰謝料を請求するためには、配偶者の侮辱発言をボイスレコーダーで録音するなどして、不法行為を立証できる証拠を準備していくことが必要となります。

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